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観光旅行業のあれこれ

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観光旅行業の今とかこれからとか、経営のこととか。
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記事一覧

不要不急のマーケティングを試みたらCVR3倍になった話【旅行検索BOX編】

from:ステイホーム コロナウイルスの猛威は予想以上でした。観光業への影響は尋常じゃないです。M&Aや事業売却の話もぽつぽつ出始めています。 当たり前ですが今はできることを試して準備して、復活する時を待つしかありません。 そこでぼくも不要不急と言いますか、「どのくらい数字が上がるのか?」が読めないのでやらなかった施策を、とうとう試みました。結果CVRが3倍になりました。 以前こんなことを書いたのですが、この時から気になっていたことです。 なぜ旅行予約の検索BOXは

2020年から旅行業で儲けたい人が失敗しないためのミチシルベ。

from:元旦の渋谷事務所より 先日のこのツイートに関していくつか反響をもらいましたので、noteでまとめてお答えします。 旅行業やホテル旅館業の人間から見ると当たり前の構図ですが、やはりカオス(ムダが多い)です。 厳密には、この流通の中に「サイトコントローラー」という業態も噛んでおり、もっと複雑です。 例えば次の場合、A社とB社の内部には、互いを競合だと認識している部署とパートナーだと認識している部署が混在します。やはりカオス(ムダが多い)です。 A社はユーザーに

富山県氷見市にある小さな宿が、行政から応援されていた理由。

from:五反田のオフィス 突然7,000万円の借入をして、宿を始めた後輩がいます。 その宿が1周年を迎えたので、遊びに行ってきた話です。 1部上場企業を辞め、地元に戻って宿を始めた理由彼(28歳)の地元は、富山県の氷見市。 東京駅から北陸新幹線に乗り約3時間ほどで到着する、人口4.7万人の街です。(2019年8月現在) その氷見市が、「消滅可能性都市」に指定されたと言います。 諸滅可能性都市をご存知でしょうか? 2010年から2040年にかけて、20~

月間450万PVの旅行サイトから読み解いた、『旅行サイトの最適化=検索窓の最適化』論

from:自由が丘カールスジュニア 先日、イギリスの老舗旅行会社「トーマス・クック」が経営破綻しました。為す術なく沈み逝った姿からは、旅行会社がこれから切るべき舵や留意すべきリスクなどがとても綺麗に理解できるので、色々と学びたいと思います。 PESTの「P・E」は、アンコントローラブルな要素ですので触れませんが、「S・T」は今正に、多くの旅行会社が直面している課題です。 来春から、ANA・JALが新IIT運賃(変動料金制)の導入を決めている事も相まり、いま中堅〜大手のす

OYOがたった5年で世界最大のホテル王になれた「秘伝のタレ」と「ビジネスモデル」

from:江ノ島のサーフカフェ OYOさんから案件をいただけるかも(見込は薄い)との事で色々調べたところ、ビジネスモデルから何から、ただのバケモノでしたのでここにもメモさせていただいた次第です。 先日のこのツイートが少し反響ありまして、特に宿事業者さんの、OYOへの見解は様々だなと感じました。 かく言う僕は、OYOさんリスペクトです。 1|「OYO」って一体ナニモノ?ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんので簡単に紹介を。 OYOは、1993年生まれ弱冠26歳のイ

はやっていた「旅行業参入」の途中経過を冷静に整理してみたい【続編】

from:田町のカフェ 以前、こんな記事を書きました。 前編?続編は?という声を ちらほら(1人だけ)いただいたので、書きます。 それとちょうど、旅行系プロダクトのディレクターをやっている後輩さんから、こんな連絡もきたんです。 後輩「(ホテル比較予約のプロダクトに)コンシェルジュ機能の実装を進めてますけど、やばいっす大変ですっ。。」 コンシェルジュ機能の自体の良し悪しは色々あると思いますが、後輩さんの場合は、「相談できる」ことによる差別化を図ろうとしているみたい

「Google Travel」とは? 何がすごいのかをわかりやすくまとめた記事。

from:大阪梅田のカフェ(コンサル時代はここで泣きながら働いてたなあ) 先日Googleさんが、旅行プランニングツールとして、「Google Travel」【PC版】をリリースしました。 Googleはこれまでも、旅行分野で3つのサービスを提供していました。 アプリ版の旅行プランニングツール「Google Trips」 ホテル比較・検索サイトの「Google ホテル検索」 航空券比較・予約サイトの「Google フライト」 今回の「Google Travel」は、そ

あなたの旅行事業は「余暇」というスケールで、組み立てられているか。

from:ほぼ戯言。 あなたの旅行会社、あるいは、旅行事業は今、どの市場に対して、何を提供する準備を進めていますか? 最近、旅行業の方とお話しすると、決まってこんなセリフを耳にします。 「ユーザーが求める旅の形が変わってきている」 つまり、既存事業がこれまで通りでは上手く行かなくなってきた事に対する見解だと思います。しかしながら、変わりつつあるユーザーのニーズを、体系的に掴み取ることができないため、次の一手を決めかねていると言う印象です。 今回は、「ユーザーが求める

旅行メタサーチを立ち上げながら、なかなかしーきびだと感じた話。

from:沖縄そばをすすりながら メタサーチという業態があります。 旅行業界では、「トラベルコ」さんとか「トリバゴ」さんの事だよ!と言ったらイメージし易いかもしれません。 他業種では例えば、求人業界のindeedや求人ボックス、賃貸業界のスモッカなどが同類で、アグリゲーションサイトなどと言われたりしています。 所謂「一括検索ができるメディア」の事ですね。 ▼この記事の概要▼ 「メタサーチ業態」の現状や仕組みの解説と、これからの可能性とその理由について書かれています。(

タビナカ市場の動向まとめ【2019年版】

from:名古屋からの帰りの新幹線 ▼この記事の概要▼ 観光市場で注目を集める「タビナカ」の現状とこれからの動きまとめ。 オプショナル マクロ市場| タビナカ!タビナカ!と言われていますが、市場はどうなっているのかを見てみます。 ▼2011年:2017年のオプショナル市場比較 (出典:観光庁「旅行・観光産業の経済効果に関する調査研究」) オプショナル市場を、 全体:国内旅行:海外旅行 × 個人旅行:パッケージ に分けてまとめてみました。わかりやすい変化が2

一休.comの成長を、それっぽくまとめてみた。

from:2018年12月31日自宅の書斎 訳あって一休さんの成長を振り返る機会がありました。 こちらにも記載しておきます。 資本金:950百万円  営業収益:6,619百万円 営業利益:2,202百万円 利益率:約33% ※2015年3月期に公表された数字 一休の業績推移|株式会社一休の主な事業は、ホテルのOTAです。 日本では2000年頃から旅行業に台頭したビジネスモデルで、2000年に「じゃらんnet」、2001年に「楽天トラベル」がサービスを開始しています。

最近はやりの「旅行業参入」について、ちょっと冷静に整理してみたい【前編】

from:北京行ってきた。 前回の記事から少し時間が開きましたが、その後もかなり多くのプレイヤーが旅行業に参入しました。 各社さんが参入した旅行業のポジショニングマップは、Businessinsiderさんのまとめが一番きれいかな。 この図の下、新規市場の内、DMMさん以外は、” 予約の仕方 ” を参入の切り口としていることがわかります。 予約の仕方とはどう言うことかと言うのは、前回ズボラ旅さんについて書きましたので、イメージしていただけると思います。つまり、予約をす

旅行業における主戦場の ”手前化” が進み出しました と言う報告。 (ズボラ旅参照)

from:大崎ツタヤスタバ(am2:00まで開いてる!) 「旅行市場で、予約イノベーションが起きるかもしれません。」 と半年前ですが、言ってみたことがあります。 私が主催していた旅行会社さん向けの勉強会での、最後のテーマでした。 「ズボラ旅」というサービスがローンチされました。 利用者が殺到し、すぐにパンク状態になったことで話題になっていましたが、ご存知でしょうか。 「ズボラ旅」のコンセプトはこうです。 行き先、予算、日程、宿…いままでの旅行は、考えることが多

旅行市場のイノベーションがどこで起こるのかは、中国の旅行市場を見たらわかる。

from:近所の3つ目のスタバ(ここが一番花粉少ない) 落合陽一さんがイノベーションについて、「その時代における”環境”とのクロスポイントによって生まれる」と言っていました。(たぶん) 戦国時代に織田信長が出会った「鉄砲(火薬)」は、それ自体も革命的ですが、武田信玄の最強騎馬隊を破った「三段撃ち」という戦法こそが正に、イノベーションだと言えます。 今、中国の経済成長がすごくて、特にIT・テクノロジーによるイノベーションとその浸透は、日本を遥かに先行しています。 国も人