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エディハウの守→攻&ペップの「力技」に見る「サッカー山崩し理論」~ボーンマス対Mシティ レビュー~[19-20プレミアリーグ第3節]

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タイトル画像:サッカーキング

今回はプレミアリーグ第3節からボーンマス対Mシティを取り上げます。当時37歳の15-16シーズンにプレミアリーグに導き、その後も好チームを作り上げていて評価の高いエディハウ監督率いるボーンマスと、3連覇を目指すペップグアルディオラ率いるシティ。この試合から、組織されたボーンマスの守備→カウンターの分析と、ボーンマスの守備を攻略したペップの力技を分析します。

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序章 スコア&スターティングメンバー

ボーンマス 1 : 3 Mシティ

ボーンマス:45+3ウィルソン

シティ:15’アグエロ 42’スターリング 63’アグエロ

ホームのボーンマスは、守備の時間が長かったので守備時のシステムにしていますが、5-4-1システム。前節のアストンヴィラ戦では4-4-1-1を採用していたようですがHウィルソンがベンチスタートとなってメファムが起用され、3人CBを並べました。それ以外は同じメンバーです。

シティの方は、前節のトッテナム戦はロドリがACに起用されてましたがこの試合はギュンドアンが先発し、Dシルバが左IH。システムは変わらず4-3-3です。

第一章 エディハウ・ボーンマスの戦術分析

ではまずホームチームのエディハウ監督率いるボーンマスの戦術を分析していきます。1-3で敗れましたが、カウンターからチャンスを作り出していましたし、そこまでボコボコにされた感じはなく、組織性を発揮しました。まず守備からいきます。

全くプレッシングを行わず、自陣に5-4-1ブロックを組んで引き込んで守ります。CFのCウィルソンまでが自陣にポジショニングして、ゴール前に密度の高い壁を作ってシティを待ち構えます。

その中で、時々右CB→左CBというパスがあった時に右CHビリングが前に出て寄せ、牽制することがありました。これがこの試合に大きな影響を及ぼすのですが、それはまた追々書きます。

基本的には2CHのビリング、レルマはポジションの重心を後ろに置き、CBやACからのライン間への縦パスを入れさせないためにフィルターをかけます。そしてサイドCBのアケ、メファムはライン間ILにポジショニングし、シティの攻撃のカギを握る選手へのマークを担当。CFのCウィルソンに関しては全く守備のタスクを与えられておらず、免除されていました。基本的に歩いているだけで、カウンターになった時のためにエネルギーを温存することが許されています。

その5-4-1ブロックを形成して守ったうえで、

ライン間ILへの縦パスをサイドCBが狙い撃ちしたり、ゾーン1で人口の密度を生かして何とか食い止める、という形でボーンマスのエディハウ監督はシティからボールを奪おうとしていたんだと思います。

というように守備的な戦いで引き込み、相手をゴールに近づけながらもそのゴール前での密度を生かして奪い、そこから一気にベクトルを前に向けてロングカウンターを狙う、というプランでした。

ではこの守備戦術を遂行し、シティから勝ち点(3もしくは1)を奪うためにとても重要になるのがカウンター戦術です。ボールを奪っても、奪った位置が低いので自分たちの目指すゴールが遠い。そして相手のシティは奪われるとゲーゲンプレスをかけてくるわけですから、素早くボールをスペースに展開しないとすぐにボールを奪い返されゾーン1で守り続けることになってしまいます。なので「どうボールを素早くスペースに展開して目指すゴールに向かい、自陣ゴール前に釘づけされる状態を避けるか」という部分を担う「カウンター」の戦術がこのボーンマスの戦い方においてとても重要な部分を担うわけです。

ではそのカウンター戦術は、エディハウという監督が率いるボーンマスというチームにおいてどのようなメカニズムでピッチ上に表現されていたのでしょうか。

良く見られたシチュエーションを再現して分析すると、ライン間ILへのパスをサイドCBが潰して、CHのビリングorレルマに預け、CFのCウィルソンやSHのキング、フレイザーがSB裏に飛び出してそこにCHからスルーパス。抜け出して一気にゴールに迫ることを狙います。

この流れでカウンターを連発し、その流れからほぼ一点の決定機まで作ったわけですが、なぜ連発できたのか。

上図のように、シティは中盤が攻撃時1枚で、AC脇に大きなスペースがある。なので、サイドCBがCHに預けてもまんまと潰されることは無く、逆にスペースがあってフリーの状態でCHはパスを受けることができていました。そしてSB裏をCF,SHがアタックする動きが落とし込まれているのでCHも出しどころに迷う必要が無く、パスを出すべき場所は分かってるのでスムーズにスルーパス出し、カウンターアタックを繰り出すことが出来ていたわけです。

チームとしての戦術だけでなく、Cウィルソンの個人戦術も際立っていました。SB裏に飛び出す時に、Cウィルソンはボール側CBの死角からスペースに飛び出していたので相手CBはそのCウィルソンの動きに対する反応が遅れるので先手を取ることができていました。そうではなくてボール側CBの視野の中か飛び出すとCBに気づかれてしまい、先手を取れずカバーリングされてしまいます。ゴールは決めていませんが、ウィルソンはカウンターにおいてとても存在感を放っていました。

特に右サイドは左SB(11)が高い位置を取っていたのでその裏のスペースが大きく空いていました。ボーンマスはシティの攻撃の構造を踏まえたうえでとても効果的で組織的なメカニズムが落とし込まれた素晴らしいカウンター戦術を見せたのです。

最後に少し攻撃戦術にも触れておきます。

攻撃では守備のスタイルや選手のタイプを考えると、どう考えてもショートパスで前進するサッカーはしないですよね(笑)。その通りで、素早く前線にボールを送り込んで縦に縦にスピーディーに攻めることを目的としているのでGKから繋いでいくシーンも一回もありませんでした。

ロングボールを多用し、前線に送り込んでターゲットとなった選手の近くにシャドーやCHが近い距離でサポートして落としを受けます。

そこから一気にミドルシュートを打ってフィニッシュするか、WBを使ってWBのドリブルからクロス攻撃。

守備とカウンターを見ても分かる部分ですが攻撃でも縦志向の強い攻撃をします。

この試合は敗れましたが、ここまで書いたように組織された戦術の下でまとまりがあってアグレッシブなプレーを見せるチームで、この先ビッグ6を倒す可能性は当然ありますし、この頃注目されているチームですが今シーズンもやはり注目のチームです。

第二章 ペップの力技作戦にみる「サッカー山崩し理論」

ではここからはペップ率いるシティの攻撃戦術の話をしていこうと思います。ボーンマスの5-4-1で引き込む守備に対してペップはどのように対策を立て攻略しようとしたのでしょうか。

いつもはWGが張って幅を取り、IHがライン間ILにポジショニングして4-1-5で攻撃しますが、左SBのジンチェンコが高い位置を取ってスターリングがライン間左ILに入り、Dシルバはアグエロと同じCRの下がり目。右サイドは変わらない配置。いつもよりライン間にポジショニングする人数を一人増やした3-1-6システムでプレーしていました。

そして6トップにしていますので、相手の5トップに対して6対5の数的優位を獲得。ボーンマスはサイドCBがライン間ILにポジショニングするデブライネとスターリングをマークするため、リベロ(3)に対してアグエロとDシルバが2対1の数的優位が生まれています。

CLに数的優位を獲得した上に、左CBラポルトが持った時に遅れて右CHが寄せて来るシーンが多く見られ、その背後のライン間にスペースが生まれてフリーになったDシルバに縦パスを打ち込み、マークを受けない状態で前を向いてスピードアップすることができていました。

実際に1点目もこの流れから生まれていて、ラポルトからDシルバに縦パスが入り、その縦パスで右WB(15)は絞り、右SH(11)はDシルバに目線が行ったのでジンチェンコを死角に置いてしまっていて、ジンチェンコがフリーでオーバーラップし、フリーでパスを受け、相手からプレッシャーを受ける前にライン間にクロスを入れてラインを下げるボーンマスの第三PLを重心の逆を突き、デブライネがシュート。このシュートはミートせずも、アグエロが決めました。

この得点シーン以外にもDシルバはライン間CLで浮いたポジションを取り、何度も縦パスを受けて躍動していました。

ボーンマスのCHのタイミングの遅い寄せによってスペースが生まれたという要素もありつつも、CLでの数的優位を生かし、浮いたポジションを取ったDシルバへの縦パス起点で得点になっていて、まさにペップの対策が的中し、狙いが上手くいって先制に繋がったわけです。この「相手が5バックなら6トップを当てる」という力技作戦は見事に成功しました。ですが5バックに6トップを当てる力技、と言うと殴って殴ってというように聞こえますが、僕はその「殴る」という表現は適切ではないと思っています。殴るようにしてガンガン力任せで攻めるのではなくてこのペップシティの場合は論理的なメカニズムによって力任せではなく段階的に相手の守備を崩していくという一番嫌な方法で攻撃しています。

力任せに無理矢理攻めるよりも山崩しのように段階的に相手の守備組織を崩していってボロボロにする方が効果的ですよね。力任せにぶつかって来ても単純すぎるので相手の守備陣にとってはそんなに怖くない。ゴール前で無防備になる方が怖い。ペップの見せた山崩しは最強の武器であるわけです。

というようにサッカーの攻撃は力任せに「殴る」のではなく、段階的に崩して段々と相手のガードをはがしてボロボロにしていく方が効果的なので、攻撃のことを「殴る」ではなく「ジェンガ」や「山崩し」という言い方が適切なんじゃないかなと思います。相手の5枚に対して6枚を当てて数的優位を作るという力技の要素がありながらも論理的に「山崩し」をしていくのがペップのボーンマスの5-4-1に対する対策でした。これがタイトルにした「サッカー山崩し理論」です。

最後にボーンマスの視点からこのペップの「力技&山崩し攻撃」について書いて行きます。まず失敗だったのは何度も見られた右CHビリングの左CBへの縦スライド。

左CBにパスが入り、左CBが余裕を持ってボールを保持している段階でビリングは縦スライドで前に出て寄せているので、フリーでなんでもできる(縦パス入れれる、サイドチェンジできる、ドリブルできる、シュートも打とうと思ったら打てる)左CBにビリングが寄せ切る前に背後のスペースに縦パスを入れられてしまっていました。ビリングは、左CBにパスが出たタイミングで、ボールが移動している間に寄せるなら左CBの余裕を奪うことができます。ですがパスが出た後に寄せても実際失点になったシーンのように寄せてる間に背後のスペースを使われるだけで、何も意味がない。なので、左CBにもうパスが通っているのなら寄せるべきではなくて、ビリングには正しい判断が求められました。

ましてやカウンターからチャンスを作った直後だったので勿体なかった。

そしてエディハウ監督の6トップに対する戦術的修正が出来なかったのも大きく影響しました。例えば4-4-2にして4バック+SHで6トップに対して6バック化して対応し、奪ったら2CFがSB裏に飛び出してCHからスルーパス、という修正をすることができれば、SBがライン間ILの選手を担当し、SHが幅を取る選手、CBがアグエロ+Dシルバに対応して6対6で守ることが出来るし、SHが深い位置に下げられても2枚のCFがSB裏をアタック。

しかし修正できず、1-3になってからは奪いに行かなくてはならなくなり、ボールに食いついて出し抜かれて、の連続でシティに面白いようにパスを繋がれ反撃は叶わず。修正が効いていれば勝利は難しくても引き分けて勝ち点1をゲットすることは可能だったと思います。

終章 総括

ボーンマス
・5-4-1で自陣に引き込む。Cウィルソンは守備免除。
・ライン間を2CHがケアするタスクだが右CHビリングのタイミングの遅い縦スライドと、5バックに対する5対6の数的不利によって崩され、失点。
・エディハウ監督は6トップに対する戦術的修正が出来ず。
・ボールを奪うと、CHを経由してSB裏に飛び出したCForSHにスルーパスを出してカウンター。
シティ
・いつもは4-1-5だが、この試合は相手の5-4-1に対して前線を一枚増やし、3-1-6で攻撃。
・ライン間CLに1対2の数的優位を獲得し、浮いたポジションを取るDシルバが何度も縦パスを受けて躍動。攻撃の最重要人物となった。
・5枚に対して6枚を当てて崩すという力技の要素もあるが、「殴る」という力任せで攻撃するような印象を持つ言葉は適切ではなく、論理的に段々と相手の守備組織をボロボロにしていくので、「ドミノ」「山崩し」といった言い方の方が適切だろう。
・↑が「サッカー山崩し理論」

最後にもう一度書かせていただきます。もしこの記事を気に入っていただけたら、SNSなどでの拡散をぜひよろしくお願い致します。皆さんで日本サッカー界をもっと盛り上げ、レベルアップさせましょう!リクエストがあればツイッター(@soccer39tactics)のコメント、DM、下のコメントにでもお書きください。

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