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【登山記】満天の星空の下コーヒーを飲みながら音楽を・・・聴きたかった八ヶ岳黒百合ヒュッテ その2

黒百合ヒュッテの夕食

 前回、ようやくの思いで黒百合ヒュッテに到着しました。濡れたカッパや靴の泥を軽くぬぐい、最低限の着替えを済ませて、慌ただしく席に着きました。
 当日の宿泊客は、10名強程度。ほとんどがグループのようでした。
 こちらの黒百合ヒュッテは、ビーフシチューが有名なようですが、この日の夕食は写真の通り、ハンバーグ定食。
 食卓にはデミグラスソースもありました。お味噌汁とご飯はお替り自由。
 私たちは、このほか缶ビールを頼みました。(一本 600円)
 私はほかの山小屋を知らないのですが、ここのご飯はおいしいそうです。
 疲れた体に癒しのビールも相まって、とてもおいしかった!

黒百合ヒュッテの夜

 食事を終え、それぞれにくつろぎモードに入りました。自然とはじまる談笑。グループの中に、写真家の方がいらっしゃったようで、各地の話題を楽しく振りまいておられる方がいました。
 また整体を生業とされている方もいて、突然治療が始まったりと、なかなか面白い空間でした。学生は、政治談議しているし。

 私は、小屋の中をいろいろ探検していました。なにせ、初めてなので。
 写真には撮りませんでしたが、やはり興味はトイレ。
 しっかりと区切られた場所に、バイオトイレが整備されていました。ここ黒百合ヒュッテは、近年大改装をされたようで、全体的に新しい木材が目立ちました。トイレも奇麗というよりも新しく不快な感じは一切なかったのですが、「落とし紙は、箱の中へ」という指示が、最初分からず、連れの人に聞いてしまいました。文字通り、トイレットペーパーは流さないで下さいという意味で、これはバイオ(微生物)が分解できないからだとか。
 箱に入れるのはちょっと抵抗感がありましたが、まあそういうものだと割り切れば。

 さて、改めて入り口から小屋の中を見回しました。 
 入り口のオブジェ。ここは昼間は休憩所や喫茶店になっているようですね。下駄箱は大きく、その上にはいろいろなパンフ。そして投句箱。自然の中にいれば、人は詩人になるのでしょう。
 暖炉もありました。この日はそこそこ暖かかったこともあるのか、火は入っていないようでした。こういうところでゆっくり本を読めたらいいよな。
 小屋の中には、かなりの数の本がありました。登山や山の自然写真の本が多く、軽く読める感じでした。
 今回の山行で景色が見えなかったところを、この写真集を見ながら、想像で補っていました。うーん、やっぱり直接今度みたい!
 階段の上が、寝所。雑魚寝スタイルですが、広く十分な間隔があることと、布団が柔らかくてきれいでした。とても快適に眠ることが出来たのもこの布団のおかげでしょう。

 小屋の中には、楽器があり、ピアノとコントラバスというのかな、低音の弦楽器があり、食事のあと片づけを終えた小屋の人が、バックミュージックのように奏でてくれていました。

入り口のオブジェ
下駄箱の奥が食堂、その奥に楽器が見える
暖炉 火は入っていませんでしたが、この前でしばらく読書していました
階段下の本棚。山関係の本がたくさん 階段の上が寝所

 雨でなければ、外はさえぎるもののない満天の星空だったのでしょう。澄んだ空気の中、きらめく星を眺め、無造作な木の椅子に腰かけ、熱いコーヒーを飲みながら、今日の山行を振り返る。どこからともなく音楽が聞こえていき、夜の雰囲気が高まっていく・・・
 そんなシチュエーションもあったのでしょうが、この日は雨。
 本棚から、写真集を取り出しては眺め、黒百合ヒュッテの歴史を記したパンフレットを読み、就寝の8時まで過ごしました。(完全就寝は8時30分)

降りやまない雨の中唐沢を下る

 翌日は、5時30分が朝食でした。快眠でしたが、就寝時間が早かったせいか、だいぶ前から目がさえてしまい、階下に降りると同じような人が、ライトで本を読んだり、窓の外を眺めたりしていました。
 外は雨。降りやまないようでした。
 朝食は、卵かけご飯でした。胃に優しそうな和食で、この日一日の山行の体力をチャージするには十分です。

 どうやらこの後天狗岳方面に行く人は少ないらしく、そのまま唐沢方面に下る人が多かったようです。7時ごろからぼちぼち出立するひとが出始め、私たちも8時前には、黒百合ヒュッテを出ました。
 私たちを見送ったのは、宿の方ともくもくと動く「ルンバ」。八ヶ岳の山奥でルンバが働いている!

 さて、外は雨。思いのほか強い雨でした。
 滑る足場を予測して、慎重に行きましょうと連れの方と声を掛け合い、下山し始めました。唐沢=涸れ沢。大きな石がごろごろした足元の悪い沢を句延々と下っていきます。雨に濡れた森の中を楽しむ余裕も最初のうちだけ。
 中盤から後半は、かなり辛い下山行でした。

黒百合ヒュッテの近くにも程よいピークがあった
ところどころに手作りの看板がある
唐沢鉱泉と渋の湯の分岐 ここまでが長かった
ときおり雨が強くなり、白くけぶる森を進んだ
ようやく目的の唐沢鉱泉へ お、温泉だ~

癒しの唐沢鉱泉にて

 想定の倍の時間をかけて下った唐沢の先には、唐沢鉱泉がありました。その名の通り温泉があります。
 到着予定は10時だったのですが、着いたのは11時過ぎ。12時の茅野駅行きの便を予約していたので、焦ったこと。
 宿の方もキャンセルと思っていたようです。山の中はスマホが通じないので、連絡が取れず申し訳ないことをしました。
 ご厚意で出発の便を10分遅らせていただき、温泉に浸かって体を癒すことが出来ました。少し匂いのある、けれども体にしみるようないい泉質でした。一時間ぐらい浸かりたいところですが、そうもゆかず濡れた登山着から着替え、雨合羽をしまい、とあわただしくしていると、お昼ご飯の声がかかりました。
 ここ唐沢鉱泉では、お昼ご飯と温泉、そして茅野駅までの送迎サービスがついて、5,500円のプランがあるのでした。

やっと着いた唐沢鉱泉 宿泊もできる
不思議な縄のオブジェ
アツアツで具沢山の蕎麦 おいしかった
くつろげるロビー
大広間ではソファーで本も読める
謎の熊 奥に見えるのが温泉

 温泉もよかったですが、お昼もとてもおいしかったです。
 蕎麦とうどん、牛丼、カレーから選べるようでした。蕎麦は具沢山の豪華な蕎麦。雨で冷えた体には染み入るようなおいしさでした。
 素敵な宿だったので、ささっと建物内を散策し、写真に収めました。また来ることもあるでしょう。

また来たい八ヶ岳の山小屋

 今回の私たちの目標は八ヶ岳のピークではなく、山小屋泊でした。計画をしてくださった連れの方には本当に感謝申し上げます。
 残念ながら雨の中の辛い行程になってしまいましたが、晴れの時であれば今回の半分くらいの体力で、気軽に行ける場所なんだと思います。
 いうまでもなく、素晴らしい自然と空気に囲まれた場所。今回のコースは登山初心者に近い私にも十分攻略できるものでした。
 次の機会には、ぜひ満天の星空の下コーヒーを飲みながら音楽を聴きたい、と思います。

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