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最近はやりの「旅行業参入」について、ちょっと冷静に整理してみたい【前編】

from:北京行ってきた。


前回の記事から少し時間が開きましたが、その後もかなり多くのプレイヤーが旅行業に参入しました。


各社さんが参入した旅行業のポジショニングマップは、Businessinsiderさんのまとめが一番きれいかな。



この図の下、新規市場の内、DMMさん以外は、” 予約の仕方 ” を参入の切り口としていることがわかります。

予約の仕方とはどう言うことかと言うのは、前回ズボラ旅さんについて書きましたので、イメージしていただけると思います。つまり、予約をする際に「相談できる」とか、予約する際に「お金払わなくていい」とかってことですね。提供しているコンテンツ自体は、いわゆる宿泊施設や航空券の予約がメインとなっています。


予約時にお金を払わなくていい、TRAVEL NOW さんの初日の実績

ふつうにすごい。
それなりのプロモーションを打っておられましたので、その結果でしょうが、すごいです。ですが、今回はあまり触れません。


またズボラ旅さんと同様のLINEチャットモデルで、かつ収益性がありそうなサービスに、TabiTabiと言うサービスもローンチされています。

TabiTabiさんの方が収益性がありそう。と言うのは、海外航空券のOTAをわかりやすく併設しているからです。非常に上手だと思います。




また、Businessinsideさんには載っていない、新規参入のサービスもいくつかあります。こちらは ”情報&スキル売り” です。


BUYMAさんが、BUYMATRAVELをリリース。
現地コンテンツやガイドの予約ができます。


ココナラさんが、旅行カテゴリを新設。
資格保有者などが旅行コーディネートをしてくれます。



この2社さんは共に、旅行市場における、CtoCという世界観を実現しようとしているように見受けられます。

それぞれ、既存の事業や持っているリソースからほぼ外れることなく、デキる範囲で参入した感じです。そしてこの2社さんに関しては、目新しいサービスではなく、実は既に存在していたモデルでもあります。


切り口の整理と確度について|

各社さんとても珍しい、戦略・戦術で旅行業に参入していますが、その成果はどこまで期待できるでしょうか。
今回はチャット型のズボラ旅さんとtabitabiさんを引合いに考えてみました。

まだローンチしたばかりですから、これから様々な改良や適合を図っていくのだと思うのですが、私が実際にズボラ旅を使ってみて感じた(使ったんかい)事業をスケールさせる論点は、「提案の質」と「生産性」の塩梅をどこで保ちながらティッピングポイントを迎えるか、の一点です。


懸念される最悪のケース(使われ方)

・結局労働集約型なので安く売ることができない(手数料まあまあ取る)
・それならまだしも、提案した情報だけ持ち帰られ成約には至らない。


前提として、私はこのビジネスモデルに賛成なのですが、旅行会社の現場を実際に見てきた身として、確実にこの2つの課題が発生すると言い切れます。


1発目の提案の質をどこまで高めようとも、顧客からは必ず何らかの追加ニーズが返ってきます。これはカタチ無き商品を販売し、必需品とは対極の余暇市場に存在する旅行業の宿命なのです。


つまり、提案するプランの質を高めるという努力と、成約率を向上させるという目標の間には、思っている程の相関性はありません。なので、生産性との塩梅が重要になるということです。

対してtabitabiさんが上手いのは、海外市場である点と、提案したプランが仮にそのまま受け入れられなくても、航空券OTA事業という受け皿を用意している点です。


期待できる最悪のケース(使われ方)

・曖昧なニーズを具体化させることに成功する。
・でも丸ごと予約はされない。(ちょっと高いから)
・しかし併設のOTAで航空券のみ購買してもらえた。


tabitabiさんから感じ取れるのは、チャットできちんと旅を想起させるが、実際には予約してもらえるなんてそこまで期待していなくて、最悪航空券だけでもウチで買って行ってよ。という潔の良い姿勢です。(完全な主観)


実は、リアル旅行会社における、最も生産性が悪い(時間がかかるがお金にならない)業務が、接客になります。

ユーザーの要望を聞いて、提案。
提案に対して更に要望がきて、提案。
要望をなんとか満たすも、失注。

この現象を改善するだけで、旅行会社の営業利益率は3%以上上がります。


長年、旧態依然とした業態を取らざるを得なかったこの旅行業の構造的な問題を、チャット型の旅行サービスさんたちは、どのようにイノベートするのか、これからだと感じています。






リクエストと一緒にお待ちしております。