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ニンジャスレイヤーTRPGソロリプレイ:「シーキング・ライト・イン・ザ・ブラック・ダイイング・シティ」

◆注意◆ドーモ、Tac.Tと申します。この記事は8月4日の深夜から飛び飛びで行ったソロプレイを、自分がニンジャマスター(以下NM)を兼ねて多少の加筆修正とオリジナルのストーリーを加えたものを公開したものです。◆新参◆出来る限り推敲はしておりますが、お見苦しい点ありましたらご容赦くださいませ。◆感謝な◆
今回のソロプレイは三笠屋=サン(https://note.mu/mikasaya)作のシナリオ・「忍殺TRPGソロシナリオ【ニンジャの火事場泥棒】」を使用させていただきました。三笠屋=サン、アリガトゴザイマス!


◆ここは重金属酸性雨が降り続くアヤセ・ジャンクションの工場地帯。ソウカイヤと提携しているニルヴァーナ・トーフ社のトーフ工場が、武装アナキスト集団による攻撃を受けた。しかもソウカイヤ首領ラオモト・カンの子息が工場見学中だ。ソウカイヤのサンシタであるお前は、現場への急行命令を受けた◆


◆ここは重金属酸性雨が降り続くアヤセ・ジャンクショ01の工場地帯。ソウカイ01と提携しているニルヴァーナ・トーフ社01トーフ工場が01武01アナキスト集団によ010101受けた01しかもソウカイ01首領ラオモト01カンの子息が工01010101だ。ソウ01010101サンシ0101011010101010101010101010101010101010101


◆◆◆◆STILL‘A’LIVE_SIDE SECTION◆◆◆◆

「……ヤンバーイ……出遅れた……」01


ソウカイヤと懇意のフリーランス・ヤクザ処刑エージェントの女ニンジャ、ライトシーカーはこの日はツいていなかった。何しろ昨日はネオサイタマの端の端で仕事があったのだ。断じてホテルで呑みすぎて、仮眠をいつもより多く取り過ぎたからとかそんな理由ではない。少なくとも彼女が覚えている範囲では。02

つまりは、彼女は完全にこの日の緊急のビズに出遅れたのだ。それはラオモト・カンの子息を助け、ソウカイヤに恩を売るという大チャンスを失う事を意味していた。既に工場内にはシックスゲイツを始めとしたソウカイニンジャ達が散らばっていた。03

「…へんだ」どうせあのラオモト・カンの息子だ。カワイイだろうが多分傲慢なボンボンだ。ロクなもんじゃない…とライトシーカーは思っておくことにした。目の前にはアナキストに襲撃されつつある、ヨロシ系列の健康食品製造会社…ゲンキ・ケミカル社の食品工場。「畜生め……」04

「……や、待てよ?」その場から離れようとして少々思い立つ。どうせ報酬は出ないんだ。アナキストどもの襲撃に乗じて、金庫やUNIXを荒らして、金目のモノを少々頂いても誰にも咎められないのでは?ゲンキ社だって腐ってもメガコーポだ。まだ金目の物はあるだろう。05

◆ライトシーカー(種別:ニンジャ/フリーランス)
カラテ…3、体力…3
ニューロン…4、精神力…4
ワザマエ…4、脚力…2
ソウル(ヒカリ・ジツ)…2
【サイバネ:生体LAN端子】
【銃器: ミハル社製カスタム・スナイパーライフル「愛銃」:ダメージD3、小銃、対ニンジャ仕様、移動後射撃不可】

ライトシーカーはギターケースを開けると、その中に丁寧に仕舞われた黒い部品を素早く組み上げ始める。部品達はシャープで流麗な形状をした、漆黒のスナイパーライフルに組み上がった。ミハル社製カスタム・スナイパーライフルE-3型改善。…彼女は単に【愛銃】と呼んでいる。06

ライトシーカーはうなじの生体LAN端子と「愛銃」とを、太めの光ファイバーケーブルで繋いだ。鉄の味が口内に広がる。遥かにいい。仕事じゃないのが残念だ。…長い黒髪、黒い三揃スーツを着た女ニンジャは、明日のサケ代を稼ぐ為、黒い愛銃を抱えて走り出す。その両目の光は黄色い軌跡を闇に残した… 07

◆◆◆ 08

工場に突入したライトシーカーが見たものは、溢れ出した健康的飲料エキスが床を覆い、その上を逃げ惑う労働者と、それを襲うアナキストによる地獄絵図であった!「うへー……ひでぇ」思わず口走り、飲料の蒸発する悪臭に顔をしかめる!飲料に含まれているらしい健康的成分の臭いか…? 09

ライトシーカーはこの悪臭に、どことなく麻薬めいたイメージを抱いた。事実ゲンキ社製のカルシウム促進飲料などには、ヨロシサン製薬や他のヨロシ系列企業の製品同様、長期間飲み続けていると依存性を持つような成分が含まれているのだ…!この瞬間から彼女は、ゲンキ社の製品を買う気が失せた。 10

その時である!「アイエエエ助けてーッ!」目の前から労働者達を突き飛ばしつつ、職員と思しきサラリマンが飛び出してきた!「アイエエエ!」「アイエエアブナイ…」「どけーッ!!」労働者達が転倒し、健康的飲料の水たまりに顔からダイブする! 11

「私は高い学歴があり社会的貢献性が高くここで死ぬには惜しい人間なんだーッ!」…ライトシーカーはその様子にそこはかとない憤りを覚え、すれ違いざまにサラリマンの向こう脛を蹴っ飛ばした!「アイエエエ!?」サラリマンの脛無残!健康的飲料に顔から突っ込む! 12

ライトシーカーのチョッカイ!
[カラテ判定NORMAL:,1,3,6]
ステーン!

「エリート様ならみっともなく騒ぐんじゃねえよ!バカ!」ライトシーカーはサラリマンの方へ唾を吐きかける。サラリマンはそれにすら構わず這う這うの体で逃げていき…彼が落としたであろうサイフだけが残った。「…ケッ!しけてやがンの…」万札こそ1枚しかなかったが、それでも酒代には充分だろう… 13

工場内をある程度歩き回ったが、なかなか金目のものは見つからない。やはりは全自動の工場施設というだけあって制御UNIXでさえもどこかに集中しているようであった…。ふと、ライトシーカーが壁の一点に注目した!工場の内部図面だ…… 14

「……ンム」ライトシーカーはその内部図面から、目ざとく工場長の部屋の位置を見つけ出した!中には金庫に収められた万札やトロ粉末、カケジクやカタナなどのトレジャーがあることだろう…!「…うへへ…!カネは実際大事、マサシだってそう言ってら…!」彼女は黒い風となって再び駆けだす! 15

「アイエエエ!」「アイエエエナンデ!」「ピガガーッ!」その頃、工場の片隅。ノイズ混じりの電子音声とともに、巨大な鉄の塊が労働者達を踏みのけて暴れ回っている。循環警備用のモーターヤブだ!背中にはアナキストが乗り、ヤブとLAN直結している!「アハハハハハ!コワセ!もっとコワセ!」 16

「ピガガッ…ドーモ、モーターヤブです。直ちに休憩してください」BRATATATA!「「「アババババーッ!」」」ガトリング掃射!労働者無残!「アハハハーッ!」ナムサン!アナキストが自身のニューロンと制御回路とを直接繋ぎ、無軌道な破壊衝動でヤブを暴走させているのだ!これもマッポーの一側面か! 17

その時である!「アバッ」突如としてアナキストの脳天に穴が開いた!読者諸兄の中にニンジャ視力をお持ちの方が居れば、容易に見て取れるだろう…4cm近い長さのライフル弾が、アナキストの後頭部から飛び出す瞬間を!「ったく…邪魔なんだよ…」銃弾の射手は、黒いスーツに黒い髪…ライトシーカーだ! 18

ヤブから転げ落ちるアナキスト!しかしヤブの動きは止まらない…!「ピガガガッ…休憩休憩休憩…非休憩対象発見…ただただ直ちに休憩してください…」「は?」ヤブがガトリング銃を再回転!しかしライトシーカーは、ヤブが銃弾を装填する前に引き金を引く!BRAMN! 19

ライトシーカーの攻撃!
[ワザマエ判定NORMAL:1,5,5,4]
ライトシーカーの銃撃成功!

ライトシーカーの放った銃弾は、ヤブのカメラ機構を寸分違わずに撃ち貫いた!「ピガガガッ…」視認センサーを封じられたモーターヤブはガシャンガシャンと音を立ててその場でグルグル回転!「対象視認不可能!対象…ピガガッ、対象視認不可能!」「あ…アイエ…」これ幸いと逃げ出す労働者達! 20

「邪魔くさいったらありゃしないよ」ライトシーカーは構わずヤブの横を悠々と通り過ぎていった。工場の深部へと足を踏み入れる。金目のものへは、まだ遠い… 21


◆◆◆ 22


工場の壁面には「ぐんぐん背伸びな」「青い野菜」「凝固するプロテニズム」などの製品の宣伝ポスターが並ぶ。どれも蠱惑的な文言と共に笑顔の子供や若い男女が、製品を持って笑っている。「…どれもこれも依存成分入ってんだろうねえ」ライトシーカーは思わず呟き、ポスターの横のタンクに手を伸ばす。 23

BAM!その手に重なるように、突如として大きい両手が透明な飲料タンクの中から浮かび上がる!「アイエッ!?」両手は激しく飲料タンクの壁を叩いている…。そう、これは飲料タンクに偽装した健康飲料トラップである!「…ホラーかよォ…」 24

ライトシーカーが気圧されつつタンクから距離を取ると、飲料の中からソウカイヤ紋の刻まれたメンポが!「マジで?ニンジャ?…まあ、プロテインの中で生きていられるのもニンジャだけか…」ライトシーカーは隔壁の下部分の制御端末と、自身の光ファイバーケーブルとをLAN直結した! 25

ライトシーカーのハッキング判定(?)!
[ニューロン判定NORMAL:2,5,5,4]
キャバァーン!

「ンググッ…」光ファイバーが猛烈な輝きを発する!突如として制御盤から火花が!コレは一体!?健康飲料トラップの作動は止まり、誤作動を起こした床の排水溝が開き、健康飲料がそこに吸い取られていく。ライトシーカーは、装置にヒカリ・ジツのエネルギーをそのまま流し込んだのだ…! 26

トラップの中には、何やらマッシブな人影が残るだけになった。「フー…出てきていいよ、アンタ!」LANケーブルを回収し、人影に向かって呼びかけてみるライトシーカー。人影は返事をする代わりに、トラップのガラス隔壁をぶち破って回転跳躍!「バルク!」27

「でええっ…!?」…飛び出してきた人影は、褐色に照り輝く肌、7フィート近い長身の体は健康的に浅黒い。身に付けているものといえば黒のビキニパンツのみ……まるでボディービル大会から抜け出したが如き筋肉量。「グフフーッ…助かったワイ。あわやプロテインの中で溺れ死ぬかと思った!」28

「…ウン…?」「ヌゥ?」そのマッスルニンジャは、ライトシーカーに気づくと…「あいやスミマセン!またまた助かりましたワイ!」白い歯を見せて笑い、謝意を込めて丁寧にポージング・オジギを決めた。「ドーモ、プレートメイルです!」「あ、ライトシーカー…」彼女は茫然と頭を下げるに留まった。29

「グフフ…まさか今度は本当にプロテイン・トラップにかかってしまうとは。油断したワイ…!」「…自分のカラテでぶち破れば良かったんじゃねえの…?」「あいや、勿論そうはしたかったが…グフーッ…プロテイン…!」プレートメイルは命が助かったというのに、何故か残念そうな複雑な表情をみせた…。30

人生に筋肉本位制を導入した男・プレートメイルは、プロテインなどのタンパク質気配を感じ取ると冷静さを欠き、その筋肉養成衝動に優先的に従ってしまうのである!実際、彼に隔壁をカラテで割る事さえ許さぬ、卑劣なるプロテイン・トラップは、彼にとってはまさに致命的であったのだ…! 31

「…グフッ!こうしてはおれんワイ!早くチバ=サンを助けださねば!ライトシーカー=サンも急いだ方が良いですぞ!」プレートメイルは床を蹴って走り出す!「オタッシャデー!」「お、オタッシャデー…」茫然と見送るライトシーカーは、彼に手遅れだという事を伝えそびれた事に気づくと少々頭をかいた。32

「…なんだったんだあのマッチョ野郎…」ライトシーカーが工場内を進むうち、眼前に大きな扉が見えた。扉に貼り付けてある札には「工場長室」の文字。そして持ち手の側ではアナキストがピッキングしている。「邪魔っけな…」ライトシーカーはスタスタとアナキストに近づくと、当て身で気絶させた。33

ライトシーカーのカラテ!
[カラテ判定NORMAL:2,3,4]
上手い具合に気絶させた!

◆◆◆ 34

「あ、アイエエエ…!?救援!助かった!」扉の先で待っていたのは、脂ぎった頭にまばらな髪を神経質になでつけバーコードめいた模様を形作る、奇妙なヘアースタイルの小太りの男であった。胸のバッジには「トウヤマ工場長」。「……フーン?」ライトシーカーの目線は抜け目なく机の上へと向く… 35

…机の上には唐草模様のバイオフロシキ。「夜逃げのつもりかねアンタ」「アイエッ!」工場長の頭皮から玉のような汗が噴き出る!図星だ…!「…怖いんか、ケジメやセプクが」「アイエ……」「アイエエエじゃないよアンタ」「アイッ……ハイ……」工場長の震える体を、ライトシーカーはジッと見つめる。36

「…ア……」「ウン?」「ア…アナタは…」「ン、アア。アタシャこういうモンだ」…その刹那、ライトシーカーの黒いスーツが、その面影を残したまま、徐々にニンジャ装束めいて変形し始める。ベルトはブラックベルトめいて結ばれ、黒いブレーザーやレガースが生成され…… 37

……「ドーモ、ライトシーカーです」深々とオジギし、顔を上げた彼女のその顔には…黒いメンポが装着されている!黄色く神秘的な光を放つその瞳が、冷徹に工場長を射竦める…!「…ア……アイ…エエエエエエエ!」工場長は腰を抜かし、しめやかに失禁!「ニンジャ!ニンジャナンデ!?」NRSの発症だ! 38

「…あのな、アタシャこの工場のアナキストども達を後始末するように言われてるだけなんだわ」ライトシーカーは一瞬の逡巡の末、そう工場長に話しかけた。「ついでにアンタの無事もとりあえず確認してこいと」「…え、つまり」「確認済んだし勝手に逃げていいよ」その場しのぎの適当な嘘!ナムサン! 39

「ア…アイエエエ…アリガトゴザイマス…アイエエエ…」工場長は四つん這いになったまま、這う這うの体で部屋から逃げて行った…。「上にかけあってセプクだけはなんとかしてやるか…」獣めいたブザマな逃げ姿を横目に、ライトシーカーは呟く。「……こんなにイイモン忘れていってくれたしな!」 40

そう言うとライトシーカーは、デスクの上に置かれたままのバイオフロシキに手をかけた!「オッホ!ワオオーッ!」思わず喜びに声を上げる!中には万札10とトロ粉末!さらに彼女は部屋の中にあった「ビールはやっぱりドサンコ製」のショドーを見つけ、回収!「まッさか好みが同じだったとはね〜」 41

[ダイスの出目:3]
偉大なるショドーだ!

その時、彼女の携帯IRC端末に着信!『チバ=サンを発見。保護完了につきミッション終了。救出命令を受けていたニンジャは帰還せよ』……しかし、彼女には今やそんなことはどうでも良かった!IRC端末を一瞥すると、装束の中に仕舞い…フロシキと愛銃を携え、駆け出した!一刻も早く離脱しなくては! 42


◆◆◆◆◆ 43


俺は、何だ…『お前は、お前だ』…そ、そうだ!ヨロシサンの野郎どもに鉄槌を下そうと…『そんな事、最早どうでもいいだろう?』…何の話だ?…『モータルどもの有象無象の集まりなど、どうでもいい。もっと視野を広く持て』…視野を?… 44

『空はこんなにも広いんだからな』 

死んだはず一人のアナキストの視界には、人の顔をした黒い雲が邪悪な笑みを浮かべた姿が広がっていた。 45


◆◆◆◆◆ 46


音も無く、黒い風が工場内を走る。最早廊下には足の踏み場も少ない。アナキストの死体、サラリマンの死体、クローンヤクザの死体。ライトシーカーはそれぞれに一瞥をくれつつ、バイオフロシキと黒い愛銃片手に駆け抜ける。47

ふと彼女の目に、幸せそうな家族の集合写真が目に入る。側には血塗れで倒れているガードマンの死体。アナキストとの戦いの末に死んだのだろうか。写真の中のガードマンやその子ども達は、屈託のない笑顔だ。…彼は家族を養うために、ガードマンとして最後まで抵抗したのだろうか。 48

では他の奴らは、どうか。自分に殉じて死んだんだろうか。ライトシーカーは心中独りごちる。このアナキストどもはアナキストとして、サラリマンどもはサラリマンとして死んでいったんだろうか。…クローンヤクザはまだ幸せだ。余計な事を考えず、役目に殉じて死ねる。49

(…だとすれば自分は、どうだ。)…ライトシーカーの黄色い瞳に陰りが見える。(マッポにもなりきれず、ヤクザにもなりきれず、ニンジャ組織に取り入ったと思えば所属にすら踏み切れねえ…。……アタシは何を頼れば、否…何を拠り所としたいんだ。……アタシはなんなんだ) 50

幾度自分に問いかけてみても答えは出ない。ネオサイタマ市警に何度も戻ろうかと考えた。ニンジャとなった自分の体がそうはさせなかった。いっそのことソウカイヤに入っちまおうとも考えた。自分のくだらんプライドがそれを阻む。結局のところどっちつかずのまま、こうしてコソ泥めいた事をしている。 51

「……『おっさん』が今のアタシ見たらどう言うだろうね」言い方だけは無感情な呟きが、口から漏れ出る。かつての同僚は自分と同じくニンジャとなった。それでもマッポとして立派に務め上げた。立派なもんだ。アタシには到底ああはなれない。 52


…その時である!異様なアトモスフィアが、ライトシーカーの両脚を硬直せしめる!「アイエッ…グワーッ!!」ライトシーカー、派手に転倒!そして顔を上げると……彼女の目の前に、アナキストの死体が、立っていた。 53

「………エ?」「ドーモ……」否!ボロ切れめいて負傷は激しいとは言え死体などではない!アナキストからは強大なニンジャ存在感!見る見る内にメンポと装束を生成して身にまとい、全身から凄まじいほどのカラテを発し……ゆっくりとアイサツをした。「…マッドレイン………です」 54

自らが黒いニンジャ装束のままだと気づいたライトシーカーは、バイオフロシキを横に置き、しめやかに立ち上がると、アイサツを返した。「ドーモ…ライトシーカーです」イクサの前のアイサツがいかに大事か、古事記に書かれている通りである事は読者の皆さまも既にご存知であろう。55

「………あいや待っ」「イヤーッ!」ライトシーカーの非敵意ホールドアップを無視して、マッドレインが彼女に雨あられのような連続カラテ殴打を叩き込んだ!「グワーッ!」うち数発が彼女の右の脇腹にクリーンヒット!ナムサン!1発1発の威力はそれほどでもないが、手数が多い!驚異的なカラテの素早さ! 56

マッドレインの攻撃!
[回避判定2分割NORMAL:3,2 6,2]
回避失敗!ナムサン!

「グワーッ!脇腹グワーッ!」なおも続く強烈なワンインチ距離のカラテ応酬!マッドレインの左セイケンヅキがライトシーカーの脇をかすめる!「グワーッ!反対…反対側の脇腹グワーッ!」まさしく雨あられめいて降り注ぐマッドレインの高速カラテ!少しでも攻撃に転じようとすれば強烈なカラテがライトシーカーを襲うであろう!ナムサン!防戦一方!反撃困難!57

「オソ……オソ……レロ」「!!」カラテ応酬の中、マッドレインの声が響く。「……オソ……レロ。我……ハ……」「何だ……ッ」ライトシーカー、ここでマッドレインの挙動に違和感を感じる!まるで何者かに無理矢理意識を乗っ取られているような……。「…我は、何だッ…!」愛銃は、幸運にもまだ手元に握っている!LAN接続もまだされたままだ! 58

「ワ……我…ハ。ヨ…………ニンジャ……也」マッドレインの瞳は裏返り、もはや口走る言葉も朧だ。ライトシーカーが茫然と様子を見守る中、彼のカラテのアトモスフィアが変じる。たちまち超自然の風圧が巻き起こり、通路の壁がミシミシときしむ!「……イヤーッ!」 60

ライトシーカーの反撃!
[ジツ+ニューロン判定NORMAL:2,6,4,3,3,5]
発動成功!精神力消費1!

事が起こる前に、ライトシーカーが動いた!マッドレインの腹を強引に蹴り飛ばし、彼との距離を無理やり開く!そして即座に愛銃をつがえ、マッドレインの心臓を狙い引き金を引いたのだ!CHOOOM!「…ッグワーッ!!」これぞ彼女がニンジャソウルと同時に得た力、ヒカリ・レーザーである!レーザーの威力は貫通にこそ足りなかったが、マッドレインの体を後方に吹き飛ばした! 61

「グッ……クソッ……!」銃口から煙を吹く愛銃を抱え、地面に転がるバイオフロシキを拾うと、ライトシーカーはその場から走り去った!しかし後方からマッドレインも凄まじいスピードで追ってくる!両者の間の距離がどんどん縮まる…!ナムサン!ライトシーカーが生唾を飲み込んだその時である! 62

「バルク!」ライトシーカーの前方から大型スリケンが飛来し、彼女の横を掠めた!「グワーッ!」後ろで悲鳴!ライトシーカーは褐色にテカるその雄姿を、眼前に見た!「!?」「グフフッ……ドーモ、プレートメイルです。またお会いできて光栄ですワイ!」ポージング・オジギから流れるようにモスト・マスキュラーをキメる! 63

「おお」ライトシーカーはその圧倒的な筋肉量に気圧され……瞬時に正気を取り戻した。「うっ……後ろ!アタシの後ろ!クッソ強いニンジャ!早く逃げろマジで!」最低限の情報共有!「グフフ…成る程、彼奴め筋肉量はそれ程でもなさそうだが…」ダブルバイセップスへの滑らかな移行!「…面白いワイ!」 64

「面白いワイ!?何がじゃあ!」「ライトシーカー=サンは先にゆかれい!ワシならしばらく足止め出来るやも知れん!」さらにサイドチェスト!「……!」マッドレインはやおら立ち上がり…体から大型スリケンを抜く!「彼奴の処理は我らソウカイヤに任せられい!それにオヌシは我が筋肉の恩人…そうやすやすと死なす訳にはいきませぬワイ!」65

ライトシーカーは、プレートメイルの笑顔を見据える。「……頼むぞ、ソウカイヤの!」そう告げると、彼女は走った。振り向けば褐色にテカる影は小さくなっていく。愛銃から手は離さなかった。バイオフロシキも抜け目なく持ち去っていった。…黒い装束はいつの間にか消え、元の黒いスーツへと戻っていた。黒い髪が風になびき……出口を示す白い光が、彼女の眼前に現れた。66



◆最終結果◆
ライトシーカーの体力…4→3
精神力…4→3
万札…フロシキの10+ラオモトからの10、合計20獲得
DKK…1獲得
その他…トロ粉末、偉大なるショドー、マッスルニンジャとの縁
◆ミッションクリア◆



◆◆◆ 67


…『酒』とでかでかとショドーされた看板のかかる店で、今日もライトシーカーはひとりグラスを傾ける。…ドサンコビールとオキナワ・アオイのチャンポン・カクテルだ。アルコール度数など、彼女の知ったことでは無い。アルコールには強いのだ。67

数刻前。「ムハハハハ!よいぞ!迅速な報告、的確な対応、実にアッパレであった!」ソウカイヤの後継候補たるチバが無事に救出されたことで上機嫌なラオモト・カンは、稀少なアーチ級ソウル憑依者を発見して報告し、救援到着まで持ちこたえたライトシーカーの働きを非常に良く評価した。68

ラオモトが無造作に手を叩くと、漆塗りのオボンに乗せられた万札を持ったオイランがしずしずと現われた。「フリーランスの身でありながら見事な働きよ!褒美にこれを取らせてやる。持って行けい!」「はは。今後ともヨロシクオネガイイタシマス」「ムッハハハハ!ヨロシクオネガイイタシマス!」………… 69

……こうして酒代は手に入った。まあ数日分は呑み繋いで行くことができるだろうか。「おやじ、オキナワ・アオイ・カクテルもう4杯」「2つで充分ですよ…」呆れたような表情を作る店主。ライトシーカーの座るカウンターには、すでに空のビールのボトルやらカクテルのグラスやらが置かれている。 70

「…なあおやじィ、アタシって一体何モン何だろうねぇ?」サケで呂律も回らなくなりつつある舌で、ライトシーカーは店主に問う。「ツケを踏み倒していく実際困った客ですよ…」グラスを拭きながら店主は返す。「イヤさ、そういう……まあいーや」71

何処にも属せず、何処に流れ着くとも知らず、拠り所とするものも何も無く、ただただ今は酒場で呑んだくれているこの身が、イヤでイヤでしょうがない。そのハズなのに。「………ブハア!」幸せを感じる。なんとも怠惰な幸せの形だ。自嘲気味に心中で独りごちながら、ライトシーカーはまたサケを呷る。72

なんとも、怠惰な。「……………」ふと、写真の中のガードマンの笑顔が蘇る。「………だからなんだい…」口ではそう言いつつも、サケを呷る手が止まる。……やがて未練を断ち切ろうとするがごとく、彼女はオキナワ・アオイをイッキした。 73


…そして明日になると、ライトシーカーはまた依頼を探し求めて彷徨い歩く。黒々とした重金属酸性雨の下、もっと大事な何かを探すがごとく。74


「シーキング・ライト・イン・ザ・ブラック・ダイイング・シティ」





「………おお、ようやっと気付いてくれたか!いやあ死ぬかと思ったワイ…オヌシ強いな!」マッドレインが目覚めると、彼は担架の上に拘束され、クローンヤクザ達に搬送されている事に気がついた。顔を覗き込む角刈りのマッスルニンジャの存在もである。「………俺は……」

「オウ、テメエがその生意気なアーチ級とやらか」同じく顔を覗き込むは、リーゼントヘアに金糸が織り込まれた装束の、ヤクザバウンサーじみたニンジャ。「ドーモ、マッドレイン=サン。ソニックブームです」「……待て、どういう」

「ようこそ、ソウカイ・シンジケートへ。」ソニックブームはメンポ越しにニコリと笑った。「……行っておくがテメエに拒否権は無えぜ」

◆◆◆◆◆ STILL’A‘LIVE ◆◆◆◆◆

◆忍◆
ニンジャ名鑑#XXXX
【ライトシーカー】
N.S.P.D.の女デッカーにニンジャソウルが憑依。飄々としており、ある種ニンジャ性と人間性のバランスが取れた性質を持ち合わせる。自らの意志と殺伐とした現実とのギャップに悩む。得物のスナイパーライフルから放たれるヒカリ・ジツのレーザーが武器。
◆殺◆

◆終◆三笠屋=サンに感謝を◆最後まで見ていただきアリガトゴザイマス!◆

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