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「マルメの街で一人ぼっち in スウェーデン」

世界一周451日目(9/22)

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「寒くて布団から出られない」

だんだんそんな感覚になってきた。

もちろんここには布団なんてものはない。

あるのはテントと寝袋、
最近大活躍のサバイバルシートだ。

あぁ~!
ずっと布団に包まって
ヌクヌクしてたいよ~~~!


起きる時間は自分で決めていいのも
旅人の贅沢かもしれない。

てかスウェーデンの朝、寒い!

最近の僕は辺りが明るくなって
テントが丸見えになろうがそんなことは
ちっとも気にならなくなってしまった。

清掃員の人に
「こんなところでキャンプしちゃダメだよ」
くらいのモーニングコールがあった方が、
まだ快調に一日を始められる気がする。

今のところ、そんな風にして
モーニングコールをしてもらったことは一度もない。

ここはスウェーデン、港町のマルメ。
デンマークはすぐそこだ。

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近くから子供たちのはしゃぐ声が聞こえた。

テントを畳みながら、
コロボックルみたいな子供たちが遊ぶ姿が見えた。

幼稚園の先生が近くの公園に
子供たちを遊ばせに来たようだ。
そんなところで野宿している僕って笑。

まぁ、公園のすみっこの方なので、
そこまで目立つこともない。



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テントをたたむと
町歩きへと僕は繰り出した。

このマルメという街なのだが、
以前はコペンハーゲン以上に栄えた街で、
今はエコでクリーンなエネルギーで
持続可能な街とやらがあるんだとか。
ちょっと行ってみようか?

あいにく今日の天気は町歩きに
適しているとは言えなかった。

空は曇り、冷たい風が吹いた。
風にギターケースが煽られることもしばしば。



北欧のお店はどこもお洒落に見えてしまう。

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スーパーもディスプレイの仕方や
魚売り場のマークですら。

すべてのスーパーが
お洒落っていうわけじゃないけど、
ナチュラル志向で店内でコーヒーなんかも
飲めてしまうスーパーもあるってことだ。


港へ近づけば近づくほど風の強さは増した。

運良く見つけた無料の公衆トイレへ逃げ込む僕。

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こんな街のはじっこにあるようなトイレに
誰が来るだろうか?

スウェーデンはさすが北欧とでもいうように、
トイレがめちゃくちゃ綺麗だ。

しかもここ温水が
出るっていうーーーーーーっっっ!

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てかトイレに暖房が
きいてるってどういうことだーーーーーー!!!

トイレ住めるぞこんちくしょう!

もう全裸に近い格好で体をぬぐったり、
頭とか洗っちゃったりしたよね!

もみ洗いをして思ったことは
『やべぇ、外、めちゃくちゃ寒いんだった』
ってことだ。



洗髪、洗濯を済ませた洗った物を
バックパックにくくりつけて町歩きを再開した。

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それにしても人の姿が全然見当たらない。

そりゃ今日は平日だし、
たぶんみんな真面目に働かれていることだろう。

でもこの静けさ。

ほんとにここが
スウェーデン第三の都市なんだろうか?と
疑ってしまうほどのゴーストタウンっぷりだ。

ドルトムントの平日よりいないんじゃないか?

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それでも中心地には人の姿がポチポチとあった。

今日の天気も影響しているのかもしれない。


そんな寒空の下で、
僕はバスキングをしてみることにした。

風で長い髪の毛が吹かれて、
結わえきれていない髪の毛が口の中に入って来る。
もうそろそろ髪切ろうかな?

結わえない状態の僕のボサボサヘアと言ったら、
旅人通り越すモッサリ感だ。
だって日本出てからまだ一度も切ってないんだもん。

すぐに口に入ってくる髪の毛を、
噛みちぎってやろうか、
イライラしながら唄った。

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平日16時。
パラパラと入るレスポンス。

一時間半くらい、
この静まった街でやって15ドルくらい。

稼いでも明日デンマーク行くから、
持っていてもしかたない。
今日はいいものを食べよう♪





明日空港泊する分の食糧を買い、
野菜たっぷりの写真が貼られたパスタ屋さんを
今日の晩ご飯の場所に選んだ。

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ベジパスタ、
ひとつ49クローナ(749yen)。
けっこうな贅沢だ。

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いくつもある野菜の中から
4つ選んでミックスしてもらう。

ドレッシングをかければ
僕にとってはごちそうだ♪


店内は暖房がきいていて温かかった。

お客さんは僕しかいない。

さっき洗ったTシャツや
ボタンシャツを椅子にかけて乾かした。

パスタを食べ終わり、
コンセントから電気をいただき長ら、
パソコンのキーボードを叩いていると
お店のおっちゃんが僕に話しかけてきた。
お店の営業時間は18時までらしい。

ってことはあと一時間くらいか..。


「どこから来たんだい?」

「日本です」

「おお、そうか。
ヨーロッパを旅してるのかい?」

「まぁ、そんなもんですかね♪」

「私はイラン出身なんだよ」

「イラン!僕、行きましたよ!
二週間しか旅しなかったけど、
シーラーズ、イスファハーン、ヤズド、
マシュハド、テヘランって!
やぁみんなフレンドリーでよかったですよ♪」

「シーラーズはどうだった?
あそこは素晴らしい場所だよ。
色んな遺跡があるからね」

「あ~、シーラーズは
一日しか滞在しなかったんですよ。
ごめんなさい」


自分が訪れた国出身の人に会うと、
それだけで嬉しくなる。

自分が旅をした経験で話を
弾ませることができるからだ。

イランで散々中国人と勘違いされたのは
ここでは笑い話だ。


「もしよかったら、
明日ここに来ればいい。
コンセントも使っていいし、
好きな物をごちそうするよ?」

「ほんとですか!じゃあ明日来ます!」

「それより、君はマルメで
どこに泊まってるんだい?」

「公園でキャンプっす!」

「それは寒いだろう?
あぁそうだ。もしかしたら
私の友達の家に泊めてあげられるかもしれない」

「マジっすか!」


お店のおっちゃん、ベニィさんとは、
今日会ったばかりなのに、
なんでここまで親切にしてくれるのかが
分からなかった。

でも、そのウェルカムな感じが心に沁みた。


「どうだいスウェーデンは?」

「や~、物価高いっすね~。
日本の方が安いですよ(笑)。
ベニィさんはここに住んで
どれくらいになるんですか?」

「27年だね。
27年住んで、
私はスウェーデンの友達は一人もできなかった。
みんなね、心が冷たいんだ」

「そうですか…、
それはちょっと残念ですね。
でも、それは日本でも同じかもしれません。
僕たちはいっつも
スマートフォンの画面見てますからね。
プライベートバリアーというか…。
わかります?」


話しているうちに、
アジア顔の男の人が入ってきて、
ベニィさんと世間話みたいなのを始めた。

ここでずっと一人ってわけじゃないみたいだ。

きっと外国人通し、
通じるものがあるんだろうな。

僕はよくしてくれたお礼に
名刺を描いてプレゼントした。

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お店の閉店時間となり、僕は荷物を片付けた。

ベニィさんは「コーラ飲むかい?」と
ペットボトルのコーラを僕にくれた。

ベニィさんの友達は別の街に行っていたため、
今日も公園に野宿することになった。


「ありがとうございます。
それではまた明日また来ます」

「それじゃあね。ごめんな。
泊めてあげられなくて」

「大丈夫ですって♪
テントも寝袋もありますから♪」



そのまま深夜まで営業している
マクドナルドへ向かった。

店内は昨日と同じ入り口から
入って来る風で寒さを感じた。

僕はフリースの上からさらに
アウターを羽織ったが、手がかじかんだ。

深夜のマクドナルドの昨日と同じ席に、
昨日もいたおっちゃんがいた。

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スマートフォンから彼の国の音楽を流している。
それがちょっとした店内のBGMみたいになっていた。

友達を待っているようにも思える。

昨日も12時前に別のおっちゃんがやって来て
英語で世間話をしていたから。

今日も12時を過ぎる頃に
同じおっちゃんがやってきて、
ここで働くためにはパーミッションがどうのこうの、
新しいiPhoneうんたらと喋っていた。

もしかしたらマクドナルドの厨房で
働いているのかもしれない。


ここには色々な国の人がいる。

先進国の中でも物価が高いこの国で
生きていくのは簡単なことじゃないだろう。

お金が稼げても、スウェーデンの人たちの
中に入っていくのもまた、簡単ではないと思う。

そういった場合にどうするか?

きっと外国人同士、
心を開ける相手同士が近づいていくんだろう。

それはゆっくりと引き寄せられる
磁力みたいなのを僕にイメージさせる。

深夜のマクドナルドの隅っこの席で、
そんな彼らを横目に僕はブログを読んだり、
手紙を書いたり、絵を描いた。

ウダウダしていると日記を書く気力は
どこかに行ってしまった。

Wi-Fiがあるっていうのも
逆に効率を下げているのかもなぁ。

まぁイラストもかけたしよしとしよう♪


マルメの外はまるで日本の真冬だ。

昨日と同じ公園でテントを張った。


現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。