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忘れちゃう前に手紙を書くね

2013年の冬からなんとなく一緒に居るようになった元彼へ。

初めてあった時に、なんて綺麗な瞼なんだろうと感動した。あんまりおしゃべりしない人だから、伏し目がちになることが多くて、目元を見る度にもっと近くで見たいと思っていた。

大学1年の後期に同じ授業を履修して、やっと話す機会が増えた。あんまりちゃんと授業に来ない彼のためにレジュメ取ったり、リアクションペーパーを代筆したりしていた。授業の最終日に、「授業ありがとうね、何か生協で買ってあげるよ」と言われた時は即答で一緒に飲みに行きたいですと答えた。今だから言えるけど、もうこの時から私は絶対この人とセックスする、この人のまつげの生え際を近くで見るんだと確信していたんだよ。

あなたより遅く起きて、完全に大きいあなたのパンツとTシャツを着てあなたの帰りを待つ時、一生このままでいいと思ったのは本当です。水商売を終えて、夜遅くに家に帰るとあなたがむくりと起きておかえりって抱きしめてくれるだけで、世界で一番幸せなんじゃない?と思えたよ。大学を卒業して、バイトで食いつないで、この穏やかな幸せが続くなら人生どうでもいーんじゃない?とすら思えたんだよ。

ただ時間とか慣れっていうものは残酷であんなに欲しくて、横で見たかった寝顔も2年経ったら、取るに足らないものみたいに思えて、気づいたら宝物と言うよりかは家電みたいな存在になっていったね。必要な時には使うけど、なければそんな困らないみたいな。買い替え時きちゃったら、変えなきゃなんだよなぁ。なんでこんな家電て同タイミングで一気に壊れちゃうんだろう、みたい。最後まで大事にできなくてごめんね。

色んな理由があって私たちは一緒に暮らすのをやめたね。引越しの日に、がらんとなった部屋を見てなんでかしらないけどびっくりするほど号泣して、あなたも目を丸くしていた。
浮気されても泣かなかった、私の知らないSNSアカウントを通して私の乳首についての感想を長々述べていたのが発覚した時もこんなに動揺しなかった(褒めていてくれてありがとう)。空っぽの部屋を見ていたら、やっと手に入れた生活が私の手から離れると思って泣けて仕方なかったんだよ。
今まで人生が鬼のような速さで、安定することがなかった私が初めて手に入れた"生活"、だったからね。

別れた今もいつかあなたと暮らしたように、誰かと暮らしていきたいと思ってしまいます。まどろみの中で聞こえる生活音を心地よく思えるようになりたいと思っています。
あなたも私と暮らした日々のこと思い出してくれていますように。

PS:この前久しぶりに会ったら、今の彼氏しか呼ばない名前で私のこと呼んでたけどどういうこと?!ちょっと怒ってたりする?だとしたら嬉しいです。

#エッセイ #写真 #昔好きだった人の話





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