ストライカー_データ比較_セリエA5

「得点王=最も優れているFW」は本当か?Case:セリエA [ストライカーをデータで比較]

今回は、試合の分析ではなく、データ分析です。タイトルの通り、データ分析の題材は、「ストライカー」です。得点王が、チームの勝ち点に、勝利にとって一番貢献しているストライカーなのかを2つのデータから解き明かしていきます。

今回は、イタリア1部、セリエAです。(この記事に書かれている試合数、得点数などは、2019年3月のインターナショナルマッチウィークによる中断前、28節時点のものになります)

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まず、皆様、「サッカーデータ革命 ロングボールは時代遅れか」という本はご存知ですか。この本の中で、ストライカー個人ではなく、個人のゴール数ではなく、チームという視点で見た時、チームが勝利、勝ち点を得るにあたって、一番重要なゴールは、2点目である、という研究結果が書かれています。(その次が1点目、3点目、4点目、5点目と順に続く)ということは、3点目や4点目ばかり取っている20ゴールのストライカーより、1点目、2点目を多くとっている15ゴールのストライカーの方が、チームの勝利、勝ち点にとっては(ブランド価値などは置いておいて)価値が高い選手だということです。

そこで僕は、このデータを今シーズン(18-19シーズン)の欧州4大リーグに当てはめ、さらにどれだけコンスタントにゴールを取っているか、というデータも加えることで、得点ランキング上位者から、チームの勝利、勝ち点にとって最も優れたストライカーを選出しよう、と考えました。その結果が、下記にあります。

ぜひこの本に興味がある方は、読んでみて下さい。自分のサッカー観を変える、さらに深い物にするデータがたくさん詰まっています。


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得点ランキング上位7人の概要
まずこれからデータ分析をするセリエA得点ランキング上位7人の概要から。

得点ランキング1位 クアリアレッラ 27試合21得点(7PK)

サンプドリア 36歳  プレー時間:2431分

得点ランキング2位タイ ピオンテク 27試合19得点

ジェノア/ACミラン 23歳 プレー時間:2283分

得点ランキング2位タイ C・ロナウド 26試合19得点(5PK)

ユベントス 34歳 プレー時間:2368分

得点ランキング4位 サパタ 28試合17得点(1PK)

アタランタ 27歳 プレー時間:2209分

得点ランキング5位 ミリク 25試合15得点

ナポリ 25歳 プレー時間:1684分

得点ランキング6位タイ インモービレ 25試合13得点(3PK)

ラツィオ 29歳 プレー時間:2139分 

得点ランキング6位タイ カプート 28試合13得点(5PK)

エンポリ 31歳 プレー時間:2668分

これら7選手でデータ分析を行っていきます。

最も多く価値の高いゴールを挙げている選手は?

最初は、紹介した「サッカーデータ革命」に書かれているデータである、「2点目が一番重要なゴール」という結果をもとに、セリエA得点ランキング上位7人を、ランク付けしていきます。では、それぞれのゴールのポイント換算基準はこちら。

この画像のようにポイント換算を行い、7人をランク付けしました。結果の前に、7人の得点内訳をご覧ください。

グラフを見ると、1点目はピオンテク(得点ランキング2位タイ)が12ゴールで一番多く2点目はロナウド(同2位タイ)が一番多く挙げていることが分かります。また、1点目、2点目両方8ゴール以上挙げているのがクアリアレッラ(同1位)とロナウド(同2位タイ)。

チーム自体の得点数が少ないエンポリに所属しているカプートは、1点目と2点目のみでの13ゴールとなっています。

では、この内訳をポイントに換算してランク付けしたものがこちらです。

この表を見ると、ほとんど得点ランキングと順位が変わっていないことが分かります。得点ランキング5位のミリクと、6位タイのカプートが入れ替わったのみです。カプートは、先ほども書いたように1点目と2点目と言う価値の高いゴールが13得点の全てを占めているので、ゴール数では2つ上回っているミリクよりも順位が上になりました。

しかし、それ以外順位の変動はなく、得点ランキングの上位者がそのまま上位に名を連ねているわけなので、セリエAの場合は、「得点王=最も価値の高いゴールを多く挙げるFW」だ、ということが言えます。

そして、下の表は、他5人とのポイント差を「計」で表しています。このデータ分析では、その他5人とのポイント差で、最終的なランク付けを行います。(得点差は、正の数が他5人よりも上回っていることを示しています)

得点の勝ち点換算ランキング 結果

得点ランキング1位のクアリアレッラがそのまま1位。そして順位変動は得点ランキング5位のミリクと、6位タイのカプートの入れ替えのみなので、「得点王=最も価値の高いゴールを多く挙げるFW」という式が成り立つ。

最も一番コンスタントにゴールを取っている選手は?

では2つ目のデータです。2つ目は、ゴールを取っている頻度、「コンスタント度」が高いのはどのストライカーか、というものです。このデータは、その選手の総プレー時間/ゴール数で、1ゴール当たりにかかった時間を算出しました。では、結果をご覧ください。

表の通り、先ほど紹介した「得点の勝ち点換算ランキング」では6位だったミリクが、一番コンスタントにゴールを挙げているストライカー、という結果になりました。ミリクは、途中出場や途中交代も多いので、その中で14ゴールを記録しているのは、評価に値するものである、ということです。

しかし、それ以外は得点ランキングがそのまま順位になっています。エンポリという降格圏に沈むクラブのサポーターにとっては、カプートという選手は、最高のストライカーであるわけですが、強豪チームのストライカーとの比較となると、あまりコンスタントではないようです。

また、1位のミリクと、2位のクアリアレッラとのポイント差は、わずか「3」ポイントですので、「得点王=最もコンスタントなFW」は、覆されたとは言いにくい結果です。

得点のコンスタント度ランキング 結果

得点ランキング5位のミリクが一番コンスタントにゴールを挙げている選手と言う結果であるが、得点ランキング1位で、この「コンスタント度ランキング」で2位のクアリアレッラとのポイント差は「3」ポイントなので、「得点王=最もコンスタントなFW」が覆されたとは言えない。

2つのデータを合算 ~「得点王=最も優れたFW」は本当か?~

ではここまで紹介した2つのデータの結果を合算し、重要なゴールの多さと、コンスタント度の合計の数値を出すことで、「得点王=最も優れたFW」は事実なのかを検証しましょう。その答えが、下の画像にあります。

1位は得点の勝ち点換算ランキングで1位、コンスタント度ランキングで2位のクアリアレッラです。36歳にも関わらず、冬にはあのバティストゥータに並ぶセリエA1位タイの11試合連続ゴールを記録するなど、とてもつもない成績です。

しかも、2位のロナウドに96ポイント差をつけて。2位ロナウドと3位ピオンテクのポイント差を除くと、とても大差のついたランキングになりました。順位変動はミリクとサパタの入れ替えのみで、得点ランキングとほとんど変わらない結果に。

結果・総括

ここまでに紹介した2つのデータから見た最も優れたストライカーは、前述のようにサンプドリアのファビオ・クアリアレッラです。そのクアリアレッラは得点ランキングでも1位ですし、それ以外も順位変動は得点ランキング5位のミリクと4位のサパタの入れ替えのみなので、セリエAの場合は、「得点王=最も優れたFW」という定説は本当だ、という研究結果になりました。

個人賞

得点の勝ち点換算ランキング1位:ファビオ・クアリアレッラ 2位:クリスティアーノ・ロナウド 3位:クリシュトフ・ピオンテク

得点のコンスタント度ランキング1位:アルカディウシュ・ミリク 2位:ファビオ・クアリアレッラ 3位:クリシュトフ・ピオンテク

1ゴール目数1位:クリシュトフ・ピオンテク

2ゴール目数1位:クリスティアーノ・ロナウド

最後にもう一度書かせていただきます。もしこの記事を気に入っていただけたら、SNSなどでの拡散をぜひよろしくお願い致します。皆さんで日本サッカー界をもっと盛り上げ、レベルアップさせましょう!

他の3本もどうぞ↓

case:ブンデスリーガ

case:プレミアリーグ

case:ラ・リーガ


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