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映画『PERFECT DAYS』を見て

映画『PERFECT DAYS』を夫と見た。夫も私も面白いと思ったし好きだったけれど、感想の違いから、やっぱり価値観の違いが浮き彫りになった気がする。(ネタバレはないはず。)

まず、こんな単調な繰り返しの毎日、退屈過ぎない?と夫は言った。それを面白がって見てはいたけれど、自分には無理という感じ。私は純粋にうらやましく、そういう暮らしがしたい、と思った。ルーティンがあって、自分の好きなものが分かっているシンプルな暮らし。

そして、主人公の「今度は今度、今は今」の言葉の意味が夫には分からなかった。どういう意味か分かる?と聞かれて驚いた。未来のことは分からないから今は考えない、という意味に私は受け取って、今は今のことだけ考えるマインドフルネスに通じる大切な言葉だと感じた。今必要なものではなく、未来のことばかり考えて、色々と新しいものに手を出してばかりの夫には分からないらしい。

ただ、主人公が家族から孤立することを選んでいるところ、「繋がっているように見えても繋がっていない世界」については、二人ともその悲しみや辛さを強く感じ取った。そういう時には夫に親近感を持つから、やっぱり同じような経験や価値観って大切なんだろう。

あと、どうでもいいことだけど、小料理屋のおかみさんが
歌を歌い出した瞬間、これは石川さゆり?と思って確認したら、その通りだったので、自分でも驚いた。そんなに好きな歌手だったわけでもなく、久しぶり過ぎて顔では全く気づかなかったし、歌っていた歌も演歌ではなかったのに、歌声で石川さゆりだと思わせたその歌声の力に感心した。でも、そういう感動も、アメリカ人の夫とは分かち合えないのがさみしい。

映画を見終わって、シンプルでミニマルな暮らしに対する価値観の違いを確認し、夫の買い物癖や新しいことに次々と手を出す癖は、心が常に未来にあるからなんだなぁ…と気づいた。今あるもの、今必要なものではなく。それをただそばで見ているのは、実に腹立たしかったり、がっかりしたりするけれど、私は私、今は今、自分の好きなシンプルでミニマルな暮らしを貫くしかない。映画『PERFECT DAYS』の主人公のように。

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