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【紀行文】気持ち晴れやかに歩いた 箱根湿生花園

箱根湿生花園は、仙石原のススキ野原となる地区の湿原にある。車で通りすぎると分からないが、湿地帯として少し山あいのくぼんだところに自然とできたものであろう。火山性の土壌の具合も作用しているのかもしれない。
調べてみると、その昔ここは仙石原湖があったそうだ。噴火によりせき止められた一部が湿原化したそうだ。

歴史を感じさせる入口
エントランス外観

ここについてはあまり前知識がなく、ただネット検索した際の写真に惹かれて入ってみることにした。
入園料は高くも安くもない。(大人700円)
以前、私は市営の公園管理をやっていたことがあるが、その管理経費の膨大さに驚いた。公園を維持することは大変なのである。ましてやここは、さまざまな植物が生息し、学術的な意義も持つ場である。管理費は相当なものであろう。そう思うと、格安なのかもしれない。

園路の様子
湿原の中に板の通路が渡されている
湿地帯の貴重な植物の保護の意味もある 園内には植物の名前や解説がある。この日、ガイドの解説を受けながら回っているグループもあった

7月の暑い日差しの中ではあったが、園の中は湿地帯ということもあり、足元からの湿気は感じつつも、吹き抜ける風が心地よく、また視覚的には多くの緑に包み込まれるような感があり、まったく不快さはなかった。
道すがら日陰のような場所で小休止もできる。
湿原の中には、板が渡されており、そこを歩くことができる。以前行った尾瀬のような景色だと思った。しっかりと手入れの行き届いた草原の中をぶらりぶらりと歩いて行く。一面濃い緑の中、様々な色の珍しい植物を見ながら私はゆっくり歩いた。一歩一歩の足の踏みしめが、私の心を少しずつ溶かしていくようだった。

一周速足なら20分程度だが、それではもったいない

本当に暑い日だったが、それなりに散歩をする人がいた。歩くペースがそれぞれなので、抜いたり抜かしたり、思い思いのペースで歩いていた。私はゆっくりと園内を1時間位かけて歩き、終盤の木陰のベンチで腰掛け、本を読んだ。持ってきた飲み物はすぐに終わってしまった。
こうして、一周してみて非常に心地が良かった。もう一周してみることにした。順路は必ずしも一方通行ではなく、またいくつかの脇道近道があり、その設定が面白かった。

ゆったりとした気分にさせてくれる

今度はできるだけ遠回りして歩いてみることとし、道々で写真を撮りながら歩いてみた。ゆっくり、ゆったりと二~三時間もいただろうか。朝から感じていた胸のつかえが、だいぶ軽くなり、私は最後に園内のアイスクリームを食べることにした。

園内では食虫植物の展示もあった
世界各国の食虫植物・・・やはり人気である

冷たいアイスクリームを食べながら、湿原とその向こうに聳える箱根外輪山を眺めた。いい景色だった。また気持ちがふさがったときには来ようと思った。軽やかになった心とともに、まだ日は高かったが、私は園を出て家に向かった。箱根もいい場所だな、改めてそう思った。

アイスクリームを食べながら、山を眺めると気持ちはさらに落ち着く

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