見出し画像

Phennel Kolianderの“ビートメーカーとJ Dilla”


Table Beats Rec.がお送りするDilla Month企画“ビートメーカーとJ Dilla”
日本のビートメーカーにJ Dillaの魅力や影響を受けた部分などをアンケート形式でお答え頂きます。
第七弾は“Phennel Koliander”の登場です。


【自己紹介をお願い致します。】

Phennel Kolianderです。
主にDilla名義になってからの作品を好んで聴いてます。
よろしくお願いします。


【あなたが一番好きなDillaのアルバムは何ですか?】

こればかりはコロコロ変わりますが
結局「Welcome 2 Detroit / J Dilla」です。


【このアルバムの好きポイントはどこですか?】

完全に偏見ですが、不完全なものさえも楽しんでるようなDillaの様子が音から伺える気がしてます。例えば“Come Get It”の解像度の粗いハットも、本当はもっと追い込んで良い音に出来たはずやのにあえてなのかガッツリ触ってない感じとか。“Think Twice”も別に歌が上手い訳でも無いけど好きやし歌ってみましたみたいな。自分がDillaから影響受けてるところって“俺はこれが良いと思う。”と自信を持ってやってるところであって、そのスピリットが音に出てるアルバムだと思います。また、ラップものでしっかり聴かせるところもあればインタルードやインストものをタイミングよく差し込んでフェイドアウトしていく後味の良さは、ラッパーでありビートメーカーであるDillaならではでアルバムとしての完成度もめちゃくちゃ高いと思います。


【ビートメーカー目線で1番ヤバいと思うDillaのビートは?】

「Genesis / Busta Rhymes」


【このビートの何がヤバいですか?】

ミニマムで手数が少ないのにここまでインパクトがあるビートは他にない、ハッキリ言って異常。無理。鬼。神。BustaとDillaの相性は語るまでもないし数多くクラシックが存在するけど個人的にはダントツでこの曲がタイプ。喧嘩しかけのキックとベース、スコンと抜けるスネア、単純なワンループっぽいけど実はいろんなパターンで構成されてるとこなどなど、僕の好きが全部詰まってます。なぜかアルバムの中で他の曲に比べてこれは音が小さい。


【リスナー目線で1番好きなDilla関連の曲は何ですか?】

「I Try / Jay Dee」


【この曲の何がヤバいですか?】

この時期のDillaの緩いのも好きで特にコレとか“Tell Me / Slum Village”とかも
めちゃくちゃ好きです。何がヤバいってわけでもないですが、インストとしても十分心地よいのに誰かが歌う余地もあるところ。(Commonが使ってますね。)


【あなたがDillaのビートから影響を受けた部分はどんなところですか?】

クオンタイズにおける考え方はかなり影響受けてます。特に音の長さと、音同士の間隔の取り方でグルーヴを構築する作り方はハッキリ言って真似してるレベルです。個人的にDillaのこういったスタイルは革命ではなく“発明”だと思っていて、後続のビートメーカー達がDillaのサイエンスに影響を受けながら様々なビートスタイルを各自で作り上げる事でビートシーンにおける革命が起き続けているんだと思います。Dillaはクオンタイズに縛られないことで生まれるグルーヴの真髄をシンプルな音数で僕たちに教えてくれましたが、自分はあえて音数を多くしながらDillaのサイエンスから受けた影響をビートで表現してます。


【あなたが作ったビートでDillaの影響が強いなと思うものを一つ。】

「WAVES / Phennel Koliander」


【この曲のどのあたりにDillaの影響が出てますか?】

ベースライン、ドラムのプログラミング、リードの使い方。
こっそり聞こえる声はJ Dillaのインタビューをサンプリングしてます。


【最後にDillaにまつわるエピソードでお気に入りを教えてください。】

Madlibと共にレコードをディグしてる有名な写真がありますが
Madlibは少しでもサンプリングできそうな可能性のあるレコードは片っ端から買っていたけどDillaは1枚1枚じっくり聴いてサンプリングポイントを見極めて頭の中でビートを組むぐらいのところまでを視聴の一環として行い、見事条件をクリアしたレコードのみを買っていたというエピソードはかなり好きです。ですがその反面、頭の中である程度ビートのイメージが出来上がっている状態からサンプルを探すような作り方もしていたという話もあるのでそれも凄いなと思います。
あとErykah Baduが生真面目なDillaにおちょくりで色仕掛けしたけど無反応だったってやつも好きです。


Phennel Koliander
京都出身。LAやDetroitのビートシーンに影響を受け2010年よりビートメイクに着手。SOUL,JAZZ,REGGAE,電子音,ノイズ,環境音と如何なる素材も巧みにコラージュしてグルーヴへと昇華させるビートメイクスキルは唯一無二。
 過去にはAnderson.Paak"MALIBU"を再構築したコンセプトビートテープ"RE:BUILD"と"Tempaling File 0"そしてコンセプトビートテープ"%"シリーズをリリース。illa-J,Eric Lau,DJ KRUSH, STLNDRMS, James Tillmanなどとのイベント出演、THE NORTH FACE CUPやF.C.Real Bristolなどへの楽曲提供、BLUE NOTE×EPISTROPHのコンピレーションアルバムへの参加を経て、ビートプログラム"Table Beats"の指揮を取り2019年にはJazzy Sport Kyotoからコレクティブビートアルバム"Someone'Order"をリリース。またNative Instruments社のサンプルパック“EXPANSION”の日本初企画"CONCRETE SUN"の開発に参加したり、Daichi YamamotoのライブDJなど様々な活動を継続しながら各地でのビートライブもこなす。
Instagram : https://www.instagram.com/phennelkoliander/
Twitter : https://twitter.com/phennel_k
bandcamp : https://phennelkoliander.bandcamp.com/music

Table Beats Rec.はボランティアで運営してます。
今回の記事が面白いなと思ったら是非チップをお願いします。
頂いたチップはnoteの運営やTable Beatsの運営に活用させて頂きます。
(記事購入でご利用ください。)

ここから先は

0字

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?