☆テイルズオブアライズ感想☆



テイルズオブアライズ感想。総まとめです。
アライズが好きで批判意見など見たくないという方は見ないで下さい。ほぼ批判です。そして愚痴。







──この痛みは、製品版に触れたから──






 テイルズオブアライズクリア致しました。
トロフィーコンプリート。私はアライズマスター。

 テイルズ公式が動き出し、公開された新作テイルズの動画。動画だけ見るとリニューアルしつつももっさり感の拭えない戦闘、いまいち変わったようには見えないグラフィックなど期待できなかったのですが……。

 体験版で実際にプレイするとテイルズらしさをしっかり残しつつ爽快に動き回れる素晴らしいゲームとなっていました。キャラの掛け合いもテンポよく、スキットもキャラそれぞれに個性があって楽しい体験でした。体験版が良すぎたので予約して買ってしまいました。

 不安70%くらい、期待ややありのままドキドキしながら製品版をプレイしていきました。

 端的に言うと極めてひどいゲームでした。



 ストーリーやシステム、ビジュアルや様々な面で不愉快を感じながらもまあなんとなく最後までは進められる……楽しかった?と聞かれるとハッキリとノーと言える。つまらなかったの?と言われるとかなり悩んでからそうでもないと返してしまう……。そんな絶妙に微妙なゲームです。しかし常に不愉快な要素があり全編通して気分を害するゲームだったことは間違いありません。
 テイルズは多少やっておりアビスやヴェスペリア、エクシリア2とベルセリアなどはまだ記憶が新しい方です。
テイルズのストーリーといったら妙に長くて中弛みがあるし積み重ねる毎に矛盾点がでてくるなど稚拙な部分はあるのですが他の部分にしっかり面白さがあるのでまあいいよねと流せるほどのものでした。
 しかしアライズはツッコミどころと不愉快な部分が多く、それを流せるほどの良い点や熱量を感じる部分がなかったので非常にやっていてイラつきました。腹立たしいことに最初はストーリーも戦闘もキャラも良いと感じてからの急降下だったので余計に気分を害させてくれました。
 一章(火の領将撃破)まではマジで面白かったです。キャラの魅せ方や世界観の説明のうまさといい明らかに後のストーリーとライターが違います。サブストーリーやサブストーリーでのスキットはメインストーリーと違って面白いので恐らくは別の方が書いているかと。

●ストーリー

全てにおいて予想通りに進みすぎる展開に意外性や驚きなどは一切ありませんでした。プレイヤーの予想を裏切れば良い!というわけでもないし話自体に筋が通っていて展開がおかしくなければ正直言って全く構わない(その場合のストーリーが面白いかどうかはともかくとして)のですが、アライズの場合は整合性や丁寧な面もなく見せたいシーンのための積み重ねもなくライターのやりたい展開だけをいきなりドン!!と出されるのでつまらないしとてつもなく白けます。更にそこにキャラ達の常識の無さと動くべきキャラが全く動かないという不自然さも付け加えられるので何を見せられてるのか疑問符ばかり浮かんでしまい、集中できませんでした。
アニメーションも明らかに酷い(OPの動きのなさと作画の微妙さでこれはもう察してはいましたが)です。
 アライズのストーリーは全編通して昨今の仮面ライ○ーみたいな、いわゆる“エモ〜い”シーンの切り貼りの連続で物語と呼べるようなものではなかったと思います。
 いくらでもおかしなシーンがありますが、一つ例を挙げます。

例)謀略家で陰険な敵とされるボスが待ち構える城に
無策で少人数で突撃するだけで勝ててしまう。
しかもそのボスも何の策も無く、単身で主人公4人パーティを迎え撃つ。
なんだよその漢気は。どこ行ったんだよ謀略設定。
→相手が生粋の支配層の人間であり奴隷を舐めているからその心理的隙をつく
というような理由づけもなく、あまつさえパーティメンバーの一人が突入前の段階で
「どんな罠を仕掛けてるかわからないから慎重にいくべき」
とキレてる状況からの正面突破のゴリ押しのみで勝利。

本当に罠とか何もないとは思わなんだ。


 アライズのストーリーは今からどういったことが起きるかもしれないという走りの言葉すらない状況からの唐突な展開をがほとんどであり、更にはこの先の展開を予想させるであろう言葉を入れておいて何もないという肩透かしも多数存在します。プレイヤーの溜息の吐かせ方に関してだけは様々なバリエーションがありました。
 また、陰鬱な“だけ“の描写が大量にありました。世界観を魅せるために暗い部分(死や絶望など)を見せるのは問題ないのですがその暗さがキャラの成長や世界観の拡張に繋がることはなくただ思い付いたから見せただけというような無意味な暗さが敷き詰められており、不愉快極まりないです。
どうしようもなく暗いものを描いているくせに、幸せな終わりへと到達するまでの過程が十分に描かれず雑で適当なハッピーエンドで済ませられるのでそれまでちらほらばら撒いていた陰鬱な描写も無意味になりました。
この辺はかの有名なゼスティリアと同じような感じですね。思い付きだけねじ込んでそれらの要素が物語として機能するか全く精査しなかったゲームです。
 ただ、全ての領将撃破後の更に後のラスボス手前くらいからの怒涛の超展開にはキャラクター達もギスギスしてる暇もなくひたすらに謎の答え合わせだったので少しは楽しめました。しかし世界の謎の答えも積み重ねた伏線などが一切なく、ただ提示されるだけでありおお!と唸ったり興奮するような魅せ方はどこにもありませんでした。

 設定だけはまあまあ面白かったです。
FFとかスターオーシャンを未プレイなのでもしやっていたら二番煎じに感じてその部分も楽しめなかったかもしれませんが。
 しかし最後に残された謎を全部説明してかつラスボスへの解決策もくれるのがたった一人のキャラなのでこれっていわゆるデウスエクスマキナってやつですよね?
 もはやこの作品の物語を物語としては評価できないことの象徴と言えるかもしれません。

 第一部のテーマと第二部のテーマが噛み合っておらず、完全に別作品の物語のような分裂をしています。
目の前のことに精一杯取り組んでいたらいつしか世界の命運をかけることになっていたというのは王道です。私も好きです。しかしアライズは一部で伝えようとしていたテーマが二部の超展開に全く沿っていません。
あとキャラ同士日本語が通じてないシーンや日本語がそもそもおかしいシーンがいくつもあります。超絶ストレス。

 テイルズオブアライズのストーリーは古き良き王道を目指したが実際に世に出されたのは、
王道が何故王道と言われ親しまれるのかを全く勉強せずにその上っ面だけをなぞった、古臭いだけでありかつその要素一つ一つの全てを失敗した

『王道の失敗作としてのお手本』

と言えると思います。




●キャラ

 今作のキャラ同士の仲は結構な間非常に悪いかつ感じが悪いです。終盤では仲良くなります。が、仲良くなるのが非常に遅く、それまではエンドレスギスギスとしていて不愉快なやりとりが多いです。個人的にはギスギスが嫌いなわけではありませんし、個人として確固たるものがあって属する集団の中で譲れないもの同士がぶつかり合う我の強さゆえのギスギスといったものなら見ていて納得ができるのですが、アライズのキャラのギスギスはどのやりとりも同じような内容を同じような流れで何度も何度もメインストーリーでもスキットでもやられるので飽きるとかいうレベルではなく不快です。
キャラクターの性格というより(キャラの性格も幼稚ですが)ギスギスを見せたい為にライターに操られてるような感じが常にありました。
 全体として女の尻に敷かれる男という認識が強く、キャラを作った人間の好みをこれでもかというほど押しつけられるイメージです。その女側は大抵が理不尽な言動やマウント発言、女は怒らせると怖い……というような対等な関係ではない物ばかりです。しかしアライズ本編において男女カップリングとして成立していると描かれ、想い合っているという結果だけ押し付けられます。
ラスボス前にカップリング同士で会話するやつを無理やり見せられて反吐が出ました。
とんだ絆の力だぜ。
 仲間としての結束力を描きながら結局は男女の関係として結んでいたので何が言いたいのかはっきりしてほしいと感じました。勿論男女の関係を持っていようとも仲間達の絆の両立はできると思いますが、このパーティはどちらにしても全くもって描写不足です。
 過去のテイルズを全部やったわけではないですが自分のやってきたテイルズの中ではダントツで最低な気分にさせてくれるパーティでした。


○キャラ別感想

・アルフェン

  種族の違いや立場を超えてどんな困難も仲間達の絆で乗り越えて戦う心優しく熱い王道の主人公。というのが大元の設定だと思います。
 実際の所はかなり短気で精神的に不安定。
メインストーリーにおいてアルフェンが敵として見たものや認められないものには刺々しい口調や容赦のない態度を取り、倒します。パーティが結論の見えてる相談をうだうだやってるうちに状況が勝手に敵を倒せばおさまるという方へと転がっていってくれるのでアルフェンは敵を倒すだけで良い。そういうなんちゃってヒーローです。
 かなり攻撃的であり敵はしっかり倒してその後仲間は大事絆の力的なことを言うのが薄ら寒いです。完膚なきまでに敵を葬っておきながら「敵にも理由があったんだよな……」という風に反省会みたいなのを結構な数開くのもまあ気持ちが悪い。
この男は“声がデカい割に一貫性が全くない”。……という性格は一貫していましたね。
 しかしこの一貫性のなさと後出し反省会はアライズにおいてほぼ全てのキャラに当てはまりますので、アルフェンだけということはありません。主人公であり魅せ方も彼が中心のようになるシーンが多いので他キャラよりよほどおかしな言動や一貫性の無さが目立ちますが。

 サブイベントやサブスキットでは元々の設定の好青年そのまま。真面目に天然ボケが入っていて思わぬボケをかましてくれる、爽やかで良い主人公です。可愛いかったし癒されました。
 メインストーリーの古い主人公像のような言動をふりかざし気に食わないものをひたすらに力で叩き潰していく悪魔のような男とは完全に別人でした。

 しかし一章のアルフェン(鉄仮面時代)は記憶喪失で右も左も分かっていない状況でも人を助けたり人の死に怒り、悲しむことができる良い意味での余裕の無さがある、とても好感の持てる主人公でした。
一章では、痛覚がないから痛みを知らないからこそ飛び出していけるということだけではない、様々な状況にグイグイと踏み込んでいく朴訥なアルフェンの姿は物語の先が見たくなる良き王道の熱い主人公でした。
悲しいかな、2章からはこの男はどこかに消えてしまいます。永遠に。

 ストーリーと共に仮面が壊れていき最終的には完全に素顔が見えるんですが自分から外せない仮面をつけていた理由が本当に浅すぎて拍子抜けしました。
仮面が全て外れる頃にはこのゲームのストーリーに何ら期待もできなくなっていたので肩透かしも予想していたのですがやはり思った通りの激浅っぷりで落胆です。仮面を被っており更に痛覚のない主人公という美味しすぎる設定を一瞬で終わらせられるセンスの無さには素で「えぇ?」という声が出ました。「はぁ?」だったかもしれません。
 メインビジュアルでも着込んでいる特徴的な黒いフルプレートに関して「300年の間にレナに抗ったダナの英雄が着ていたものなのかも」と鎧を手に入れる時(この時点で誰のものかもわからないけどもらってく一向)に言われていましたが、結局この鎧はアルフェンには全く関係ないものを勝手にパクって着てただけでありそもそもダナの英雄がいたのかどうかもわかりませんでした。
テイルズでは異色のフルプレート主人公、痛覚がない、外れない仮面、などの美味しすぎる設定を全てドブに捨てていました。
 ふざけろ!!

 300年前の英雄は実はアルフェンで惚れたレナ人の女を助けるために戦いダナレナどちらからも疎まれ滅ぼされた……とかのが絶対良かったと思います。こういう話なら因縁もできるしストーリー的にも自然なんですけどね。別に面白くないけど。

・シオン

 ヒロイン。クールなツンツンだが主人公アルフェンの優しさにどんどん絆されていく。ツンツンした顔の通りにツンツン性格だが食いしん坊や虫嫌い、オシャレさんなど可愛らしい設定を持っててギャップ萌えを狙っているわかりやすいキャラ。
 どうやってマスターコアを手に入れたのか、とかアルフェンと出会わない場合どうやって領将を倒すつもりだったのかとか、親はどうなのかとか孤独と言ってた19年の歴史をライターが本当に考えているのか(考えてるわけないけど)など、ストーリーの中心に常に居続けたためシオンそのもののガバガバさを語ろうとしても自然とストーリーのガバガバに繋がってしまうのでシオン個人として評価がし辛いです。
どちらにせよ突然過ぎる設定とガバガバ設定のオンパレードのくせに薄味な浅いキャラなことには違いはないです。
 先程までは仲良くしていたのにそれまでの経験がいきなりなくなって突然険悪になるというのがわかりやすく大量にあったキャラです。

 一章のシオンは目的の為なら手段は選ばないと言いながら誰にでも冷たい態度をとろうとするも、傷ついた誰かを絶対に見逃せなかったりアルフェンとは違った熱さを持った魅力的なキャラでした。そしてそういう面を直感的にわかってしまえるアルフェンが遠慮なく踏み込んでシオンが真っ赤になる……というわかりやすくいい関係でした。王道だと思います。
 しかし一章以降はそういうちゃんとした二人の仲の良さを感じられるシーンはほぼないです。
一章後からはとってつけたような突然の
「オレ、シオン、ダイジ!」「アルフェン、、、オオ、、、スキ、、」
が無理やりやたら入るだけなので辛くなります。辛いっていうかウザいし気持ち悪い。
シオンのどこにどう惚れたのお前。

 例の如くサブストーリーやサブスキットではアルフェンとご飯食べたりイチャイチャしたり微笑ましいシーンも多いです。アルフェンに負けず劣らず天然ボケをかます時もあります。かわいいね。

・リンウェル

 魔女っ子。14歳でパーティ最年少。
差別発言が最も多く差別的態度も最も長い、アライズの不快感を担い続けた凄まじい女の子。ダナレナの人種差別だけでなく「男ってほんと」という男女差別的発言も何度も行うので差別レパートリーがパーティで最も多い。
最年少で精神的にも幼いので軽はずみな言動をさせても良いと思っているのか、目にあまるというレベルでは済まされないほどの発言をよくさせられていた。スキットやメインストーリーでも反省しているというような言葉を使った後にすぐ差別発言や仲間に無礼な態度をすぐとるので頭を抱えた。
 狂った脚本のままに踊らされ続けたという意味では最大の被害者とも言える。冗談抜きでまとな発言をしたことがほぼ無いので。
 カップリング先はロウ。ロウに対して、“ロウを頼りにしているけれど素直になれない女の子”という性格を表現したかったという意図はわからないでもないが……(わかりたくもない稚拙な描写しかない)
ロウが目立って悪いことなどしておらず一方的に噛み付いてマウントを取る(ロウは大抵ちゃんと謝ってる)のみで可愛げもクソもないただのクソ女でした。マジです。
 幼さからの不安定さを表現したいとするのなら、せめてデザインをもっと幼くすればよかったのではないだろうか……。
 突然復讐云々で一人で盛り上がりそこをロウが止めるシーンは意味不明すぎて大爆笑できる、名シーンです。

・ロウ

 まとも。まともすぎて影が本当に薄い。居る意味が無い。
 デザインからもわかりやすい熱血バカキャラで持ち前の明るさで確信をついたり皆に発破をかけるようなキャラ……かと思いきやかなり落ち着いている少年です。熱血バカの面はあるのですがそれ以上に冷静で物事を思い詰めて考えようとする繊細な頭の良い少年です。悪く言えばめちゃくちゃ地味です。ライターがそういう複雑な面を持った良い少年キャラとして扱えるわけもなく、ハッキリと意思表示をして仲間を引っ張るシーンもなければ、誰よりも深く考えて皆にストップをかけるようなシーンもありません(4章のリンウェル突然思い出し復讐のくだりで多分そういうのをやりたかったんだろうけどあまりにも唐突すぎて見せ方が死んでいる。ついでに他のキャラもろくに動いてないので死んでいる)。
 サブストーリーやサブスキットでは明るさとギャグを担当してくれており、声優さんの熱演も相まって動く姿を見ているのが心地の良いキャラでとても好きです。かわいい。
 リンウェルと仲良くなるという設定は悪くないと思うのですが、どういう面で惹かれあったのかなど納得のいく理由づけが全くないのですごく可哀想だなあと思いました。お前ならもっといいパートナーと巡り会えるよ、ロウ。

INTが足りず煙玉を使用できなかったが親父が刺された瞬間に覚醒。INTステータスが突然上がり煙玉が使えるようになって敵から逃げ果せるシーンがとても印象的です。真面目にやれよお前ら。

・キサラ

 ヒステリックおばさん。今回のテイルズにおけるマンドラゴラ枠。
 テュオハリムのことをわかっているという態度をとっているが導くことや正すようなことはせずテュオハリムの言動行動に後からネチネチというだけで母親ヅラをするいと恐ろしき女。度々他キャラに言われる(言わされる)「お母さんみたいだよね」という設定からキャラ造形が入っており、レッテルで性格を決めているので中身を全く感じない。親のような人だと表現したいというライターの鬱陶しい思いは伝わるが、他の人間がやってもなんら変わりはない仲裁、不必要な後からのフォローなど、親と言って良いような頼もしさはどこにも一切全く無く、パーティの精神的支柱にはなっているシーンは無い。キモい。
 自己を責めるより先にテュオハリムを責めたて、テュオハリムの心内がどうであれ輝かしい功績を作ったのは事実であるのに対してそれを賞賛するのではなく『本当は実力があるのに精神が伴っていない情けないテュオハリムに私がついていてあげないと』というスタンスで今まで側にいたと終盤で言ってのけるとんでもない女。賞賛はまあまあしてるがそれはテュオハリムにでなくアルフェンに言ったりなどメインで大々的に本人に響くように言わないので、何がしたいのかわからない。
 サブストーリーやサブスキットで釣りの話や兄の話でギャグに回るキサラはとてもキャラが立っていました。愉快なパーティメンバーとして好感が持てました。誰?ってレベル。
 アライズのライターは母親という存在にいいイメージがないのだろうか。

印象に残ってるシーンは仲間加入する章でマンドラゴラ声を上げテュオハリムにキレてるシーンです。
せめて少しでも魅力的に描いてやれよ。

・テュオハリム

 まともな人。アライズの基本的被害者。
武を誉とするレナ人でありながら戦いよりも音楽や芸術等を好む変わり者。いきなり詩を詠んだりちょっと不思議ちゃんな面もあるとにかく顔の良いイケメン。声も良過ぎる。
 ストーリーにおいてかなりの被害者であり、ライターのテキストの質的な意味に加えて過去や立ち位置的な設定的意味どちらの面でも被害を被っている可哀想な人。
 テュオハリムはKYで戦いから目を背ける情けない男。というレッテル貼りからキャラ像が定められており、パーティも皆そういう風にテュオハリムを理解して蔑みます。空気が読めず無遠慮極まりない発言なら5倍はシオンやリンウェルの方がしているし(しかしテュオハリムのようにKYとは一言も言われていない)フワフワと行動が一貫していない面は間違いなくアルフェンの方がそう(途中の情緒不安定ぶりはぶん殴りたくなった)。
 テュオハリムはレナ人としての実力のみならず、ダナ人とレナ人が歩み寄って暮らす優しい世界を築いたというこの世界において教科書に乗らざるを得ないであろう革命的な実績が既にあるのに、あまりにもその功績への反応が薄く何故かKYバカで通され続けます。テュオハリムは他キャラと違い非礼に対してすぐ謝れるし声を荒げることもしないので
 他キャラ「テュオハリムKY」
 テュオハリム「すまない またやってしまったようだ」
 他キャラ「ハハハ 相変わらずバカだな〜」
 というような(バカだなという台詞はありません。こいつはバカだという雰囲気をみんなで共有しているという例えです)テュオハリムはKYであるという共通認識を持った状態でパーティ全員が笑うので、プレイしてる側からしたらいじめ現場を見ているようで本当に不愉快でした。というかいじめだろ。

 例の如くサブストーリーやサブスキットでは天然ボケかまして突っ込まれてたりいいギャグをしていました。かわいい。



●戦闘


○良い点
 テイルズ特有のモッサリ感がかなり減り、カウンターレイドやブーストストライクなど爽快派手なゲーム体験ができるようになり進歩を感じました。
流石に昨今の他のフィールドアクションゲームのような自由な動きとまではいかないものの、テイルズらしい術技はそのままにしつつモッサリ感をかなり減らしたゲームで素晴らしいと感じました。

○不満点
 メインストーリーにおけるボス戦にて上下カメラが固定になることがとにかく多く、非常にやり辛かったです。ドラゴン系や大きなモンスターに対して回避のための距離を測る為にもカメラの自由度が不可欠であるのにそれを奪われ、とにかくやりづらかったです。
難易度もノーマルだったためクリアできない程ではなくボスもワンパターンなので(死ぬほどつまらない)倒せはするのですが、普段だとできることを急に制限される為楽しい時間ではなかったです。
メインストーリーのボスはそういった仕様のボスが多く、あまり楽しめませんでした。ボスが強いとかよりもただシステムに邪魔されてるといった面が強い不愉快な戦闘でした。
 また、後半になるとメインでもサブでも色変えボスばかりで新しい発見はない為、戦闘が非常に退屈でした。
襲いかかってくる雑魚の数も増え、中ボスやギガントだった敵がラスダンでは蔓延るようになります。勿論扱いとしては雑魚ではありますがHPも高く設定されており、しかもスーパーアーマーなので非常に厄介な相手です。巨体で道を塞ぐので上手く避けられないことも多く、ただの嫌がらせでしかなく本当に退屈な時間が続きます。ため息が何度も出ました。

 ブーストストライクや秘奥義を行うとフィールドが“リセット”される仕様が後半での爽快感を奪っていました。
 前述した退屈で不愉快なストーリーに加えて戦闘までも間延びし新しい発見がなく敵はコンパチばかり。続ければ続けるほどシステム的にも褒めるところは無くひたすらに退屈になってきます。
地獄のようなストーリーとの合わせ技でめちゃめちゃにダレました。やっぱつまんなかったわこのゲーム。

・ブーストストライク
 技がコンビ分一つずつだけ。少ないわけではないけど……。
 ストレスにならないようモッサリ感が極めて少なく、何度演出を見ても大丈夫なよう気を使いまくったのはわかります。が、流石に飽きます。まさか種類がパーティのコンビ分から一つも増えないとは思いませんでした。
ブーストストライクは演出以上の意味がほぼ無いので敵が硬く大量に湧いてくる中盤以降になるとブーストストライクを撃つのもまたストレスの一つとなっていました。
発動可能になると少しスローモーションになる仕様が「あと一発で倒せる相手にわざわざ使いたくないのに、さっさと攻撃したいのにスローモーションになってクソうざい」という、こちらのテンポを阻害するイラつくシーンになることが多かったです。

・ブーストアタック
ボタンが複雑なので突進の敵を止める時などは素早く、やりづらい。
対して強く無いし顔も見たく無い声も聞きたく無いほど嫌いなキャラだったキサラは常に後ろに控えさせていたので、L2押してえっとーってやってるうちに敵の突進は終わってました。

・術技
 技がなかなか増えない。扱いやすい技が少なく、実際使用できる技の幅が狭過ぎる。
 ボスはスーパーアーマーでコンボは繋げられないので演出の長い技はボス戦において死んでいる。
これゲームシステムとして完全に失敗してると思います。何の面白さも無いです。
 術技をキャンセルして別の行動に繋げられるシステムを組めば良かったんじゃないでしょうか。
 称号で技が増えるのが主となっておりその称号もどうやって取れるかなどガイドがないので技がなかなか増えませんでした。
戦闘の多さの割に技が増えず同じ事の繰り返しになっていたのが不満でした。
冗談抜きで本当に技少ないんですわ……。

・お金
 回復アイテムが高すぎる。マジで高い。というかお金が稼げなさすぎる。

・CP
 嫌いじゃないけど……。
術技で使うCPの消費が多すぎてどんなに節約しようとも結局街に帰ることが多く、面倒でした。
私の操作が下手なのは間違いなくあるのですが……たくさん戦闘を遊んで欲しいのか欲しくないのかどっちなのかイマイチ理解できない仕様だと感じました。

・エフェクト
 綺麗で派手なのはいいんですが、かなり見え辛いです。
これだけエフェクトが派手な癖にエフェクトが被った際にプレイヤーや敵に対して透過表現を入れるとかしてないのは驚きました。
様々な面で中途半端です。

 一章のシオンとアルフェンの二人での戦いは楽しかったです。
ボスは大ぶりな攻撃ばかりですが1発もらうとほぼ死にかけまで持っていかれる。パーティキャラは一人だけでありそのシオンは後衛なので回復や狙撃……としっかり役割分担されていてとても楽しめました。
 こういう感じのシステムでいくなら戦闘参加パーティは3人にして、敵の数も減らした方が綺麗にまとまって面白いんじゃないかなあと思いました。

●グラフィック

○マップ
 ○良い点 
綺麗でした。いいと思います。
 ○悪い点 
ダンジョンが狭く敵と絶対にぶつかるような仕様にされているのは腹立ってました。
ゲームとしての稚拙さに嫌がらせ要素まであるのでユーザーとしてはムカっ腹が立つってもんです。

○キャラグラ
 ○良い点
綺麗になったんだと思います。
正直言って前作(ベルセリア)とほぼ変わったように感ないのですが、表情はちょっと動くようになった気がします。
テイルズはエクシリアからキャラの3Dモデルが高い頭身になりましたが、エクシリアから既に好みでは無かったので特に言うことはなし。

○ムービー
○良い点
表情が……動く!アクションが……ある!!
テイルズなのに!!!
と、素直に感動しました。クオリティは確実に上がっていると思います。
一章で仮面つけたアルフェンが貨物列車の上で戦うシーンはかっこよくてとてもテンションが上がりました。

○悪い点
一章で力尽きたのか、その後で良い印象は特に無いです。ヴォルラーンが降って来た時の殺陣は良かった気がしますが、テキストや展開が面白くも何とも無いのでおお!となるほどのものでもなかったですね。
相変わらずカメラが当たってない仲間は、棒立ちで無表情の地蔵なシーンが多く、つまらないストーリーも相まって笑えました。
リンウェルがBBAにキレ散らかしてるのをロウが止めるシーンは話の筋のおかしさや展開の唐突さに戦闘中なのに他の仲間が地蔵という面白ポイント詰め合わせで笑いました。

●アニメーション

 ○悪い点
OP公開当時からまずキャラデザから誰お前状態でウワッて言ってました。アクションも酷くOPとしてのクオリティはかなり低かったので、本編中にもアニメーションが入ると聞いた時は嫌だなと思ってました。
実際に見て見ると思ってたよりは綺麗だったのでまあいいかな。
実際にゲームをやってみるとアニメーションの酷さなんてほぼ気にならない程には(それでも えっ? って言わせるほどにキャラデザが不細工ですが)ストーリー自体が酷かったのでアニメーションのクオリティを気にして滅入ることは特に無かったです。

●音楽

 ○悪い点
BGMが全く記憶に残ってないです。
ストーリーがアレだったので多分良い曲でも記憶に残らなかったのかも知れません。

○良い点
絢香さんや感覚ピエロさんの歌はとても良いし好きです。
特に感覚ピエロさんのHIBANAはテイルズボーカル曲で一番好きです。歌詞の勢いがたまらない。
火花でありながらアルフェンの火とシオンの花でHIBANAという造語になっているかのような、本編に重ねることもできなくもない熱い歌詞がとても好きです。
でも

まだまだHIBANAってどういう意味なの



◆終わりに

 マジで酷いゲームでした。
 しかしただつまらないというわけでもなく一章はしっかり面白かったしサブストーリーやサブスキットは安定して面白いし(お使いばかり!というのはそうなのですがテキストの質は安定していました)このゲームは嫌い!と断言できないです。しかし本当にたくさんの不愉快とつまらないとムカつくがふんだんに込められたゲームです。 
2章後半辺りから何だかこのゲーム変だぞ?と思い、ストーリーで感じた違和感を思い出せるようにする為にリアルタイムで感想をスマホでペチペチ打ちながらゲームプレイするスタイルにしていました。
スマホに集中して結構見逃してるシーンとかもあるかもしれません。しかし、スカスカのくせに主張は強く声は大きいおかしいストーリーだったことは間違い無かったと断言できます。

追記

 誤字修正などを兼ねて感想を見直していたのですが、やっぱりひどくつまらないゲームでした。
良いところは少なからずあったしその部分も書いてるので、胸を張って言えます。
このゲームはとてもつまらなかったです。





 

このゲームで私が唯一好きなキャラは
ヴォルラーンです。

彼はキャラとして何の厚みもないし因縁も米粒くらいしかないのに物語としていいとこで襲い掛かってくるボスです。物語的な意味でおいしい いいところ という意味であり、私的にはそもそもこのゲームのストーリーが物語と呼べるものではないと思っているのでいいシーンでもなんでもないですが。
 
 とにかくこの男は敵として、キャラとして、ボスとして、全てが浅すぎます。
ですがこの男は“破茶滅茶に浅い小物である”という描写から一切ブレることなく“小物”として倒されました。
 大して活躍の場もなかったゆえに、情報がほぼ出ず絡みもなかったからこそのキャラの浅さはブレることがなく、ゆえに主人公達のような主義主張の空っぽさやブレブレガバガバさを披露しなかったのです。
 キャラとして評価できないキャラだらけのこのアライズというゲームの中で彼は数少ない、キャラクターとして役目を見せられた男。そう私は思いました。

 ヴォルラーン、ありがとう。
いい声の無駄遣いはやめような。

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