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「スウェーデンを抜け、デンマークへ」

世界一周452日目(9/23)

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早起きする必要もない。

目覚めたののは10時過ぎ。

日本で真面目に働かれている方々に対して
少しだけ罪悪感を感じてしまうのは、
僕が日本人だからだろう。

決まりきった時簡、長い時間を
働けばいいってもんじゃない
とは思うけど。


ヒッチハイクする場合、
乗せてもらえる確率は少しでも上げておきたいから
朝のうちから起きるけど、今日はそんな必要もない。

デンマークまではメトロで行くことができるから。

ここはスウェーデン、マルメ。

僕がテントを立てたのは公園だった。

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ジョギングする人の足音。

幼稚園児たちの声。

通りを走る車の走行音。

時々風が吹くと、テントのフライが
ふんわりと風になびいた。

テントから顔を出すと、
昨日と打って変わって
空は気持ちがいいくいらいの晴天だった。

温度も昨日よりかは高い。いい一日の始まりだ。

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のんびりとテントをたたむと、
買った噛みタバコを口に含んだ。

唾は飲みこまないように注意して、
茂みに唾液をぺっと吐き出す。

ってここまで書いておいて、
噛みタバコって汚いな…。

昨日スーパーで口をクチャクチャ
動かしていたおばちゃんに
「噛みタバコってどう味わうんですか?
唾とかどうしてます?」って訊いたら

「飲むのよ!」と言われた(笑)


念のため別のお店のお兄さんに訊いてみると

「唾は飲んじゃいけないよ。
そして噛みタバコを口に含むなら
左上の歯と唇の間だよ。
逆だと目に悪いからね」
とまでアドバイスしてくれた。

噛みタバコは煙の出ないタバコ、
口に含む、というか唇と歯の間に
タバコの葉の入った
ガムくらいのサイズの袋を入れるんだけど、

これってどう味わうんだ?
唾を味わって吐き出すってか?

今まで煙をスパスパ吸っては吐いていた
僕にとってはなんとも味気ない。


ちなみにタバコは
28歳にはやめるつもりだ。

なんで28歳かって。何となく。

そしてベジタリアンへとなるのだ。

ランニングとかしちゃって健康志向。

体に悪いことしてるのに、
健康に関心がある変なヤツが僕だ。

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マクドナルドで日記でも
書こうかと列に並んだが、
店内の込み具合を見て、
自分の番の直前で列から離れた。

向かったのは昨日、僕によくしてくれた
イラン人のベニィさんのパスタ屋さんだった。

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目が合うとベ二ィさんは「ハロー」と
元気よく挨拶してくれた。

コーヒーを頼もうとすると、
ベニィさんは「お金はいらないよ」と
僕にタダでコーヒーをごちそうしてくれた。
マジでありがとうございます。

お昼前の時間帯で、
店内には若い人が二人ほどいた。

時々「ピンポーンッ…」と自動ドアが開いて、
パスタの持ち帰りをするお客さんが入って来る。

僕はそれを横目にパソコンのキーボードを叩いた。


「お腹減ってるかい?」

「え、ああ、ちょっと」

「パスタをごちそうするよ」


ベニィさんはそう言って、
昨日僕が選んだ4種類の野菜を
覚えていてくれたのか、
何も訊かずにボウルによそっていった。

選んだ野菜とパスタをさっと茹でて、
クリームソースと絡めれば
野菜たっぷりのパスタのできあがりだ♪

お礼を言ってモリモリと食べた。

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僕は一体ベニィさんから見て
どういう存在なのだろうか?

たまたま昨日、閉店間際にやって来たアジア人だ。

ベニィさんの故郷のイランを訪れたってのはある。

どうしてここまで
よくしてくれるのだろうと不思議に思う。

日本でもし、僕がイラン人に会ったら、
ベニィさんと同じことができるだろうか?

「やぁ、よく来たね。
イランから日本は遠かったろう」

みたいに。

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13時まで日記を書いた。

ただでさえ日記がリアルタイムに
追いついていないのに、
一週間前の出来事をiPhoneのメモを頼りに
こうして長々とした文章に書き起こしている。

しょっちゅう日記を書くのが
めんどくさく感じる時がある。
これがなかったらどんなに楽だろう。

でも、これがなかったら
自分の旅を辿れないのも分かっている。


1年2ヶ月旅をしてきて、
記憶はどんどん薄れていく。


三ヶ月前を自分の記憶を頼りに
正確に思い出すことはできない。残念ながら。

日記として自分の旅の記録を残しておくことで、
僕は自分の旅を思い出すことができるのだ。

誰かに公開するブログという形式をとることによって、
「書かないとな」ってサボらずに続けることができる。

時には日記を書いて発信していることで
素晴らしい出会いに恵まれる時もある。

ひとつの記事に一時間以上。

そして毎日分の記事を書くことは、
一見自分の時間を無駄にしているようにも
思えるかもしれない。

だけど、それに見合った
フィードバックみたいなものが
あることは間違いない。


「じゃあそろそろ
コペンハーゲンに行きます」

と荷物をまとめた。

ベニィさんは大きく腕を広げる。

僕もそれに応えるように
サブバッグを置いて腕を広げた。

旅をしているとハグをする機会が多い。

握手なんかよりも
よっぽど親密なボディランゲージ。

ありがとうベニィさん。
あなたに会えてよかったです。

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マクドナルドの外のテーブルに着いて
Wi-Fiにありついた。

外はほんとうにいい天気だった。

昨日よりも人通りが多い。いい秋の一日。

なんだか最後にここで歌いたい気持ちになった。

ショッピングストリートでギターを構える。

レスポンスはわずか19クローナ。

でもそれでよかった。あっても使わないしね。

そこらへんで紙コップを持っている人たちと
コインをシェアして、
残りの10クローナで一番安いジュースを買った。

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小銭を出したくなかったので
クレジットカードでコペンハーゲン行きの
電車のチケットを購入する。

チケットはレシートみたいな薄っぺらい紙だった。

電車がのホームは
まるでSF映画にでも出てきそうだった。

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電子表示を何度も確認して
コペンハーゲン空港行きの電車に乗り込んだ。

スウェーデンの駅にも
他のヨーロッパの国と同じように
改札がなく、ただ乗りできそうに思えたが

もちろん車掌さんが切符の確認に来た。

ドイツで
無賃乗車した場合のリスクの高さは
痛いほど分かった。

もう二度とやるまい笑。


メトロがスウェーデンとデンマークを
結ぶ海上ブリッジを渡る時、
遠くの方にいくつも風力発電の羽が見えた。

きっとあそこでは
いい風が吹いているんだろうな。

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電車はあっという間にデンマーク、
コペンハーゲン空港へと到着した。

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またデンマークに戻ってきたのだ。

明日の13時55分に
僕はアイルランドに向けて出発する。

一瞬、クリスチャニアに
寄って行こうと思ったが、

お金もあまりもっていないし、
日記を一気に書きたかったので
今日は空港に留まることにした。

そのために昨日食糧も買っておいたのだ。


空港内は、特にデンマークは食べ物の値段が高い。

どうしてもコーヒーが飲みたくて
29クローナ(545yen)もするコーヒーを
クレジットカードで買ってしまった。

そこからはひたすら日記を書いた。

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23時をまわって、
僕は横になれる場所を探したが、
空港内にそんなベンチを
見つけることはできなかった。

全てのベンチが一人分か二人分に区切られており、
横になることができないベンチだ。

中にはそれでもベンチで寝ようとする
根性のある空港泊者もいる。


ちなみにコペンハーゲン空港は
Wi-Fiすら使えない。

一見鍵がかかっておらず、
使いたい放題に見えるのだが、
いざ空港のWi-Fiにつなげてみると
有料でネットにつなげることがわかる。


たったひとつの手すりのないベンチは
僕が寝る前に他のヤツにとられてしまっていた。

軽装な僕くらいの年齢の欧米人。

手すりの無いベンチの真ん中に
「デンっ」と座っている。

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すぐ隣りのベンチでソイツが
どこかに行きやしないかとうかがっていたが、
待っている自分がばからしくなった。

『おーおー、ナメんじゃねえよ?』
今まで何回野宿かましてきたと思ってんだ?
ベンチに横になれないくらいで
寝れねえとでも思ってんのかコラ!

と心の中で妙に喧嘩腰(笑)

コペンハーゲン空港ごときで
眠れないなんて負けだぜ。


今日の寝床はベンチの下。

荷物は盗まれないように
ベンチの奥に置きやり、

ドルトムントで買った
6ユーロの小さな銀マットを敷いて寝た。

他人の目なんか気にしてたってしょうがない。

だって僕は明日にはここを発つのだから。

直に床に横になってみて思ったことは、
床を転がるスーツケースのタイヤの音や、
床を掃除する清掃車の音が
かなり大きく聞こえるということだった。

僕の耳元で人々の足音がせわしなく聞こえる。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。