2021年軽トラキャンピングカー製造の歴史Ver2.01

木製の次のバージョンに移ることが大事だ、と思っていました。問題点は早く多く造ること、そしてできる限りのいいものを提供すること。そのための取り組みでした。前回の話はこちら。

木製から始まり、アルミ+木のハイブリッドへと進化させようかどうしようか、悩んでいるさなか。両にらみで製造は続いていました。私は知らなかったのですが、工務店さん(大工さん)は「木」のプロで、金属はなかなか扱うことがないという事実。でも関係者みんなは、建築では鉄骨造の家とか多いので、ある程度の経験を積めば、慣れてくれば、簡単にできるだろうと、思っていました。しかし、いざ木造から「アルミ+木」のハイブリッドに移行しようとすると、材料コストも高いことと、溶接設計なので製造工程が大幅に増え、逆に溶接することにより変形が多く発生してしまうこと、などが問題となりました。ですので、大工さんが慣れるにはかなり時間のかかり、1か月くらいの練習では、作れない設計だったのです(当時はまだ気づいていません)。そこで、非鉄金属のプロを招集し、一緒に三田工場で作ってもらう、ということを並行してやっていました(実はこれが気づいていない失敗の1つ目です)。製品をニューバージョンに移行するための、取り組みでした。

同時に、そのころ、関西には「関西空港が沈む」レベルの台風が来てまして、民家の屋根という屋根が吹き飛びました。それにより、地場工務店へ屋根改修工事特需が発生したのです。提携していた工務店さんにもその仕事は実際にいくつかは、依頼がきていました。そして、大工さんから言われたこと。それは、「屋根の改修工事がいっぱい入ってきたから、あんまり木製キャンピングカーはつくれない」という言葉でした。製造キャパを増やさなきゃいけない、だから工場も手に入れた、いいものを早く多く造るための製造プロセス改革もやっている。非鉄金属のプロからの助言で、溶接が難しいから自動溶接ロボットを入れましょう、大型の治具を造りましょう、といろいろと大きな、とても大きな買い物もしたところです。軌道に乗れば従来より、圧倒的に多く早く造れるのは間違いない。投資も完了したのだからあとは修練していけば、屋根工事は突発的需要で、それが無くなったらまた仕事が無くなるよ。自分たちで生み出せる製品を作ることのほうが大事じゃない?と何度もいいました。が、彼らは屋根工事に傾注していきます。

私は理解していませんでした。彼らが、感じていることを。自分たちの作品が否定されているように感じる。アルミ造なんてやったことがないことを今更やりたくない。新製品への設備投資ばかりして自分たちのほうには投資をしてくれない。つまりは自分たちは新製品ができたら捨てられるんじゃないか、と。だったら先に手を打っときたい、キャンピングカーに頼るのではなくて仕事をつくっておかないと、という感じだったのだと、あとでわかりました。もっともっとコミュニケーションを取って未来のビジョンを一緒に共有できていたら、と今となっては思います。当時は「なぜ仕事を放りだしたり、目の前のチャンスを捨てるのか理解ができない」と思っていました。

ですので突如自分たちでVer2を造らないといけなくなってしまいました。私も建築をしていたのだから、ここは踏ん張らないといけないな、ということで台風明けからずっと工場に朝7時から夜中3時くらいまで居る、という状態が始まります。途中すこし抜けて、営業したり、銀行と打合せしたり、採用をしたり、といったことをやっていました。製造する人がほとんどいなかったので、かなりの人を募集したことを覚えています。ものすごいお金が無くなっていきました(涙。それでも残念なことに、作れる台数は、木製のときよりも少なかったのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?