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BLACKPINK(ROSE).part9

 彼女の名前はすみれと言う、仕事は通販サイトの経営である。最近、習慣化された仕事にも飽きてきて、彼である優斗と同棲したいと思い始めていた。

 優斗の言う様に彼女は仕事が出来る女性だった。しかし、本人その自覚は無く、ずぼらな性格と雑な取り組み方に、優秀なサポートスタッフが集まっていた。その理由として会社の待遇が良かった、彼女は自分が気に入ったスタッフには月に100万円近い月給を支払っていた。その社員は高校を卒業して半年しか経っていなかったけど、若者が何に興味を持っているか理解していたので、ディレクションした服は直ぐに完売した。すみれは元々ファッション雑誌で編集の仕事をしていた、その繋がりもあってスタッフを読者モデルにして通販サイトとファッション雑誌をコラボさせた。サイトを利用するお客さんの多くが、雑誌を通して自分もモデルをしてみたいと思う様になり、通販・雑誌・モデル・お客さんの好循環が生まれて売り上げも右肩上がりに伸びていった。

 すみれにとって仕事が楽しかったのは、最初の1年位で最近は管理業務ばかりで退屈に感じてきていた。雑誌編集部から戻ってこないかと言う話もあるので、友人に今の仕事を任せて私は、新しい企画を立ち上げようと思っているのだった。すみれに期待されているのは編集長の仕事だった。社内には反対する声もあったけど、それはすみれが22才と大学も卒業していない年齢だったからだ。しかし、他人を惹きつける魅力とタレントとしての才能があり人当たりの良い性格に編集部の人もすみれはこの仕事に向いているなと理解していた。

 すみれは、「今の仕事辞めようと思うんだけど」と優斗に伝える。

 僕は「何したいの?」と尋ねる、『私と一緒に暮らさない」と答えた。

 僕は20才で今年成人したばかりだ、すみれも22才でまだ若い、一緒に暮らすより自分のすきな様に暮らしていたかった。不謹慎だけど、複数の女性とお付き合いしたい気持ちもあった。すみれには黙っていたけど、なつのことが気になっていた。彼女を本気にさせる為には仕事上の付き合いでは動いてくれない様な気がしたからだ。その事を先輩に相談すると、俺たちは素人じゃ成功できない、恋愛でもプロになる必要がある。その為には辛い経験も必要じゃないかと話した。だから、すみれにどう説明しようかと考えていた。彼女がモデル並みに美しいことは、周りが認めていたので、納得させる為にはちゃんとした理由が必要だった。

 僕は「今は音楽を1番に考えたい」とすみれに伝えた。

 すみれは「お金なら協力できるよ、年収2000万以上あるから」と言う、

 「そう言う意味じゃないんだ、作りたい音楽があるんだ」と答えると

 「そう」と答えていたが、「なつのことが気になるんじゃないの」と食い気味で被してきた。

 僕は「純粋に音楽だけの人」と話す。

 僕とすみれは、暫くして別れることになる。それは彼女が望んだ事で僕も同棲を断ったので仕方ないと感じていた。僕となつの間には何の進展もなかった。先輩からはすみれを金づるにすれば良かったのにと言われたが、僕はすみれを愛していた。すみれが家族を欲しがっていたのも知っていた。すみれに両親は居なかった、養護施設で育ったのだ、だから早く家族を欲しがり愛に飢えていた。僕はそんなすみれが大好きだったのだ。でもそれ以上に音楽を諦めたくなかった。

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