日本対ボリビア_1

日本対ボリビア 分析 ~森保監督へのアンチテーゼ~ [キリンチャレンジカップ2019]

今回は3月のインターナショナルマッチウィーク2試合目、ノエビアスタジアム神戸で行われたボリビア戦について。スタメンをコロンビア戦から全員変え、レギュラーメンバーではない選手を並べ、上手くいかず結局いつもの2列目のアタッカー(中島、堂安、南野)を入れてなんとか勝つ、という試合です。

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アジアカップまでの課題、コロンビア戦の分析はこちらから↓

ゴール 日本 1  :  0   ボリビア

日本 76’中島

スターティングメンバー

まずはコロンビア戦から全員変わることになったスタメンから見ていきます。

ロシアW杯に招集されてから森保体制では招集されてこなかった宇佐美、香川が復帰し、8年ぶりの代表戦となる西や、鎌田、橋本、畠中、安西といった新顔、久しぶりの小林もスタメン出場です。

日本 守備 ~前線のアドリブプレス~

では試合を見ていきましょう。まずは守備からです。

この章は短くいきます。守備は(攻撃もですが)、これまでの分析にも書いているように、森保監督はじめスタッフが構築した戦術でプレーしているわけではありません。なので、選手の個人戦術です。

その個人戦術でやっている中で、選手間の連係は取れていて、この図のように左CFの鎌田がバックマークプレスでタッチライン際に追い込み、右SB(ペパラノ)にパスを誘導すれば、左SHの乾もバックマークプレスでタッチライン際に追い込もうとしていましたし、前線のアタッカーの中で、その時その時でプレッシングのスタートとなるCF(香川、鎌田)と共通の狙いを持って、同じ方向に相手を追い込もうとすることはできていました。そこで、実際のシーンを一つ紹介します。

66分のシーンです。鎌田、香川の2トップからプレッシングをかけ、GKに下げさせ、左SB(フェルナンデス)にロングボールを蹴らせたところで堂安が奪い、小林とのパス交換からライン間の香川に入り、あわや決定機、という見事なシーンを作りました。

日本 攻撃 ~やはり機能しなかった即席攻撃~

次に攻撃。

まずはこの図がマッチアップです。このように、序盤は基本的にSB(西、安西)は高い位置を取らず、4バックのままで攻撃をしていました。

しかし、上図のようにSH(宇佐美、乾)がインサイドレーンに入れば、SB(西、安西)が連動して前進し、幅を取っていました。この部分では、乾と安西の左サイドのコンビは、とてもスムーズな連携を見せており、乾がインサイドレーンに入ると同時に前進して幅を取っていました。そして右サイドの宇佐美と西のコンビは、宇佐美がインサイドレーン、西が大外レーン、というだけでなく、その中と外のポジションチェンジをして、西がインサイドレーンに入る、というシーンもありました。

では、試合で見られた事象、パフォーマンスの分析に移行します。

まずボリビアの守備戦術から行きます。ボリビアも、しっかり戦術を落とし込んでいて、一つ目は第一プレッシャーラインのプレッシング。立ち上がりは、アグレッシブに攻撃的プレッシング(相手DFラインのでパス回しをスイッチにするプレッシング)をかけていました。そして、第一プレッシャーライン(カストロ、アルバレス)が日本のボランチを消すバックマークプレスをかけ、SBにパスを誘導する守備をしていました。

そして二つ目がこちら。

このように、第二プレッシャーライン前でボールを持たれたとき、SH(バカ、ラマジョ)が若干内側に絞って、背後のライン間のインサイドレーンへのパスコースを消し、大外レーンに誘導し、外回りの攻撃にしようとしていました。

では本題の日本の攻撃に行きましょう。

立ち上がりこそアグレッシブにプレッシングをかけたボリビアですが、その後は守備的プレッシング(CBには持たせ、そこからのパスコースを制限し、受け手にプレッシャーをかける)に切り替えていたので、CB(三浦、畠中)はボールを持つ時間があったわけですが、最初から決め込んだように大外レーンのSB(安西、西)にパスを出すシーンがとても多く、インサイドレーンに縦パスを入れる選択肢を持てていませんでした。なので、内側ではなく、外、外、という外回りの攻撃になっていました。

ではここで一つシンプルな解決策を紹介します。

上図のように、ボランチの片方が下りて3バック化し、相手の2トップに対して3対2の数的優位を獲得。1人のフリーを生かして左右のCBが持ち運んで第一プレッシャーラインを突破し、ライン間に数的優位を持ち込むことで、相手はボランチが出てプレッシャーをかけなくてはならなくなるので、その背後のライン間にスペースができます。そうなればライン間にパスを入れることができます。また、ライン間にパスを入れる手段としては、持ち運んだCBから直接出なくても、他の選手がサポートして、中継点となることでパスを通す事ができます。

しかし、インサイドレーンに進入する方法は、CBからインサイドレーンに縦パスを入れることだけではありません。サイドから進入する方法もあるわけで。ですが、

この図のように、大外レーンにポジショニングするSB(西、安西)がボールを持った時、SH(宇佐美、乾)のサポート、トップ下(香川)やボランチ(橋本、小林)の3人目の絡みがなく、サイドからインサイドレーンに進入、そして崩そうとしてもSBが孤立しているのでサイドアタックが停滞、というシーンが多く、SBで幅を取ることはできても、その次がなく、CB(三浦、畠中)からSBにパスが入って、SBが孤立してサイドからのインサイドレーン進入、それによって崩し、ゴールを奪う、ということはできずもう一度CBにパスを戻して同じことをする、という攻撃が繰り返されました。

ではここでも解決策を提案します。

この図のように、ボランチ(トップ下)がボールサイドに顔を出して、SB+SH+ボランチ(トップ下)というトライアングルを形成。そうすることで、出し手(ボール保持者)と受け手だけの関係ではなく、3人目の関わりを持たすことができ、単調な攻撃を避け、相手が気にしなくてはならない選手を増やすことができます。そして、相手のサイドの守備にかけられている人数(ほとんどの場合2人)に対して数的優位を獲得することができます。

そこから、

トライアングルを形成したことで上図に示したように中継点を経由してインサイドレーンにパスを入れる事ができますし、そこからSBがオーバーラップで裏に抜け出して、インサイドレーン裏に進入してクロスを入れる、という攻撃をすることができます。(あくまで一例ですので他の方法もあります)

このように、サイドでSBが幅を取った時にトライアングルを形成することができておらず、SBが孤立していたので、サイドアタックが停滞し、CBからSBに入って、サイドアタックがダメでCBに戻してもう一回、という攻撃が繰り返されたわけです。

しかし、全く良くなかったわけではありませんでした。印象的だったシーンを紹介します。

このように、トップ下の香川が左サイドに流れることで右サイドにオーバーロード(直訳で過負荷)を作り出します。そしてオーバーロードによって数的優位が右サイドに生まれ、宇佐美がフリーで持って、右にオーバーロードを作り出したことで逆にアイソレーション(孤立)状態になり、スペースがある左サイドの乾にサイドチェンジし、乾がドリブル突破に持ち込む、というシーンが複数回ありました。これは、香川のボールサイドに流れてパスを受けに来る動きによって生み出されたシーンです。ですから、香川という選手の特徴を生かした攻撃でした。

しかし、前述のようにサイドでSBが孤立してサイドアタックが停滞し、CBに戻してもう一回SBに入ってまた停滞する、ということが繰り返され、即席チームなので、選手間の連係が構築されていないことでコンビネーションで崩すシーンもなく、このメンバーでゴールを奪うことはできず、チームとして作った決定機もなく、ずっとボリビアのブロックの外でボールを回すことになってしまっていました。

しかし、61分、69分と2枚替えで堂安、中島、南野、柴崎という"いつも"のレギュラー組が登場。そして76分、橋本のボール奪取きっかけに相手のパスミスを堂安がカットして、堂安→南野→中島(鎌田も絡んでいましたがボールには触れていない)と繋がり、中島がニアを打ち抜くシュートを決めて1-0。このゴールが決勝点となり、勝利しました。

森保監督へのアンチテーゼ

今から森保監督の采配、選手起用への疑問、僕はこうするべきだと思う、という考えを書いていきます。

スタメン総替えの是非

まず、コロンビア戦では、ここまでレギュラーとして起用されてきた、お馴染みのメンバーが先発しました。そして、その後のボリビア戦では、全員スタメンを変えました。

「全員使ってあげたい」                          「まだまだ良い選手がいることを示してほしかった」

これらは森保監督のコメントですが、確かにその主張は理解ができます。確かに、毎回呼んでいるのに全然使われない選手がいたら、メディアに「招集しているのになぜ使わないんだ」と批判されるでしょうし、選手のモチベーションにも関わってくるかもしれません。そして、「色々な選手を試したい」という森保監督の気持ちもあるでしょう。ですが、それはスタメンを全員替えることで実現されるのでしょうか。またはそれが一番成果の得られる方法なのでしょうか。僕は、全員使いたいのなら、試したいのなら、レギュラー組に何人かを組み込む、という方法が効果的で、チームを成長させる、と考えています。

例えば、トップ下の南野に代えて香川だとか、柴崎に代えて小林を起用するだとか。アジアカップまでのレギュラーメンバーの中に、試したい選手を何人か入れることで、レギュラーメンバーとの連携を構築することができ、どう守るか、この時にどうポジショニングするのか、してほしいのか、という感覚を共有することができるわけです。

ですが、全員リザーブメンバーとなると、そこにレギュラーメンバーはいないわけなので、構築されている連係がなく、何もない状態でプレーしなくてはなりません。そりゃあ点が取れないわけです。今日はレギュラーメンバーでの試合ね、今日はリザーブの試合ね、という一軍と二軍をくっきり分けられた、リザーブメンバーの試合は捨て駒、というような形になってしまいます。このままでは今大迫不在時の攻撃が深刻になっているように、ガチガチにメンバーが固定されてしまって代わりを務めた時にレギュラーメンバーの中で遜色ないプレーができ、レギュラーとの連係が構築されいる選手がおらず、一人が抜けた穴がそのまま敗戦に直結する、とても層の薄い、勝てるシチュエーションが限られたチームになってしまいます。ましてや代表チームとなればケガやコンディションもありますし、毎回同じ選手を11人並べることができるわけではありませんので。

なので、層の厚いチームになることは、代表チームでは不可欠なことだと思うので、試すなら、全員使うなら、レギュラー11人の中に何人かリザーブメンバーを起用し、徐々にリザーブメンバーをレギュラーメンバーに浸透させ、連係が構築されており、レギュラーメンバーが何人か抜けた時にも、大きくパフォーマンスが落ちないチームを作るべきです。

総括

守備 森保監督が構築した戦術でプレーしているわけではないので、選手の個人戦術でやるわけだが、前線のアタッカーは、プレッシングのスタートとなるCFと意図を共有出来ていて、連動したプレッシングを行うことができていた。

攻撃 CB→大外レーンのSBというパスばかりで、インサイドレーンに縦パスを入れる、という選択肢を持てておらず、サイドからもインサイドレーンに進入する方法はあるわけだが、SBが持った時に、SHのサポートやボランチ、トップ下が3人目として絡んでくることがなく、SBが孤立してしまっていて、サイドアタックが停滞してCBに戻し、もう一回CBからSBに入り、また孤立してCBに戻す、という繰り返しで、ずっとボリビアのブロックの外でパスを回す攻撃になっていた。

そして、森保監督は、まだまだ良い選手がいることを示したい、試したいのなら、レギュラーとリザーブを分けてリザーブ組のゲームとしてリザーブメンバーを11人並べるのではなく、レギュラーメンバー11人の中に何人かのリザーブメンバーを起用し、徐々にリザーブメンバーもレギュラーメンバーとの感覚を共有し、レギュラーとリザーブの垣根のない、層の厚く総合力の高い一人抜けたことが敗戦に直結しないチーム作りをするべきである。

最後にもう一度書かせていただきます。もしこの記事を気に入っていただけたら、SNSなどでの拡散をぜひよろしくお願い致します。皆さんで日本サッカー界をもっと盛り上げ、レベルアップさせましょう!

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