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すれ違う2人〜忍び寄る誘惑〜③

Iがホテルに向かおうとする手をとり呼び止めた

「どうしたの?」

Iはそう言って足を止め、自分の方を見た

多分表情に出ていたんだろう…自分の顔を見たIの表情が固まった…

「俺たち、やっぱり別れたほうがいい」

察したのかIは泣き出してしまった
嫌だと言って泣き続けた…

「俺だって嫌だけど、そうするのがいいと思う」

Iは、しばらくして落ち着いたようで自分をじっと見つめてきた

ここで世の男性なら一度は言われてみたい?言葉を言われるのである
自分が勝手に思ってるだけかもしれないが…笑

「もう抱いてくれないの?」

うわー決心が揺るぎそうな最強のパワーワード!

もう一生言われないかもしれないセリフだった
実際身体の相性も抜群だったし、お互い好きだったから正直…悩んだ
グラグラしながらもこの日Iとお別れしたのである

これでTとの関係も修復できる…

と思っていたのだが、一度開いた溝は簡単には埋まらなかった
お互いどこかギクシャクしているのが目に見えていた
そこで2人で考えた結果、自分の職場が遠いこともあり、しばらく別々で暮らそうということになったのである…

今いる自由が丘にはTが住み、自分は職場の近くに部屋を借りた
お互いの部屋までは電車で1時間位の距離
そしてお互いの部屋の鍵は持って、いつでも行き来できるようにした

だか…この別々の暮らしが、さらなる波乱を巻き起こすことになる

しばらくは、休みの日はお互いの部屋(といっても自分の部屋は1Rで狭かったので、もっぱら自由が丘に行っていた)に行き来して平穏に過ぎていった

そんな日々がしばらく続いたある日、仕事がかなり早く終わり次の日も休みになったので、急遽自由が丘に行ってTを驚かせてやろう…

今思えば、こんなこと思わなければ…自由が丘に行かなければ…よかったと…

④に続く…

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