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ガンジャ先生。7-10

死神との遭遇


 その日泊りがけで家族旅行で海に行ったんだ。

楽しいというより小学校以来久しぶりの家族旅行で、まぁ楽しかったと思う。
Avicii - Heaven

昼は海で泳ぎ、美味しい料理を食べて。
潮目に浮き輪を取られた僕は沖合に流されて。。溺れた。
僕はレスキューに助けられた。

そこから家族のギスギスが始まってきたんだ。

 予定通り行かず、警察がきて両親は対応に大変だった。その日は宿では気まずくって。みんなは疲れていた。

2日目の昼、豪華な海鮮丼を食べて。
僕は泳ぎはせずビーチでゆっくり。
みんな幸せそうだった。うんまだ幸せだった。

とりあえずの家族旅行は無事に終わり。
家にはレンタカーで夕方ついて、僕だけは家に帰ったんだ。

兄の婚約は終わっていてね。
相手方の両親にご挨拶行くので、僕以外は兄の嫁、神奈川の家に泊まることになってる。
秋には式があったし。

 その日はすごく残暑が厳しくって。
一人で家にいたんだ。水ばっか飲んでた。

クーラ切って、風呂に入り出て。部屋に入った時。
さっさと寝るかと思った時、胃に強烈な痛みを覚えたんだ。
あたったとかじゃない。動けないんだよ。

その時。あ、死ぬんだ僕。それしか思わなかった。


手は痙攣し、うんこを洩らした。
電話する?できやしない。
僕はベッドでもがき苦しみ、そのまま気を失った。
どれくらいだったかな?4回目に吐いてから覚えてない。
地獄だ。痛みは増大していく。
ちょとした痛みじゃないんだ。
終わらない苦しみ。いつ落ちたかも曖昧だ。


翌朝10時頃両親が帰ってきたと聞いた。
鍵は開けっ放し、様子が変だったらしい。
家に入れば異様な匂いと暖房つけたようなムアっとした状態だった。

「匠?どこ!何かあったの?」
返事はない。
2階で気を失っている僕はかなり危なかった。
ベッドは嗚咽物、糞尿まみれ、また締め切った中で脱水症状を起こしていた。
すぐ救急車が呼ばれ運ばれたが、もう死体みたいだったらしい。意識などない。

弱い呼吸と、かろうじて生きていた。
ICUに入れられ、管という管から常時薬が投与される。
初めは原因不明で新型の感染症と思われたみたいだ。

原因は遅れてわかり、寄生虫だったのが気づいたのは4日目。青魚にいる特殊な寄生虫だと言ってた。名前は覚えていない。大腸までいたおかげで見つからなかったと。

それから回復に向かったが2週間は意識も戻らなかった。

あの時兄貴は死んだと思ったらしい。
部屋の中は酷く、僕のベッドから汚れたすべての物が捨てられてた。
感染症の心配あったので、私物も処分させられ。
入院生活の中、弱って行くのが分かる。

お見舞い来たから知ってると思うけど、ひどい姿だったでしょ?管が喉に刺さってたんだ。ほらこの当たり。

目が冷めてからいつ死ぬのかばかり考えてた。
聞こえるのは管の音。たまにズズッ、って鳴るんだ。

でも回復に向かい無事2ヶ月後退院して。
家に帰っていきたとき、僕の私物は何もなかった。
この時、僕の中で何か無くなった。

家族中で僕はいなくなる。

そんな対それた話しじゃない。
全てタイミングが悪く。
タイミングが悪く生き残った。


仕方ないだろう こいつはこんなんだし生きてるかも分からん 匠に期待するな お前がしっかりするんだぞ


父親はそう言っていた。記憶はなくても。声は聞こえた。

ああ僕は生きているのかな?

それから少しずつ動ける様になってきた。病院でリハビリをして。来週からでも学校行こうかと思った時期だと思う。


父親が首をつっていた。

僕の部屋で。

理由はわからない。
「匠、すまん」と書いてた紙が。
ただ。僕の机置いていくあった。

あの時と同じだ。
穴という穴から汚物にまみれた僕の部屋は。

あの時と同じ匂いだった。
僕はどうしていいか分からず。
ロープを下ろしていると。
後ろから「キャー!」と母親の悲鳴が聞こえた。
それから覚えていない。


ただ・・全てどうでも良くなった。

匠に期待すんな


それが最後聞いた父親の声だ
意識がなくても音はよく聞こえる

多分死神は間違って父さんを連れて行ったんだ。
僕はまだ待っている。

いや、待っていたんだ。

経験はチカラです。 若い頃行っとけば良かったな〜と思う事も多かった。 世界は広いです♪ ٩(ˊᗜˋ*)و