東京新橋に、私がよく昼食を食べに行く「東嶋屋」というお蕎麦屋さんがあります。
そのお店は、毎年お正月にお年賀で白いタオルをお客さんに配っています。
今の世の中、お年賀でタオルを配るお店も珍しいと思いますが、このタオル、とっても使い心地がいいのです。
ごく普通の、何の変哲もないタオルです、業務用の。厚すぎず、薄すぎず。
厚すぎないのに、吸水力が素晴らしいのです。
さらに一度水を吸ってから乾いた後、ふわっと木綿の糸が膨らんでより良い肌触りになります。これがすごい。

ローマや北京に住んでいた頃、現地のタオルを使っていましたが、ごわごわしていたり、豪華で必要以上にぶ厚すぎたり、見てくれはすごいのにちゃんと拭けなかったりして「いいなぁ、このタオル」というものにはなかなか出会えませんでした。

このお年賀でいただくタオルは、おそらく単価100～200円位ではないかと思います。（日本製で大阪の泉州産のものと思われます。）

「俺ってすごいだろ～」と自己主張することもなく「俺ってカッコいいだろ～」と、デザインや見た目を着飾ることもせず、肩に力が入っていない自然体。
それでいて、しっかりタオルの役割を果たしてくれる。使う人間を気持ちよくしてくれる。

偉ぶらず、流行に左右されず、やるべき仕事（役割）をしっかり果たしている。地味で普段話題に上ることもなく、お年賀で受け取ってもとりたてて感謝されることもない、、、

なんか宮沢賢治の「雨ニモマケズ」みたいですが（笑）。

♪決して怒らず、いつも静かに笑っている。。。みんなにデクノボーと呼ばれ。。。褒められもせず。。。苦にもされず。。。♪

そんな、本当の意味で"価値を持った人間"になりたいな、そのお年賀の白いタオルを見てそう思いました。

えらいぞ、普段使いの白いタオル！　
すごいぞ、「いえいえ私なんてそんな。。。」と奥ゆかしい白いタオル！

「奥ゆかしい」は日本が誇る文化ではないでしょうか。

「日本人は何考えてるかわからない」「日本人はもっと自己主張した方がいい」と外国人からよく言われます。
同一民族ならではの環境がそういう文化を育んできました。
それは美徳とも言われますが、グローバルスタンダードでは通用しない、とも言われます。

外国人観光客が日本（人）の印象を話すyoutubeをよく見る、と言っていますが、外国人が日本人を形容する言葉に"Polite（ポライト）"があります。意味は「礼儀正しい、丁寧な、品が良い」といったものです。

こういう気質、一朝一夕に育まれるものではありません。
大切にしたいですね。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2023年9月7日

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