手塚 大貴

旅行ライター。旅の“素敵”を伝えたい。ここではないどこかへ、時々旅立ちます。旅エッセイ『最果ての旅で、見た夢は。: スペインとポルトガルで出会った21の物語』も→https://www.amazon.co.jp/dp/B078FXJPFD

あの春の日の、幸せを

春というと、思い出す風景がひとつある。

長野県の小高い山の上。青空の下、満開に咲いた桜の木が1本。

僕ら家族はその山頂で、目の前に広がる北アルプスを眺めている……。

「早く行かないと遅くなっちゃうよ」と祖母がせき立てる。

「ゆっくりしていけばいいじゃないか」と祖父はなだめる。

そんな2人のやり取りを、父も母も、笑いながら見守っている。

善光寺のご開帳に行く途中で、僕がたまたま見つけたそ

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世界の果てで、世界の中心。~ポルトガル・サグレスへの旅

その日、僕はポルトガルにいて、ユーラシア大陸の南西端にある「サグレス」という町へ向かうバスに揺られていた。
 バスの外には、荒涼とした丘陵地帯が広がっている。空はどこまでも青く、初夏の明るい陽光が車内にまで射し込んでくる。さすがに交通の便が悪く、とくに見所もなさそうな田舎へ行く観光客は少ないらしい。乗客はこの地域の住民ばかりで、小さな集落にバスが停まると、地元の高校生や老人がわずかに乗り降りをする

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「人生で訪れた、最も南の場所」って、どこですか?

突然ですが、「人生で訪れた、最も南の場所」って、どこですか?

僕の場合、その遍歴を辿ってみると、こんな感じになる。

2008.12. 和歌山県、潮岬
2009.06. 沖縄県、波照間島
2010.12. 中国、マカオ
2012.03. シンガポール、セントーサ島
2014.06. アルゼンチン、イグアス国立公園

有名な地名が並んだ、この順調な「南」の遍歴が、この4月、聞いたこともない町によっ

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クライストチャーチのモスクで出会った、温かさと優しさ

この4月、ニュージーランドを訪れたとき、クライストチャーチのアルノール・モスクへ立ち寄った。

その1ヶ月前、50人以上の犠牲者を出した、銃乱射事件の現場となったモスクのひとつである。

立ち寄ったきっかけは、ひょんなことだった。

その日、クライストチャーチ植物園の前に設けられている、事件の追悼場所を訪れた。

数えきれないほどの花束、そして追悼のメッセージが書かれたプレート……。

その中に、

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旅が始まる瞬間。

たとえば、異国への旅に出るとして、その旅が始まる瞬間っていつだろう?

家を出発したとき? 日本を出国したとき? 飛行機が飛び立ったとき? 現地の空港に着いたとき?

僕にとって、異国への旅が始まるのは、いつだって、「成田空港行きのリムジンバスに乗った瞬間」だ。

いつも僕は、海外旅行に行くとき、横浜駅に隣接するYCATというバスターミナルから、リムジンバスに乗って、成田空港(ときに羽田空港)へと

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ニュージーランドで、「深夜特急」という名のカフェに出会った話

ミッドナイト・エクスプレスとは、トルコの刑務所に入れられた外国人受刑者たちの間の隠語である。脱獄することを、ミッドナイト・エクスプレスに乗る、と言ったのだ。
(沢木耕太郎『深夜特急』エピグラフ、新潮社)

旅をしていると、旅の神様から思わぬプレゼントを貰うことがある。

その夜、僕はニュージーランドのオークランドで、夕食をとる店を探していた。

ニュージーランド最大の都市とはいえ、オークランドは静

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