ストライカー_データ比較_ラ_リーガ5

「得点王=最も優れているFW」は本当か?Case:ラ・リーガ [ストライカーをデータで比較]

今回は、試合の分析ではなく、データ分析です。タイトルの通り、データ分析の題材は、「ストライカー」です。得点王が、チームの勝ち点に、勝利にとって一番貢献しているストライカーなのかを2つのデータから解き明かしていきます。

今回は、スペイン1部、ラ・リーガです。(この記事に書かれている試合数、得点数などは、2019年3月のインターナショナルマッチウィークによる中断前、28節時点のものになります)

もしこの記事を気に入っていただけたら、SNSなどでの拡散をぜひよろしくお願い致します。

まず、皆様、「サッカーデータ革命 ロングボールは時代遅れか」という本はご存知ですか。この本の中で、ストライカー個人ではなく、個人のゴール数ではなく、チームという視点で見た時、チームが勝利、勝ち点を得るにあたって、一番重要なゴールは、2点目である、という研究結果が書かれています。(その次が1点目、3点目、4点目、5点目と順に続く)ということは、3点目や4点目ばかり取っている20ゴールのストライカーより、1点目、2点目を多くとっている15ゴールのストライカーの方が、チームの勝利、勝ち点にとっては(ブランド価値などは置いておいて)価値が高い選手だということです。

そこで僕は、このデータを今シーズン(18-19シーズン)の欧州4大リーグに当てはめ、さらにどれだけコンスタントにゴールを取っているか、というデータも加えることで、得点ランキング上位者から、チームの勝利、勝ち点にとって最も優れたストライカーを選出しよう、と考えました。その結果が、下記にあります。

ぜひこの本に興味がある方は、読んでみて下さい。自分のサッカー観を変える、さらに深い物にするデータがたくさん詰まっています。

もしこの記事を気に入っていただけたら、SNSなどでの拡散をぜひよろしくお願い致します。

得点ランキング上位6人の概要

まずこれからデータ分析をするラ・リーガ得点ランキング上位6人の概要から。

得点ランキング1位 メッシ 26試合29得点(4PK)

バルセロナ 31歳  プレー時間:2269分

得点ランキング2位 スアレス 27試合17得点(3PK)

バルセロナ 32歳 プレー時間:2388分

得点ランキング3位タイ ベン・イェデル 25試合16得点(2PK)

セビージャ 28歳 プレー時間:2020分

得点ランキング3位タイ ストゥアニ 25試合16得点(4PK)

ジローナ 32歳 プレー時間:2212分

得点ランキング5位タイ ベンゼマ 28試合13得点(3PK)

レアル・マドリ― 31歳 プレー時間:2331分

得点ランキング5位タイ ハイメ・マタ 25試合13得点(3PK)

ヘタフェ 30歳 プレー時間:1782分 

これら6選手でデータ分析を行っていきます。

最も多く価値の高いゴールを挙げている選手は?

最初は、紹介した「サッカーデータ革命」に書かれているデータである、「2点目が一番重要なゴール」という結果をもとに、プレミアリーグリ得点ランキング上位7人を、ランク付けしていきます。では、それぞれのゴールのポイント換算基準はこちら。

この画像のようにポイント換算を行い、7人をランク付けしました。結果の前に、7人の得点内訳をご覧ください。

グラフは、1点目、2点目両方メッシ(得点ランキング1位)が最も多いことを表しています。1点目が2番目に多いのはストゥアニ(同3位タイ)で、2点目が2番目に多いのも同じくストゥアニです。ストゥアニの所属するジローナは、チーム自体の得点数が少ないチームですので、ジローナのトップストライカーであるストゥアニのゴールは、1点目、2点目という価値の高いゴールが多いのは、自然でしょう。

また、得点ランキング2位のスアレスですが、あまり1点目と2点目のゴールは取っておらず、3点目のゴールが一番多いことが分かります。

では、この内訳をポイントに換算してランク付けしたものがこちらです。

上の表を見ると、得点ランキング1位のメッシは圧倒的な1位となりましたが、得点ランキング2位のスアレスは、得点内訳のグラフにも表れていたように、1点目、2点目が少ないので、42.06ポイントで4位に転落しました。

そして、得点ランキング4位のストゥアニが、所属するチーム自体の得点数が少ないことが影響し、52ポイントで2位となりました。1位になったメッシは、得点ランキングでも圧倒的1位(2位スアレスと12ゴール差)でしたし、17ゴールのスアレスと16ゴールのストゥアニというわずか1ゴール差の2人の入れ替えでしたので、「得点王=最も価値の高いゴールを多く挙げるFW」が覆ったとはいえない結果です。

そして、下の表は、他5人とのポイント差を「計」で表しています。このデータ分析では、その他5人とのポイント差で、最終的なランク付けを行います。(得点差は、正の数が他5人よりも上回っていることを示しています)

得点の勝ち点換算ランキング 結果

得点ランキング1位メッシはそのまま1位になったが、得点ランキング2位のスアレスは4位転落。しかし、スアレスと、スアレスを入れ替わって2位になったストゥアニとのゴール差は「1」。なので、波乱が起きたとは言いづらく、ラ・リーガは「得点王=最も価値の高いゴールを多く挙げるFW」が当てはまったと言える。

最も一番コンスタントにゴールを取っている選手は?

では2つ目のデータです。2つ目は、ゴールを取っている頻度、「コンスタント度」が高いのはどのストライカーか、というものです。このデータは、その選手の総プレー時間/ゴール数で、1ゴール当たりにかかった時間を算出しました。では、結果をご覧ください。

こちらも、メッシが1点/78分で圧倒的1位。このデータでは、得点ランキング5位タイのハイメ・マタがスアレス、ストゥアニを抜いて3位で、ゴールはその2人より少ないながら、よりコンスタントにゴールを挙げていることを示しています。得点ランキング3位タイのベン・イェデルもスアレスを抜いて2位。

しかし、ベン・イェデルとスアレスに関しては、1ゴール少ない選手が、1ゴール多い選手より評価されることはおかしいことではなく、得点ランキング5位タイから3位という成績を記録しているハイメ・マタですが、4位のスアレスとのポイント差はわずか「3」なので、ハイメ・マタがスアレスよりこのデータで優れている、とは言いにくい。よって、「得点王=最もコンスタントなFW」は、(得点ランキング上位者=最もコンスタントなFWは、)覆っていない。という結論にします。


得点のコンスタント度ランキング 結果

1位のメッシを除いて順位変動があったが、2位のベン・イェデルと4位スアレスのゴール差は1。そしてハイメ・マタが3位だが、4位のスアレスとのポイント差は「3」。なので、順位変動が多くあったとはいえ、「得点王=最もコンスタントなFW」は、(この場合、得点ランキング上位者=最もコンスタントなFWは、)覆らなかった。

2つのデータを合算 ~「得点王=最も優れたFW」は本当か?~

ではここまで紹介した2つのデータの結果を合算し、重要なゴールの多さと、コンスタント度の合計の数値を出すことで、「得点王=最も優れたFW」は事実なのかを検証しましょう。その答えが、下の画像にあります。

ここまで紹介した2つのデータで圧倒的な数字で1位になっているメッシが当然の1位。しかし、2位以下には波乱が起こっています。得点ランキング5位タイのハイメ・マタが2位という結果になりました。しかも、3位のベン・イェデルには33.12ポイント、4位スアレスには128.76ポイントをつけて。そして、3位のベン・イェデルも95.64ポイント4位スアレスより上回っています。

メッシに対抗できるものは誰もいない、という結果ですが、得点ランキング2位スアレスは、この2つのデータから見た時、得点ランキング3位タイのベン・イェデルと、得点ランキング5位タイのマタに大きく差をつけられての4位。

なので、「得点王=最も優れたFW」を覆すことはできていませんが、「得点ランキング上位者(上位の中の上位)=最も優れたFW」は覆されたと言える結果でもあります。

チームの勝ち点、勝利への貢献度の高さ(あくまでゴールでの貢献度)という視点で見た時には、スアレスのゴールよりも、ハイメ・マタやベン・イェデルの方が評価されるべきで、スアレスよりもその2人の方がよりコンスタントで、貢献度が高い、ということです。

結果・総括

「得点の勝ち点換算ランキング」「得点のコンスタント度ランキング」という2つのデータでラ・リーガのトップストライカーを分析すると、得点ランキング1位のメッシが1位なので、「得点王=最も優れたFW」は本当であり、覆すことはできていないが、ハイメ・マタ(得点ランキング5位タイ)、ベン・イェデル(同3位タイ)が同2位のスアレスを大きく上回る数字を記録しており、「得点ランキング上位者(上位の中の上位)=最も優れたFW」は覆された。


個人賞

得点の勝ち点換算ランキング1位:リオネル・メッシ 2位:クリスティアン・ストゥアニ 3位:ウィサム・ベン・イェデル

得点のコンスタント度ランキング1位:リオネル・メッシ 2位:ウィサム・ベン・イェデル 3位:ハイメ・マタ

1ゴール目数1位:リオネル・メッシ

2ゴール目数1位:リオネル・メッシ

最後にもう一度書かせていただきます。もしこの記事を気に入っていただけたら、SNSなどでの拡散をぜひよろしくお願い致します。皆さんで日本サッカー界をもっと盛り上げ、レベルアップさせましょう!

他の3本もどうぞ↓

case:ブンデスリーガ

case:セリエA

case:プレミアリーグ


ご支援いただいたお金は、サッカー監督になるための勉強費に使わせていただきます。