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BLACKPINK(ROSE).part2

「あなたが望むもの全てを実現してあげようと思うの。」ときみは言う。

 僕はヘッドホンにかじりついてきみの歌声に聴き惚れていた、「必ず会いにいくからね。」と呟く。

 BLACKPINKのRoseは、韓流のアーティストとして人気があり、ソロデビューも決まっていた。僕はデビュー当時からのファンであり、訪日した時は必ず逢うために参戦していた。Roseは日本のアイドルとは違って笑顔を振り撒くことはなかったけど、彼女自身であることを常に僕に投げかけてくれていた。僕はRoseの夢に挑戦する時の不安や好きな人へのドロドロとした感情を歌詞に乗せる所がたまらなくすきだった。

 僕は「次に会った時にきみに渡したいものがあるんだ。」と話す。

 きみは「何をくれるの?」と僕の方を見ている、きみの為に曲を作ったんだ。」と伝えるとアコースティックギターを片手に弾いてみる。

 僕はきみが満面の笑みでハグしてくれた、この曲の素晴らしい所をきみに伝える。きみの全てを受け止めているんだ。夢も愛も必ず実現できるって信じている、前回会った時にずっと僕のこと見てくれたね、僕もきみの愛に応えなくちゃって思ったんだ、それでこの曲を作った。僕達の愛の結晶だよと伝えた。きみはアメリカに行くらしいね、また距離が離れてしまうけど、僕の愛は冷める事はないよと話す。

 きみが「あなたの愛受け止めるわ。」と僕の首に手を回す、僕はきみの身体を抱きしめながら「愛している。」と何度もきみの写真が飾ってある壁を触った。

 僕は冷静に考えると少しおかしくなっていたけど、70年代のロックファンには多くいた存在だった。父もその事には気づいていて、僕がアーティストに熱を上げている事に父の若い頃と同じだなと思って見ていた。父はビートルズやローリングストーンズに熱を上げて、東京まで観に行っていたけどその当時の父はアルバイトで貯めたお金を全て音楽に使っていたので、友達も少なかったけどファンミーティングに参加して情報交換してジョンの生まれた家に会いに行きたいと話したものだ、しかしジョンが亡くなった時に世界の色が失われた気がして、暗闇に包まれた気がしたんだと友人と話した。僕がRoseに夢中な理由も理解できた、だってきみが信じる世界が現実に目の前にある事が救いなのだから、父もジョンから同じことを感じていた。しかしそれが一瞬で壊れる恐ろしさも経験していた。父は僕の様子を見ながら当時の曲を聴くとなんとも言えない気持ちになるのだった。

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