飲食店とメディア

先日ヤフーニュースで以下の記事を読んだ。

この手のいやがらせ産業はどこの業界にもあるのだが、飲食店はターゲットにされやすいだろう。
比較的被害も大きいのではないかと推測する。
理由は2つあると思う。

①店選びに口コミを利用するケースが多い
②店側からの反論が届きにくい

旅行業界でも同様の被害はある。
googleでホテル名にワンスペース空けると、検索候補に「ホテル名 心霊」「ホテル名 幽霊」「ホテル名 事故」などが出てくる事がある。
以前にホテルの担当者からこの事についてお話を伺った事があるが、この検索候補を消しますよと多数連絡があるらしい。

ご存じの方も多いと思うがgoogleの検索候補はアルゴリズムに則り表示されるので、一業者の力で消すことなど出来ない。
おそらく定期的に「ホテル名 心霊」で検索をかけている業者がいて、お金を払うとその検索行動を止めるのだろうと推測される。

上記ニュースの口コミも同様で、業者がグーグルに申請して口コミを削除する事は難しい。
簡単に消せるとすれば、投稿者と連絡が取れる可能性が高い。つまり、グルである。マッチポンプというやつだ。
そんな事は当事者であれば容易に想像がつくし、口コミを参考にするユーザーでも気が付く人は多いだろう。
しかし、その事がマイナスになりすらすれ、プラスになる事はない。

グーグルをはじめ、食べログなど口コミサイトはユーザーからの投稿の方が保護される傾向にある。
これは非常に難しいところで、逆に店側に寄るとそれはそれで誇大広告だらけになる。
どちらかを選ぶならばユーザー側という理論になるのは仕方のない事だと思う。

では、店側は常に泣き寝入りするしかないのか。
恐らくグーグル側も何かしかのルールは設け始めると思う。
例えば画像と一緒にでないと口コミ投稿できないようにするだとか、投稿者の信頼度を設けるだとか。
画像1枚ごとにNFTが設定され、コピー画像や同日に撮影された画像では複数投稿は出来なくなるかもしれない。
しかし、こういうのはイタチごっこになるものである。
究極的には、口コミよりも自分・自店が信用されるしかない。

そういう意味でも、ブログやSNSでの発信をすることは大切である。
集客ツールとして、商品の機能や表面的な価値を伝えるだけでなく、その商品に込めた想いやストーリーを伝える事、そして自分自身やお店を語る事で数多の口コミよりも圧倒的な「行きたい」「欲しい」を引き出すのだ。
そのためには自分自身が信用に値する人物である必要があるし、長い時間かけて発信をしていくことは、大きな信用を築ける反面誤魔化しが効かない。

飲食店は個人店であればあるほど、発信の場を活用するべきである。
それは上記の通り唯一無二の武器であり防具であるとともに、自身を見つめなおし、本質をむき出しにする行為でもあるからだ。
その事で店の方向性を明確にすることが出来るし、場合によっては自身でも気付いていなかった願望や、長所を発見できるかもしれない。

突き詰めて言うと、嫌がらせ業者の口コミに潰される程度の店は、お客様とその程度の繋がりしか持てていかったという事でもある。
別に店主が私のように長々とブログで発信する必要もないのだが、人に何かを伝える時には、しっかりと手をあげ声をあげるのが一番である。
これは大人数の組織であれば当たり前のことだ。
自分の胸の内を察してもらいたいなどというのは傲慢だ。黙っている人に誰も興味など持たない。
ましてお客様に察してもらいたいというのはもはや無礼の極みである。

ちなみに、料理や商品ですべてを語れるのならそれに越したことはない。
さらに言うと、他者が神話のように良い感じに語ってくれるのであれば、本人は黙っていた方が良い。

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