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ロシアW杯半端ないって!と現地観戦者が思った7つの理由

「ロシアW杯は史上最高の大会だった」

FIFAの会長のみならず、現地を訪れた多くのサポーターからそんな声が聞こえてきます。

そして僕もまた、2週間かけてロシアでW杯を観戦した一人として、やはり同じ感想を抱いています。

いったいロシアW杯の、何がそんなに良かったのか?

いろいろと考えてみた結果、ロシアW杯が「半端なかった」と思う理由は、次の7つです。

1.「FAN IDの効力」が半端ない
2.「劇的な試合の連続」で半端ない
3.「ロシアの人々の熱狂」が半端ない
4.「開催都市が魅力的」で半端ない
5.「ホスピタリティの高さ」が半端ない
6.「ボランティアの若者の優しさ」が半端ない
7.「芸術的な空」が半端ない

……というわけで、これら7つの「半端なさ」について、ロシアでの旅を振り返りつつ、紹介していきたいと思います。

1.「FAN IDの効力」が半端ない

ロシアW杯を現地観戦するすべての人が取得した「FAN ID」。公式サイトから簡単な申請をして入手すると、普段は必要なビザが免除に。外国人の入国に厳しいロシアですが、このFAN IDのおかげで多くのサポーターが気軽にロシアを訪れることができました。

さらにFAN IDが優れていたのは、試合開催当日は市内の公共交通機関(地下鉄、バス、トラムなど)が無料になったり、開催都市を結ぶ長距離寝台列車に無料で乗車できたりしたこと。無料の寝台列車をうまく利用すれば、旅費を大幅に下げることもできたのです。

モスクワの空港と市内を結ぶ鉄道も、試合開催日前後なら乗車料金500ルーブル(約870円)が無料。まさにFAN IDは、水戸黄門の印籠のようでした。

2.「劇的な試合の連続」で半端ない

これは現地観戦者だけでなく、W杯を見ていた人なら共通の思いのはず。W杯って意外と淡白な試合が多くなることもありますが、今回のロシア大会は本当に面白い試合の連続でした。壮絶な打ち合い、アディショナルタイムの奇跡、思いがけない番狂わせ、PK戦までもつれ込む死闘……。

僕が現地観戦した5試合を例にしても、うち4試合(日本vsセネガル、韓国vsドイツ、スペインvsロシア、日本vsベルギー)が劇的な展開の「神試合」に。ゴールが決まるたびに、スタンドが揺れるほどの大盛り上がりとなり、これぞW杯!という興奮を味わうことができました。

日本がベスト8進出をかけて戦ったベルギー戦。喜怒哀楽に溢れた後半の45分間は、一生忘れることができない時間に……。

3.「ロシアの人々の熱狂」が半端ない

今回のロシアW杯がここまで盛り上がってくれたのは、開催国ロシア代表の活躍があったからこそ。史上最弱の開催国と言われながら、ベスト8にまで昇りつめる見事な快進撃。PK戦の末にスペインを破ったあのルジニキスタジアム、7万8000人の歓喜の瞬間には心震えるものがありました。

さらに驚くことになったのが、その夜のモスクワの光景。街はロシア国旗を振る人で溢れ、車はクラクションを鳴り響かせ、あちこちで大きなロシアコール……、みんなが勝利の喜びに酔いしれていました。きっとあの夜は、ロシアの人々にとってこの上ない幸せな夜だったのだと思います。

モスクワの熱狂は、ついに明け方まで続くことに。街は酔っ払いだらけになり、いろいろと凄かった(笑)。

4.「開催都市が魅力的」で半端ない

ロシア各地の11都市で試合が行われた今回のW杯。どの都市にも個性的な魅力があり、試合観戦の合間に観光やグルメを楽しむことで、サポーターの満足度はアップ。僕が訪れたのは5都市(モスクワ、エカテリンブルク、カザン、ヴォルゴグラード、ロストフ・ナ・ドヌ)でしたが、どこも本当に素敵な街でした。

たとえば、日本代表のキャンプ地にもなったカザン。世界遺産のカザン・クレムリンがそびえるこの街は、イスラム文化が色濃く残り、中央アジアのような雰囲気。夜になるとクレムリンはライトアップされ、ブルーの屋根のモスクが輝く姿は、うっとりするほど幻想的でした。

多くの日本人サポーターが訪れたのが、ヴォルゴグラードの「母なる祖国像」。日本の決勝T進出の喜びとともに、この像を見上げた人も多いはず。

5.「ホスピタリティの高さ」が半端ない

ロシアW杯は、サポーターへの「おもてなし」も抜群でした。空港や鉄道駅だけでなく、街の随所にインフォメーション、そして街角には英語表記の地図や案内板があり、初めての街でも迷うことなくスタジアムへ。深夜3時の鉄道駅にまでボランティアスタッフがいたのにはびっくり。

感心させられたのは、その都市を訪れるサポーターをちゃんと意識してくれていたこと。日本の試合が行われたエカテリンブルクでは、地元の大学生が日本語でスタジアムの案内をしていたり、韓国の試合が行われたカザンでは、女子高生がK-POPダンスを披露してサポーターを盛り上げていました。

日本の試合会場では、きゃりーぱみゅぱみゅの曲がお出迎え。星野源の「恋」まで流れ、日本人サポーターを鼓舞してくれました。

6.「ボランティアの若者の優しさ」が半端ない

街中で、そしてスタジアムで、いつも明るい笑顔で歓迎してくれたボランティアの若者たち。ロシアW杯が成功した1番の理由は、彼らの存在にあったと言っても過言ではないでしょう。道に迷っていると、すぐにそれに気づいた若者が声を掛けてくれる……、そんなことが何度もありました。

エカテリンブルクの駅で寝台列車に乗り遅れたときは、ボランティアの女の子が駆けつけてくれ、30分以上もかけてチケットの振り替えをしてくれることに。3時間後の列車出発のときには、駅舎からホーム、列車の中まで案内してくれる「神対応」で、その優しさに感謝することになりました。

スタジアムへ向かうサポーターを楽しませてくれたのが、ボランティアの若者たちとのハイタッチ。彼らのおかげでお祭り気分も高まることに。

7.「芸術的な空」が半端ない

W杯が開催された6月~7月のロシアは、一年で最も日が長く、爽やかな気候に恵まれた季節。晴天の日が多く、サポーターは快適に旅を楽しむことができました。そんな初夏のロシアで毎日のように見ることができたのが、どこまでも美しい「空」の風景。

鮮やかな青空と、そこに浮かぶ巨大な入道雲や無数の小さな雲。まるで絵に描いたように美しい、壮大な空が広がっていました。試合前の昂揚感と、試合後の喜びや悲しみ……、サポーターの気持ちにいつも寄り添ってくれたのは、ロシアの芸術的な空でした。

ロストフ・ナ・ドヌで見上げた夕暮れの空も美しかった。4年後のカタールへと、この空はきっと繋がっている……。

ロシアW杯現地観戦を終えて、いま思うこと

……ということで、ロシアW杯が「半端なかった」と思う理由は、次の7つでした。

1.「FAN IDの効力」が半端ない
2.「劇的な試合の連続」で半端ない
3.「ロシアの人々の熱狂」が半端ない
4.「開催都市が魅力的」で半端ない
5.「ホスピタリティの高さ」が半端ない
6.「ボランティアの若者の優しさ」が半端ない
7.「芸術的な空」が半端ない

「半端ない」ロシアW杯の現地観戦を終えて、僕がいま思うのは、ロシアという国に対する気持ちの変化です。

今回の旅で出会うことになったのは、かねてから抱いていたイメージとは大きく異なるロシアの姿でした。

暗い印象を持っていたロシアの風景が、あんなにもカラフルで明るかったこと。
冷たく無愛想だと思っていたロシアの人々が、素敵な優しい笑顔で溢れていたこと。

そんな「本当のロシア」に出会えたことで、イメージは大きく変わり、いまではロシアが大好きになりました。

それは僕だけのことではなく、今回のW杯でロシアを訪れた多くのサポーターに共通する思いなのかもしれません。

「ロシアW杯は史上最高の大会だった」

そう結論したFIFAの会長は、プーチン大統領にこんな言葉を伝えています。

「(今回のW杯で)世界中がロシアに恋をした」と。

たぶん、現地を訪れたサポーターも同じ。

サッカーボールを追いかけているうちに、気づけばロシアに恋をしちゃったんだと思います。


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