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eyes(1)

 8年前にナフコで購入したベッドは、僕が高校生の時に幻聴にどんなベッドが欲しいのと言われて、答えたイメージにそっくりだった。しかし、居心地が余りよろしくなく、数年使用しても落ち着かなかったけど、そのベッドを取り替えようとは思わなかった。僕はベッドで寝ても浅い眠りで、夢を見るんだけど、目の前でずっと映像が流れている様な感覚がします。

 僕は「寝ないとまずいよなあ、寝ても1時間で起きるから」と彼に言う。

 彼は「こたつで寝ても疲れは取れないよ、ベッドで寝ないと」と答える。

 僕は彼と自問自答を繰り返す、それに幻聴が加わるから厄介である。

 幻聴は、こたつで寝る時は出てこない。だから僕も気持ちが楽なのである。しかし彼が言う様に疲れが取れないのである。だからベッドで寝る時は身体が疲れ切ってからマットの上に転がる様にしている。その時に例え、幻聴が出て来ても気にならない。今は冬だから2枚の毛布と一枚の掛け布団をしようとしている。頭の上には、ダイソーで購入したタオルケットを被っている。

 僕は「本当は夢を見たくないんだ」と彼に話す。

 彼は「日本にいる限り、必ず夢は見て貰う」と僕に伝える。

 「確かに学生旅行で海外に行った時に、夢を見なかったな」と僕は答えた。

 「もう一度、あの深い眠りを経験したいな」と彼に続けた。

 幻聴は頭の斜め上で、「ブーンと言う音を繰り返しながら、身体にピタッとくっつき怪しい言葉を吐く」、

 僕は「大丈夫だよ、おいでと」幻聴に呟く。

 僕のベッドはダブルである。僕は身体が大きいので助かっている、マットレスはちょうど良い感じだ。でもなんとなく居心地が悪い、身体が休まらないのだ。僕が小学生の時に使っていた、ベッドはマットレスも無く板の上に、布団を敷いていたけどとても寝心地が良かった。僕はマットレスより布団の方が良いのかもしれない。枕は2、3個重ねて使用する、余りこだわりは無くて理由もなんとなく使い勝手が良いだ。

 僕は「眠れなくて起きている時間の方が長く感じるから不安なんだ」と彼に言う。

 彼は「安心して、明日朝早く起きる理由なんてないでしょ」と僕に話す。

 幻聴は「だから、お前はダメなんだよ」と僕達に話しかける。

 僕は数日前から、安眠したくてしょうがないのだ。ベッドのせいにしているが、僕がやらないといけない事があるからに決まっている。もう50才になるから無理はきかない。僕の希望も叶う事はないみたいだ。頭を高くして眠る事も難しい。眠れない夜は続きそうである。しかし僕は毎日寝る事を楽しみにしている。意識が僕を忘れる事ができるからだ、寝ている間はやっと人生が終わったかと思えるから好きである。もう幻聴と彼と生きるのに疲れているのである。

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