萌えを撃ち抜く忍殺プレゼン(1)SFガジェット編(上)

突然だが、あなたは萌えに撃ち抜かれたことはあるだろうか?私はある。数えきれないほどある。萌えというのは見えないトラップのように襲い掛かって来るものであり、いつ、どこに撃ち抜かれるかは本当に分からない。

前記事で紹介したニンジャスレイヤーは、まさにそんな萌えの地雷敷設地帯といっても過言ではない。
先にも述べたように、この作品は多くのジャンルを内包した物語である。それゆえ、読み進めれば読み進めるほど、萌えに撃ち抜かれ、己の好みをまざまざと見せつけられるのだ。しかし、ニンジャスレイヤー=何かスゴイ日本語のスゴイ世界観のやつ、というイメージがある層には、「えっニンジャ……?こわ……」と思われているのではないか。このままではいけない。

そこで、独断と偏見と愛と萌えをてんこもりにしてなんかスゴイ衝動のままに、勝手にテーマを設定して忍殺エピや設定の魅力を語彙力低めで書いていきたいと思う。小説だから……と敬遠している人最近読み始めたばかりのニュービーにも、この作品にはこんなに萌えが詰まってるよ!というのをアピールしたい。

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まず、取り上げたいのは忍殺世界のサイバーパンク感を演出するSFガジェットである。
「SFよく分かんないなあ……」という人も安心してほしい。私もSFというジャンルに触れて来なかったが、すんなり忍殺世界に馴染むことができた。その要因は、「分かりやすさ」にあると思う。そう、SF素人が一目で近未来っぽい/科学っぽいと思えるガジェットの存在である。
今回はその中でも個人的にグッときたものを3つのテーマに絞ってご紹介したい。

①ネットワーク――電脳世界と精神世界の交錯
忍殺のサイバーパンク性を象徴するものとして、世界を網羅する広大なネットワークがある。細かい仕組みに関しては先達熟練ヘッズたちがまとめてくれているので、それに関連してハッカーの存在にフォーカスしよう。

ハッカーとは、おおむね私のようなSF/IT素人が思い描く、何かネット世界でデータをあれこれしたりするスゴイヤツという認識で良いだろう。忍殺世界では、ネットワークを介して電子的な攻撃を行ったり、ときには生体LAN端子(注:人体とネットワークを接続するための端子)と電子機器を直接接続(直結)してダメージを与えたりする人々である。「なんか難しいんでしょ?」と思うが、忍殺世界のハッカーの能力はおおむねタイピングの速さによって規定されている。つまりタイピングが速ければ速いほど強い。強いからネットワーク上で色んなことができるという訳だ。単純明快!しかもハッカーはスゴイ級<テンサイ級<ヤバイ級の順にランク付けされている。更に分かりやすい!たかが電脳世界でと侮るなかれ。彼らの手にかかれば、堅牢なセキュリティは突破され、口座から大金が抜き取られ、物理的な爆発すら引き起こす。

さて、作中で数多登場する中でも特にイチオシのハッカーが第2部から登場するシバカリだ。彼はとにかくクールな仕事人だ。テンサイ級ハッカーであるが、その能力を誇示することなく飄々とハッキングをこなしていく。たびたび飛び出すハッカー独特の言い回しもまた魅力的だ。こめかみに6つの生体LAN端子が開けられているところなどもアウトローっぽくてツボだ。彼の活躍するエピソードでオススメなのは、第2部「シージ・トゥ・ザ・スリーピング・ビューティー」と第3部「フー・キルド・ニンジャスレイヤー?」である。

▲「フー・キルド・ニンジャスレイヤー?」より。
  シバカリの無機質な言葉遣いがかっこいい。

この2つのエピソードを読めば、シバカリのかっこいい仕事ぶりとネットワーク空間でのハッカーの強さが実感できるだろう。そう、ネットワーク世界であれば普通の人間でもニンジャと戦えるということが示されているのだ。

前提として、ニンジャはカラテ(注:気功などのようなエネルギー概念、または武道全般を表す広い概念)ジツ(注:個々のニンジャが持つ超常能力)などの超人的能力を持つ、一般人とは隔絶した存在である。しかし、そんな相手であっても、ハッキング能力が高ければ、対等、もしくはそれ以上に戦うことができる。ここに、ニンジャスレイヤーのバトルが単純化しない工夫があるのだと思う。すごくないですか?物理的には絶対敵わない相手に電脳世界であれば勝利できるかもしれないとかロマンが溢れている……。
ここで「ん?ニンジャもハッキングするの?」と思う方もいるだろう。ニンジャ世界に慣れきってしまうとさらっと受け流す事実だが、ニンジャとハッカーは両立できる。また、ニンジャの中にはジツを使って直接電脳世界にアクセスするものもいる。細かい仕組みに関しては、直接読んだ方が分かりやすいかもしれない。忍殺はことネットワーク世界に関してかなり感覚的に理解しやすいようになっている。そしてちょっと疑問に思ったことも、Wikiにアクセスすれば分かりやすい解説がある。まずは怖がらずに読んでみるのがおすすめだ。
このネットワーク世界に関しては、語り尽きることがない。テクノロジーの権化たる電脳世界でありながら、多くの謎を含む精神的・神秘的な異空間であるからだ。そういうわけで、多くを語るとネタバレになってしまうのでできれば謎は謎のままに読み進めてほしい。

【今回取り上げたエピソード】
※「シージ・トゥ・ザ・スリーピング・ビューティー」
http://wikiwiki.jp/njslyr/?%A1%D6%A5%B7%A1%BC%A5%B8%A1%A6%A5%C8%A5%A5%A1%A6%A5%B6%A1%A6%A5%B9%A5%EA%A1%BC%A5%D4%A5%F3%A5%B0%A1%A6%A5%D3%A5%E5%A1%BC%A5%C6%A5%A3%A1%BC%A1%D7
※「フー・キルド・ニンジャスレイヤー?」
http://wikiwiki.jp/njslyr/?%A1%D6%A5%D5%A1%BC%A1%A6%A5%AD%A5%EB%A5%C9%A1%A6%A5%CB%A5%F3%A5%B8%A5%E3%A5%B9%A5%EC%A5%A4%A5%E4%A1%BC%A1%A9%A1%D7

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思ったより長くなりすぎてしまったのでとりあえず上下編に分けます(無計画!)。まだまだ語り足りないのでどんどん特攻する!ガンバルゾー!

(了)


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