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「nudie jeans一号店へ in スウェーデン」

世界一周448日目(9/19)

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寝なくても
全然平気じゃ~ん!

と調子に乗れていたのは深夜1時までで、
それ以降時間が経つにつれて
どんどん眠くなってきた。

空港内にある自販機で
1.5ユーロ(210yen)のコーヒーを
何回か飲んで目を覚ました。

ここはドイツ、ベルリン、テゲル空港。



今日の朝の便で
僕はスウェーデンへと向かう。

ボヤボヤする頭で
チェックインの受付場所まで行った。

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電子表示板を見ると、
まだ受付は始まっていなかった。

隣りのベンチに座って目を閉じる。

起きられなくて飛行機を乗り過ごすとか
マジアホだなと思いながら、
ウトウトして受付開始時間を待った。


受付が開始され僕は荷物を持っていった。

預けるのはサブバッグを入れた
バックパックのみ。

ギターは機内持ち込みにするつもりだったが、
機内持ち込みの目安となる籠にいれると、
ネックの部分がはみ出た。
これで追加料金とかになりたくないなぁ。


悩みの種はまだある。

先日、
ベルリン空港からチケットの
キャンセルがされたと
メールが来たのだ。

キャンセルなんてした覚えはないけど、
僕はすぐさまチケットを買い直した。

同じ日の同じ便が
買い直せるだなんて…なぜだ?


「えっとー、お客様、
チケット二枚お持ちですね。
片方のチケットでチェックインを
済ませておきますね?」

「え?どーいうことですか?
勝手に「キャンセル受付ました」みたいな
メール送っておいて!
お金は戻って来るんですか??!!」

送られてきたメールを見せて抗議する僕。

「?払い戻しでしたら
あちらのカウンターで。
は~い次の方ぁ~」


あぁ、だから僕は
飛行機があまり好きじゃないんだ。

乗ってしまえば気が楽なんだけど、
乗るまでにいつも不安な気持ちにさせられる。

そもそもこのプリントアウトしたEチケットも、
ほんとうにこれで受け付けてもらえるか
心配なんだぁボカァ!

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エア・ベルリンのカウンターで
同じことを抗議すると、
何やら"ダブルブッキング"になっていたらしい。
ってなにそれ?

お金は戻ってくるらしいのでひとまず安心♪


そのまま手荷物検査へと向かう。

周りの人は小さなデイパックやら
小型のスーツケースやらで、
僕みたいにギターなんて持ってきているヤツはいない。
これで通れなかったらどおしよう…???

恐る恐るベルトコンベアにギターを乗せた。

そのまま通過していく僕のギター。
パスポートやパソコン、
iPhoneは貴重品入れの籠に入れて、
同じようにベルトコンベアーに流す。

金属探知機のゲートは無音でクリア。

てか何も言われない???!!!

ヨーロッパの空港だったら
ギターは持ち込める!きっと!

エアアジアとかは預け入れ荷物にしないと
課金されるみたいだけどね。確か。


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飛行機に乗り込むのは、
あとはあっという間だった。

時間になって搭乗券をチェックしてもらって、
「それでは良い旅を~♪」みたいな流れだ。

タラップを登って
スウェーデン行きの飛行機に乗り込む。

搭乗員さんたちは僕がギターを
持ち込むことなんか
これっぽちも気にしていない。

なんだ…取り越し苦労かぁ。

ギターは席の上の荷物棚に置くことができた。
これで一安心だ。

時間になると飛行機はテゲル空港を離れ、
一時間半ほどでスウェーデン、
イェーテボリに到着した。





空港は「まさに北欧!」と
賞賛したくなるほど綺麗だった。

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トイレも完全個室で温水が出る。

あー…髪洗っておけばよかったかな?

あまりに綺麗すぎて洗面台のまわりを
ビシャビシャにするのが気が引けたのだ。


とりあえず中心地へ向かうには
どうしたらいいのだろうか?

バスが出ているようだったが、
15ドルくらいする。

ドイツと比べるとやっぱり高く感じてしまう。
だってベルリン市内から空港まで
360円くらいだったからね。

一瞬ヒッチハイクも考えたのだが、
街まではせいぜい20kmちょっと。

逆にヒッチハイクなんて
するような距離じゃないかな…?
乗せてもらえないかも。


マップアプリで確認すると
2kmくらい離れたところにバス停を発見した。

Googleマップのルート検索をすると、
2回乗り継げば街まで行けるようだ。
そっちでいってみよう。

僕は空港から歩いて
ローカルのバス停まで向かった。


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一歩外に出ると、
気候は完全に日本の秋そのものだった。

カラっとした青空。

風が吹くと冷たいくらいの丁度言い気温。

バス停までの道のりは
ちょっとしたピクニッックだった。
なんだか気持ちがいい♪

確認のため、バス停までの道を
尋ねたスウェーデン人のお兄さんは、
柔道のレフェリーだという人で、
親切にもいくらお金がかかるのかを調べてくれた。

いやぁ、なんだか先進国の
心の豊かさみたいなのを感じるよね。
いいことありそうだ♪

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やって来たバスは専用の
磁気カードみたいなものがないと乗れなかった。

近くにそれを買えるような場所はなく、
賄賂みたいにお金を受けとってもらえやしないかと、
アタフタしていると、

運転手のおっちゃんは
「お金はいいから」と僕を
タダでバスに乗せてくれた。あざっす。

乗り換えのターミナルはすぐそこにあった。

ターミナルのキオスクのような場所で
チケットが買えるらしい。

「イェーテボリまでいくらですか?」

「60クローナ(903yen)よ♪(ニコッ)」

高くねぇ~~~…???

だってせいぜい15kmくらいだぜ?

なんだかんだで、空港から行くのと
そこまでお金が変わらない。

きっとこの国もデンマークみたいに
社会福祉がしっかり整った国なんだろうなぁ。
税金とかめっちゃ高そうだもんなぁ。
貧乏パッカーには肩身が狭いぜ…。

VOLVOのばっちし整備されたバスに
僕は乗り込んだ。


『たかがバスごときで
ここまで綺麗なバスにする必要があるのか?』
ってくらいしっかりとしたバスだった。

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僕が乗ってきたローカルバスで
一番高い綺麗なバスだったかもしれない。





バスは20分ほどで
イェーテボリの街に到着した。

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目当ての場所は調べてある。

気持ちがはやる。

歩調も早くなる。

僕が日本にいた時から計画していた。

『世界一周の旅路で必ずここを訪れよう』

と。

日程的にもスウェーデンには
5日しか滞在しない。

だからこそピンポイントでここを選んだ。

"nudie jeans"の一号店がここにはあるのだ。


2001年にここイェーテボリで生まれた
スウェーデン初のジーンズメーカーを
僕が知ったのは大学2年生の時だった。

読んでいたファッション誌の広告に
めちゃくちゃカッコいい広告に目が奪われた。

当時はバイトで稼いだお金は
ほとんど古着とかどうでもいいものに消えていった。

背伸びしたい歳だったのだ。

日本で買うと19,800円もする、
高いジーンズ。

それに加えて
「六ヶ月間洗濯しないで穿き込んでください」
と注意書きされている。

穿き込めば穿き込むほど体に馴染んでいく、
まさに「第二の肌」。

ジーンズのシルエットはさることながら、
会社のコンセプトもカッコいいなぁと思った。


一本目のジーンズは
Thin Finというスキニーフィットだった。
スキニージーンズさえ穿けば
足が長く見えると思っていた20歳(笑)。

6ヶ月穿き続ける途中で股に穴が空いた。
穿き込んでジーンズに穴があくなんて初めての経験だった。

夏場なんてかなり地獄だった。
ベトベトする汗をかいても洗濯できないだなんて。

外に干したり、冷蔵庫にぶち込むなんかして
(そうサイトに書いてあるのだ)、
しのぎ切った6ヶ月間だった。

そのくせ、いざ洗濯してみると、
そこまで期待していた通りの色落ちはしなかった。

スウェーデンと日本の洗濯事情は違っていたのだ。

コインランドリーで60℃で洗濯ってのが無理な話。



一年ごとに新しいnudie jeansを買っては
同じように穿き込んでいった。

最初は穴が空くと修理屋さんに出していたけど、
2回目以降は自分で縫って修理するようになった。

今でも僕の洋服タンスにはボロボロのジーンズがある。

4本目を買った理由は、旅に連れて行きたかったから。

旅で穿き込んだジーンズで一号店を訪れて、
いかに僕がこのメーカーが好きなのか愛を語る!


「ここでもう一本新しいものを買おう」

完璧な計画だった。

そう。チェコで盗難に遭う前までは。

nudie jeansを穿かずに来店だなんてしまらない。
だからこそベルリンのコンセプトストアで
中古のジーンズを買った。

想いは生きてる。準備はばっちしだ!


ショッピングストリートにある
こじんまりとしたお店。

緊張とワクワクしながら
お店足を踏み入れた。

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お洒落な店員さんと目が合うと
「ハーイ。よくきたね」と
フレンドリーに迎えてくれた。

ここからだ。

ここから僕の一方的な
プレゼンテーションが始まった。

パソコンに作った僕が
nudie jeansを穿いて旅しているアルバム集!

ジーンズなら盗まれてしまったけど
ここに写真があるぞ~~~~!

ラァアアアアアアヴッッッ!!!!

いきなりお店にやって来た小汚いバックパッカーから、
ジーンズに対する愛を語られる方も
たまったもんじゃないだろう。

でもさ他に伝える人がいないんだもん。しゃーなし。

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「それは残念だったね。
そして君のアツイ想いもよくわかったよ。
ちょっと待っててくれないか?」

どこかへ電話をかけるお兄さん。

「いやぁ~、なんか変なヤツが
来ちゃってさぁ。なんか一方的に
わめいているんだけど、
うん。まだここにいるよ?
面白いから来てみなよ」

たぶん、そういうことを
言っていたに違いない!

スウェーデン語だからね。
何言っているのかわっかんね!



「ハーイ!」

「あぁ~~~!知ってる!
あなたのこと、
YouTubeで見たことあります!
あの"修理してた人”ですよね??!!」

やって来たのは、nudie jeansのサイトで
ジーンズのリペア動画に
出演していたお兄さんだった。

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「いやぁ~、面白いね。
どう?よかったら僕たちの事務所に
見学にこないかい?
もちろん君がそうしたいっていうならー」

「もちろん行かせていただきます!」

バックパックとギターをお店の
倉庫に置かせてもらい、

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なぜか卓球台がある。

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早足で歩くアジア人顔の
小柄なお兄さんについて行った。

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オートロックで開く事務所の二階。

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「ここは以前は銀行だったんだよ。
それを今では僕たちが
事務所として使ってるんだ。

ハーイ。こちらはマリア。
フロントマネージャーだよ。

こちらはシミ。
僕たちのビッグ・ファンさ。
わざわざ日本からここまで来てくれたんだ」

お兄さんは片っ端から
僕のことを紹介してくれた。

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いきなり来た日本人にみんながウェルカム。

中には「これやるよ!」と
ノベルティをくれる粋なお兄さんまでいた。

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あまりにも紹介され過ぎで、
一人も名前を覚えることができない始末。

でも、ここに来れるなんて、マジで幸せだ。
旅ってほんとうに何が起こるか分からない!!

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「それじゃあ僕は仕事があるから、
さっきのお店へは一人で戻れるね?」

そういってリペアのお兄さんとは
事務所でバイバイした。

興奮冷めやらぬまま一号店へと戻る。



「どうだった?」

「もう信じられません!」

「ところでさ、君、ギター弾くんだ?
もし明日2時間店内でライブやってくれたら
一本プレゼントするよ?」

まじか!!!!!!

「は、はい!
やらせてもらいますぅぅぅうう!
ってマジっすか?!」

「えーっと、どれがいい?
取り置きしておくよ」

事務所の見学させてもらっただけでも
鼻血ものなのに、
タダでジーンズがもらえるってウソォォオオオオ!!!

ジーンズを取り置きしてもらって、
僕はnudie jeans一号店を後にした。

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明日の11時半にお店に行って、
12時からライブ。

一体どんなライブになるんだ?
てか二時間って長いぞ。
MCでどこまで稼げるか重要だな。

最近連日して唄うことはなかったので、
喉のコンディションはバッチしだった。

明日のためにちょっとバスキングしておこう。

練習がてら、ショッピングストリートで
ギターを弾いて唄った。

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こんなにいい通りなのに、
まわりにバスカーの姿はなく、
建物に声が反響して自分でも
びっくりするくらいよく聞こえる。

ただ、反応はイマイチだった。

ドイツの方がよかったんじゃないかってくらい。

スウェーデンの硬貨は1クローナ(15yen)か
5クローナ(76yen)のみのようだ。

うぅ~…物価が高くても稼げないのかぁ~…。


三曲目でランニングウェアを着た
サングラスをかけたお姉さんが
ニコニコしてよって近づいてきた。

「コンニチハ~」

片言で挨拶してくれる。
何やら日本のカルチャーが好きなようだ。

笑顔でギターケースに入れてくれるお札。

500クローナ(7,623yen)。

ってウソぉっっっ!

「え?いいの?」

「ちょっと歌を聴かせてね♪」

そう言って弾き語る僕の横に体育座りをして
ニコニコしてしばらく演奏を聴いてくれた。

し、シンジランネェ…。

その500クローナを除けば、
今日のアガリは20ドルちょっと。

な、なんだったんだあのお姉さんは…
気前よすぎるにもほどがあるぞ…。

一日に立て続けに奇跡みたいなことが起こる。

日本にいるただのいちユーザーだったら
今日みたいな出来事は起こらなかっただろう。


物価が高いこの国で、僕はセットで買うと
値下がりするリンゴとバナナを買った。

マクドナルドで10クローナのコーヒーと
チーズバーガーを食べながら
23時くらいまで日記を書いた。


外に出ると、秋から冬に変わっていた。

体をこわばらせながら公園にテントを張った。

サバイバルシートが熱を逃さない。

明日は店内ライブかぁーーー…、

どうなるんだ???

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