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大福の最期の日

2019年1月1日、新しい年を迎えてすぐに、文鳥の大福が天国に旅立っていった。

こういうことをインターネットに書くのもどうかと思ったけど、不安な時間を他の人のブログに助けられたのと、生前お世話になった方々へのご報告が必要だと思ったのと、動物を飼うことへの責任とか、自分の至らなさを忘れてはいけないと思ったから、残しておこうと思う。

10歳だけど今まで病気ひとつしたことなく、ツヤツヤしてるしギャルギャル怒るし、むしろ元気すぎると思っていたけど、12月30日の夜に元気がないことに気づいた。膨らんでずっと寝ている。扉を開けても出てこない。でも、すでに夜中だったので、明日病院を探して連れて行こうと思い、当日はとにかく保温をしようと、床暖房の上に直接鳥かごを置いて、上から毛布をぐるぐる巻きにしておいた。

翌日、膨らみ具合が少し収まっていたので、少し安心して、残っていた仕事を午前中に片付けた。午後また具合が悪そうだったので、小鳥の診察で評判がよく、大晦日に営業していて、初診もOKな動物病院を一緒にいてくれた人が見つけてくれて、夕方連れて行った。

ココニイル動物病院
http://www.coconi-iru.com/
小鳥や小動物も診れて、年末年始も営業していて、こちらの相談もきちんと聞いてくれる、丁寧で優しい先生でした。

体重は問題なく、糞の状態も見た目には問題ないとのこと。でも、先生が大福をカゴに戻そうとしたとき、大福が体を硬直させて意識を失ってしまった。先生と私で呼びかけたり、体を揺すったりしていたら戻ってきてくれたけど、ビックリして泣いてしまった。このような状態では、触診も不可能なので、糞便検査のみ行いますとのことでしばし待合室で待つ。

結果は、未消化デンプン検査は正常だが、未消化脂肪検査では脂肪滴5-10/HPF、腸内細菌の割合が桿菌1:球菌9で、明らかな異常値とのことだった。糞便検査からは肝臓の病気である可能性が高いとのことで、水に混ぜる肝臓の薬を処方してもらって、体力を取り戻したら詳しい検査と治療をしていきましょうとのことだった。

家でできることのアドバイスをもらって、病院を後にした。

・もっと具合が悪くなると、止まり木にも止まれなくなるので、床に餌をばらまいでおく
・人間が暑いくらい(40℃近く)の保温をする
・あわ玉は栄養が偏るのでいつもの餌をあげる
・水浴びは体力を消耗するのでさせない

帰りのタクシーの中で強そうなペットヒーターをAmazonで購入しつつ、家に帰るともう18時になっていたので、水に薬を混ぜて交換したけど、明らかに体調が悪そうで力なくフラフラしている。とにかく薬を飲んでほしかったので、針のない注射器で口元に1滴ずつ垂らしたら、少し飲んでくれたけど、繰り返したらイヤってされたので、それ以上は自分で飲めるようにセットだけしておいた。

その後は、体力の消耗を抑えたくてカゴの中に戻して保温していたら、少し餌を食べたり、薬入りの水を飲んだりしてくれたけれど、相変わらず膨らんで寝てばかりいる。たまに「ピッピ」と声がして安心していたけど、しばらくして止まり木に止まれなくなっていた。さらに、カゴの壁に何度か激突しているので、カゴから出たいのかと思って外に出したら、力なくフラフラと飛んだものの、思ったところに止まれずにぶつかる姿を見て、また泣いてしまった。そんな状態でも、人の膝や手に乗ろうとしていて、体温低下に繋がるからよくないとは思ったけど、好きにさせてあげることにした。

よく見ると小さく定期的に痙攣しているように見えた。しばらくすると、もう上には飛べないのに、羽根をばたつかせて部屋のあちこちにぶつかるようになったので、体力消耗を危惧してカゴに戻した。

病院での一時的な失神や、先ほどの痙攣の様子、もがいて暴れて飛べない様子で検索すると、てんかんの発作をおこしているようだ。原因は様々だが、精神的負担から来ることもあるようで、移動のストレスかと不安になる。

毛布の隙間から大福の様子をちょくちょく伺うと、床で苦しそうに全身で息をしているが、してあげられることがもう何もない。そうして過ごしているうちに、0時を回って年が明けた。しばらくしたらうたた寝してしまっていて、一緒にいた人に起こされて大福の様子を見ると、体が硬直していてすでに息がなかった。何度も声をかけても、揺すっても、もう戻ってくることはなかった。時計を見ると時間は午前2時だった。10年も一緒にいたのに、最期の瞬間を看取ってあげられなかった。

すぐには実感がなくて、でもやるべきことをやらないとと思い、動物霊園の火葬場が年始は何日からやっているのかを調べたら1月3日からだった。なるべく綺麗な状態を保ってあげたいから保冷剤で冷やして、「さっきまで温めていたのに、今度は冷やさないと」とかひとりごとを言いながらもくもくと作業をして、ひととおり終わったら泣けてきた。

それから3日までの間は、数時間ごとに保冷剤を交換しながら、自分の父親の最期のときも癌から来る熱を取るために保冷剤を交換しまくっていたことを思い出して、保冷剤を捨てずに何個か冷凍庫に入れておいてよかったと思った。

動かなくなった大福のお腹の羽毛をめくってみたら、右側が大きく腫れて肌が露出していた。膨らんで首を後ろに回して突っ込む姿勢のときに、片側だけ突っ込めていなかったり、お腹が剥げて見えていたのはこのせいだったのかもしれない。文鳥に多い肝臓肥大という病気によって腹水が溜まっているように思えるけれど、今となってはよくわからない。

腹水が溜まると内臓が圧迫されて呼吸が苦しくなるけれど、針で水を抜くには文鳥は小さすぎてリスクが大きいし、大福の場合は先生が触っただけで失神していたので処置はできなかったと思う。普段からお腹を触ってチェックしていたらもっと早く気付けたかもしれないけれど、大福は手や頭には自分から乗ってくるくせに、こちらが少しでも体を触ろうとするとものすごく怒って攻撃してくるので難しかったが、無理やりにでもチェックすべきだったのかもしれない。

一眠りした後、Amazonからペットヒーターが届いた。未開封のまま返品することにした。まさかこんなにすぐにお別れすることになるとは思っていなかった。

空になったカゴもそのままにしておくわけにはいかないので、片付けをしていたら、大福の糞の山を見て泣けてきた。いつもは家具やら服やら頭やらに糞をされるたびに、やめてー!って思っていたのに、糞すら生きていた証のような尊いものに思えてきて自分の精神状態がちょっと危ういと思った。

1月3日、花屋さんで大福をイメージした花束をつくってもらい、動物霊園で花と共に火葬してもらってきた。小さな骨を拾って、4年前に先に天国にいったきなこもちにお線香をあげて、「大福と喧嘩しないで仲良くしてね」とお願いして帰ってきた。

それから今日1月6日まで、何もする気がおきなくて後悔ばっかりしていた。

・寄り添いヒーターじゃなくてもっと強力なヒーターをつけてあげればよかった。
・最近とくに生活が不規則だったので、ストレスになっていたのかもしれない。夜はカバーをかけて暗くしてあげるなど配慮が必要だった。
・嫌がってもお腹を触って健康チェックを定期的にすればよかった。
・そういえば最近少しおとなしくなった気がしていたけど、病気のせいだったのかもしれない。
・具合が悪いのが目に見えて分かる段階で病院に行っても遅かった。
・元気に見えても定期検診で病院に連れていけばもう少し長生きできたかもしれない。
・むしろ病院に行ったことでストレスで死期を早めてしまったのかもしれない。

骨になってしまった大福と過ごしていると、家がとても静かでさみしい。無意識に大福のカゴがあった場所に目をやってしまって、その度に気持ちが沈む。でも一番つらかったのは大福だし、そんなにいい飼い主でもなかったから、悲しむのもおこがましいような気落ちになるけど、大福ごめんねという気持ちだけひたすら溢れてくる。

今まで大福を可愛がってくれた方々、どうもありがとうございました。その瞬間は間違いなく大福は幸せだったと思います。

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