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Net De 連想コラム「AI美女~セクサロイド~アイドル誕生?~いきなり街中パンツ~アラーキー」

◆AI美女

 「AI美女」という画像ジャンルが、あっという間に確立してしまった。Youtubeなんかでも、「AI美女」の画像を集めた動画が大量に出回っている。「おっ、すごいねー」なんて次々チャンネル登録していると、いつのまにか「AI美女」動画がいつもお勧めされるようになってしまったww

 こんなおっさんが「おっ、すごいねー」っていうくらいだから、いったいどういうものか想像がつくと思う。なかなか肉感的な女性がわたしを見つめてくれているのだ。タイトル上に載せた画像なんかは子供だましみたいなものである。18禁とまでは言わないが「砂漠で下着姿」とか「AI熟女」なんてのもある。

 女性からしたら「結局、男ってこういうのが好きなのよね」と軽蔑されそうだけど、おそらくこれらは多くの男性が目を奪われる画像だ。顔や肉付き、スタイルのバランスまで男性の性的な好奇心を煽る「最大公約数的な魅力の要素」を完璧に備えている。

 リンクで紹介した動画は、みんな写実性が高く、リアリティを求める形で作成された「AI美女」画像を映し出している。もちろん「AI美女」画像のジャンルでは、アニメ・マンガ的なキャラ画像もあるのだが、どうやら、写実性の高い「本物の女性みたい」なものに人気が集まるようだ。

 「結局、男ってこういうのが好きなのよね」的な画像を、数カ月かけて見まくった結果、わたしはこんなことをつぶやくようになってしまったw

 「彼女たちはセクサロイドだな」

◆セクサロイド

 セクサロイドとは、簡単にいうと、人間と性的行為ができるアンドロイドのことだ。解釈を狭くすれば、人間と性的行為をして楽しませる愛玩用アンドロイドである。

 こんなことをいうと「AI美女」を作成しているクリエーターから「そんなものを作った覚えはない」と言われそうだが・・・。

もちろん、それは架空の存在だが、ただ結局は「コードという名の文字例の集合体」でしかない「AI美女」を見ていて抱いた感想としては妥当なのかもしれない。

 一度「AI美女」=セクサロイドという「構文」が頭にすみついてしまうと、肉感的でもなく煽情的でもない「AI美女」にも、セクサロイドという単語が想起されてしまう。それ以降は「AI美女」を鑑賞していると、まるで風俗店で店員から「今からでしたらこの子たちがすぐいけますよ」とパウチされた写真の束を渡されて、それを見ている気分になる。

ただのおっさんの妄想ですww すみません。

 ちなみにわたしがセクサロイド(セックス+アンドロイド)という言葉を知ったのは映画「攻殻機動隊 イノセンス」だった。それでセクサロイドは、押井守監督の造語かと思っていた。しかしそれ以前に松本零士氏が「セクサロイド」(1968年初出)というタイトルの作品を発表していた。他の小説や漫画ででも使われているが、1968年以前に発表された作品で、この言葉が日本で使われていたことはないようだ。

◆アイドル誕生?

  「AI美女」のようなものは、以前から「CG画像」とか「CG美女」などという名で知られていた。

 すごく平たくいうと、「CG美女」を作るのはそれ相応のレベルのコンピュータースキルが必要だったが、「AI美女」の場合は、単純に作成するだけなら、素人が少し勉強した程度のスキルで十分だ。

 そして「AI美女」は簡単にあらゆるパターンの複製を素早く作成してしまう。10年くらい前は「CG画像」を作ろうとすれば、効果なソフトとハイスペックなマシンを用意しないといけなかったが、いまはWebブラウザで操作できるようになっているから、それほど高いスペックのPCがなくても作成できる。

 「AI美女」のAIたるゆえんは、「CG美女」を作成することをAIが補助してくれることにある。多くのAIツールが、ベースとなるテンプレートを多数用意して、簡単な単語を入力することでそれらをオリジナルな画像に作り替えてくれる。また別の写真画像などを取り込んで、その特徴を、別の「AI美女」画像に取り込むのも可能だ。

 「CG美女」に別の要素を取り込んでくれと言われたら、作画のセンスのあるエンジニアが時間をかけて試行錯誤するしかなかったが、「AI美女」では簡単な単語と簡単なパラメーター操作をするだけで、いくらでもサンプルを作成することができる。

 「AI美女」がこれだけ作成されるのだから、その中から「実在しない仮想的アイドル」が出現するかもしれない。アイドルを作り出すには、キャラクターだけでなく、物語が必要だ。

 人々が熱中する物語を作り出し、さらに愛されるキャラクターを登場させて、映画などにうつしこんでいくには、これまでは莫大な資金と人手、そしてレベルの高い才能が必要だった。

 しかしストーリーも映像、キャラクター作成も、全部、AIがやる、となったらどうだろう。AIを操作するのは少人数のクリエーターだ。1人でもいい。

 現在の「AI美女」は表情に乏しい、という人がいるが、AIツールは日々猛スピードで進化している。微妙な表情も、複雑なポーズもうまく作れるようになってきている。そのうち、それらを動画にしてストーリーに合わせて動かせるようになるだろう。現在のところ、単純なダンス程度ならすぐに動かせるようだけど。

 最初のころは「箸にも棒にも掛からない」代物しかできないだろうが、そのうち、AIが学習を進めて、高い評価の作品が出回るようになり、マーケットが生まれ、売買されるようになる。1時間以上の大作ではなくて、30分程度のショートストーリーが中心だが、AIの作ったストーリーにクリエイターが手を加えて、より洗練させていく。そこで火が付いた作品に登場するヒロインがアイドルとして・・・・。

 ただのおっさんの妄想ですww すみません。

 でもそんな「AIムービー」が、従来の「映画」とは別のジャンルとして確立していく可能性はゼロではないと思う。「CG美女」がコツコツと制作されていたころとは、違った形でマーケットが出来上がっていくかもしれない。ビジネスとしてどこまで成長するのかわからないけど、コミケの世界だってここまで成長しているのだから、単なる夢物語とは言えないと思う。

 こういうことを言うと、すぐに「どうせクオリティが低いものしかできない」っていう人がいる。もちろんその公算が高い。驚くような世界観などはできないと思う。でも、そういうチープな表現型が愛されることもあるんだよね。

 ともあれ近いうちに「AIムービー」を誰でも作れるようになるとは思うけど、その反面、著作権を守ったり、マネタイズすることはむずかしいかもしれない。人気がでたら、ピラニアに食われるみたいに、コピーされまくってしまうだろう。その時は頭のいい奴が出てきてうまい方法を思いついてくれるのを待つしかない。

◆いきなり街中パンツ

 わたしが「AI美女」のなかで一番衝撃を受けたのは「いきなり街中パンツ」だったww サンプルを見ていただければわかると思うが、群衆を背景にして美女がはつらつとした笑顔でスカートをたくし上げている。

   これは人間のモデルを雇ってリアルに撮影しようとすると、なかなか大変なシチュエーションだ。よく晴れた日に背景の群衆としてエキストラを同時に雇って撮影するしかないw そうしないとこの瞬間をとらえられないだろうし、モデルにこんなナチュラルな笑顔を要求できないと思う。もし無理に決行したら通報されるw

   おそらく作者は「AIをモデルにしないとできないこと」を考えたのだろう。「AIをモデルにしないとできないこと」となると、今後はあまり言葉で説明したくないようなものが作成される可能性がある。もうできているかもしれないけど。

 もっと具体的にいうと、性的犯罪を匂わせる、あるいは、はっきりと描写した画像が、AIによって極めてリアルな形で提出されるかもしれない。というか、おそらくそうしたものは確実に出てくると思う。そして「実在しないからといって、こうしたものを作成・流通させていいのか」という表現の自由と規制の問題が改めて議論されることになるのではないか。
※(執筆後、自分なりに探してみると、当然のごとくすでに「残虐もの」や「炉〇もの」など、多数出ていた。とてもamazonでは販売できない類のものだ。この手のものでは、同人誌ですでに表現されている程度のものなら、今後もどんどんAIが侵食していくに違いない)

 「いきなり街中パンツ」は1~3まであるが、類似作品として「いきなり電車ブラパンツ」とか、「いきなり電車パンツ」なんてのもあるwここまでくると、まさに「AIをモデルにしないとできないこと」だね。

   ただ「いきなり街中パンツ3」 を拡大してみてみると、かなり作りこまれた画像ではないかと思われる。女性の上着の毛羽立ちや毛髪のきめ細かな表現は、ただツールを使ってジェネレートさせただけでは、創作できないように思う。おそらくCG制作のプロかそれに近い人が、AI画像を作ったあと、別のツールでかなり加工をしているように思う。

  ちなみに「いきなり街中パンツ」のアマゾンのページでは、カスタマーレビューで、いろいろ書かれている。「もっとポーズのバリエーションを増やせ」「巨乳だけじゃ飽きる」とかw リアリズムへの欲求が強いようだ。

◆アラーキー

 このコラムを書くために、さらにちょっとエッチな「AI美女」を見ていた反動なのか、急に、アラーキーこと「荒木経惟」氏の写真が見たくなった。

   アラーキーの写真にある被写体は、男も女もすべて生身の人間だ。「コードという名の文字例の集合体」ではない。さらに彼の写真に登場する女性たちは、決まりきったボースもしないし、スタイルも均整がとれていない人が多数でてくる。

 この「Araki」 という写真集のカバーを見てほしい。

 薄汚れたシャッターの前で、道端で割られたスイカとそのかけらを頬張る着物姿の女性。うりざね顔 の女性の表情は、うすぼんやりとしていて、見る者を挑発すらしていない。

 ほっとする。

 「AI美女」が悪いわけではない。逆に「AI美女」を網膜に写し続けたからこそ、脳がアラーキーの写真を記憶のデータベースから引っ張り出してくれたともいえる。アラーキーの写真には女優を撮ったのもあるけど、無名の人の無造作な写真がとても心地よい。

 いまはすごく便利な世の中になった。アラーキーの写真をちょっと見てみようと思ったら、グーグルで画像検索をすれば、ささっと見たいものが出てきて、自宅にいたまま、脳みその火照りを鎮められる。まさかアラーキーの写真で癒されるとは思わなかった。

(おわり)


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