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富山地方鉄道で行く 昔を訪ねる旅 魚津・黒部(富山)

富山市内と富山東部への路線を持つ「富山地方鉄道(富山地鉄)」
立山・黒部アルペンルート、黒部峡谷への観光に使われる鉄道になります。

今回は、天気も悪かったのもあり、山中までは行かず、富山の平野部を東へ、東へと向かいます。


【電鉄富山駅】懐かしい香りの地鉄のターミナル

富山地鉄のターミナル・電鉄富山駅は、JRの富山駅を南に出てすぐの所にあります。
昭和の頃のような懐かしい雰囲気が、駅構内に漂っています。

駅構内に入ると、随分と懐かしい列車がいました。

京阪電車で、かつて特急列車として使われていた「テレビカー」
関西を離れて、富山で余生を過ごしていたのです。

初めての富山地鉄で最初から関西ゆかりの列車を引き当てるとは、ついています。

車内の様子。
昭和の頃を思わせる車内に、意外にクッションのある転換シート。
ここから、まずは魚津まで。約1時間の旅です。


地鉄で富山平野を行く

富山の平野部へは、立山など南の山々から、いくつもの川が富山湾へと注ぎ込んでいます。

富山地鉄の走っている範囲でも、成願寺川・早月川などいくつもの川が北へと流れています。

この日は、あいにくの天気ですが、北から東には立山連峰をはじめとした、山々がそびえています。

途中の上市駅。
ここで、宇奈月温泉方面から来る列車の待ち合わせします。

この上市駅は、ターミナル式の駅のため、ここで列車の走る向きが逆になります。

列車の進行方向を私は割と気にするので、席の向きを変えたくなるたちなのですが、地元の方たちはあまり向きに意に介する様子もなく、そのまま座っていました。

待ち合わせの列車が来るとすぐに、乗っていた列車は出発しました。

富山から1時間ほどして、北側には日本海と観覧車が見えてきます。

この観覧車は、魚津の遊園地・ミラージュランドのもの。
ミラージュランドの辺りには、魚津水族館もあります。

ここまで来ると、あと少しで魚津市街です。


【電鉄魚津】城下町と米騒動 魚津市街

電鉄富山駅から1時間かけて、「電鉄魚津駅」に到着です。

魚津の昔からの市街地に近いのは、この「電鉄魚津駅」になります。


電鉄魚津駅から徒歩5分ほどの所にある、「魚津城」の跡。
残念ながら、遺構らしい遺構はほとんど残っていません。

魚津は、富山の平野部の東寄りにある、重要な拠点だった場所でした。

戦国時代の越中(現・富山県)の東側を拠点としていたのが椎名氏。そのバックにいたのが、越後の長尾氏(後の上杉氏)でした。

越後の長尾氏の春日山城(現・新潟上越市)側から見ると、越中方面は山がそびえていて乗り越えにくい場所です。
そのため、東側の平野部である、魚津は越中攻略の上で、重要拠点だったのです。

富山の戦国時代の話は、こちらも良ければご覧ください。


魚津城跡から、あと5分ほど海の方へと歩けば、木造の倉庫が残されています。
ここ魚津は、第1次世界大戦後に、米価高騰への反発から起きた「米騒動」が、最初に起こった場所でした。

魚津から米の運び出しを阻止すべく、地元の人たちがこの倉庫の前に立ちふさがり、集結したことがきっかけで、全国的な暴動に発展したのです。
結果、当時の寺内内閣が総辞職する事態にまでなりました。


米騒動発祥の地の倉庫の正面に広がる富山湾。
気象条件によっては、蜃気楼が見られる場所だそうです。

魚津は富山東部の経済の中心だった港町。
ここを東西色々な物品が行き来していた場所です。

陸運が中心となった現在となっては、その面影はありませんが、見事な富山湾は、今もそこにあるのです。


【新魚津】かつての北陸特急の停車駅 「魚津駅」

電鉄魚津駅から、更に黒部方面へと向かいます。

電鉄魚津駅から1駅の「新魚津駅」
隣には、あいの風とやま鉄道(旧JR北陸本線)の「魚津駅」が見えます。
ここで富山地鉄からの乗換が可能です。

魚津駅はかつて北陸本線を往来する特急の停車駅でした。
ここで富山地鉄に乗換して、黒部峡谷に向かう玄関口だったのです。
それもあって、長大編成の特急が停まれるよう、魚津駅のホームは非常に長いものになっています。
もっとも、今はその長さが必要な列車の姿を北陸では見かけなくなってしまいましたが。

ここで多くの地元の学生を乗せて、黒部方面へと向かいます。


【電鉄黒部】黒部市街のターミナル

電鉄黒部駅
ここで、宇奈月温泉から来る列車との待ち合わせになります。
黒部市内に近いことから、富山地鉄のターミナルの1つとなっています。

電鉄黒部駅から、かつては黒部駅とも線路が繋がっていたらしいのですが、それはもう国鉄時代の話。

昭和を感じさせる雰囲気が、この駅には残っていました。


【新黒部】現在の黒部峡谷の玄関口へ

電鉄魚津から30分弱で、新黒部駅に到着です。

新黒部駅前には、トロッコ列車の姿もあります。
ここから30分ほど行った終点・宇奈月温泉駅から、黒部峡谷鉄道が走っていて、終点の欅平(けやきだいら)までトロッコ列車が走っています。

というのも、黒部ダムの開発の資材運搬のために路線が開拓された、という経緯があったからです。

2024年からは、欅平から先、黒部ダムまでの区間も一般開放され、「黒部宇奈月キャニオンルート」として巡ることができるようになるようです。

新黒部の駅は、北陸新幹線の黒部宇奈月温泉駅との乗換駅。
ここからであれば、速やかに黒部峡谷へと向かえる場所になります。

ただ、富山地鉄の便も、北陸新幹線も、1時間に1本程度。
多少時間があるようなら、駅前に黒部・富山の自然について描いた展示が出ていて、それを見ると、いい時間つぶしにはなるかと思います。


この日は、連日の大雨のため、黒部峡谷まで向かうのは断念しました。
富山地鉄の古き良き雰囲気を感じ取れる旅でした。

この先は、次の機会にでも。


この日は、富山市内に戻り、富山湾の海の幸と、水豊かな富山が育んだ日本酒とを。

これも富山の自然があるからこそ味わえる、贅沢でした。


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