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ガンジャ先生。4-5

夕立は雨の慕情

Jason Mraz - I'm Yours

「ココ。アガリマス。ダイジョウブダカラ♪」

「ここ入るの?マジで?」普通の家だった。

一階には何か製鉄の匂いとタンクトップのおじさんが作業している。
 
階段を上がり中3階の様な部屋に入って。
いくつか同じ感覚で部屋があり、生活感が見える。

部屋には大きめのベッド。
小さな冷蔵庫。
そして大きなクローゼット。
ベッドにあるぬいぐるみ。

「ゴメン、シャワーナイカラ。ソノママ、シヨ?」

ワンピースを一気に脱いで

黒い下着だけになった名前も知らないタイの女のコは

僕に抱きついた

雨で濡れてたからだ、少し肌の熱気を感じる

手慣れたように口に含む彼女

耳元に残る吐息

快樂に流され

僕こと須藤 達也(たつや)は今日


初めてセックスをした


※※※


外はゴッーという雨からザーへと優しく変わってた。

遠くから聞こえるレゲエ調の曲がよく聞こえた。


△△△


あれ?誰もいなくね?

自由行動という事で匠の後ろをついて行っていたが、人混みにまぎれて見失しなったみたいだ。
マジか〜まぁそのうち会えるだろ、と感をくぐっていたが意外と広いこの界隈では見つからない。

ふと大きな打撃音が聞こえ裏路地を除く。
何か2階で騒がしく音が聞こえる。見える場所まで上がって行くと、ムエタイジムで試合していた。
(うぉーかっけぇ!マジパンじゃん!)
初めて見るにしては近く、また練習というより本気で殴りあいのようだ。
足から繰り出すヒザ蹴りや回し蹴り。
ボクシング以上に迫力がある。

 小一時間以上みて堪能した俺は(ヤベっ)とまたみんな探しに大通りに戻る。
人混みも増えて、いねーなと思った時、委員長の後ろ姿を捉えた。
「まってよ委員長!」
と追いついて振り返ると違う顔で。
「What Happening?」
と韓国人3人組だった。
ロングヘアー後ろ姿は分かりづらい。
焦ってソーリーと行って逃げ出す。

なんだよもう。。人違いかよー。
匠ーどこいったーおーい。。

少し小腹が減ったので、スイカを買い近くにしゃがみこんで食べる。
そこで電話がかかってきた。
あ、そうか携帯持ってたんだ。忘れてた。

着信を取り、
「おい匠どこだよ〜?探してたんだぞ」
「はっ?何言ってんのタツヤ。迷子なってんの?」
声の主は思ってた匠とは違い、姉だった。

「なんだ姉ちゃんか。関係ねーよ。なんか様?」
「まったくどこ行ってるか知らないけど賑やかなとこね。なんかあんたの友達の山部?が捕まったらしいよ。それも数人」
「!マジか。あいつら。。」
「それで警察が家に来て、あんたどこにいたか聞いてるの!私だってわざわざ電話したくてしてないわよ!」
「‥‥‥あいつら逮捕されたの?」
「知らないけど、あんた関わんないほうがいいよ。暴行事件って聞いたけど。学校側からの旅行に行っていないと言っといたわ。本当だし」
「‥母さんはなんて?」
「知らないと思う。ちょうど大学の試験休みで私が出たし。あと愛美(まなみ)ちゃんがまたプリント届けに来たわよ。いい加減迷惑かけず学校行けよ」
「うるさいな。。」
「あんたはいいけど、夜うろうろして近所は「ガチャン!」」!!

「うるせえ!」携帯を切った。

 ‥ふと思い出したように露天で買ったマルボロを出し火を着ける。
ふぅ〜。

先日携帯電話を持ったから何かあればと母親に番号教えたが。。
まさか姉ちゃんからと思わなかった。
また電話がなる。International call.と表示。
「しつこいな。。」
電話の電源を切る。

「はぁ〜なんだよ。パクられんなよアキラ。。」
その時ふと暗くなった様に感じた。

「ゴゴゴッ‥‥‥」と雲が鳴り響く。
5分も立たない内に暗くなり。

「ガッシャーン!」

雷を合図にバケツをひっくり返す様に雨が落ちた。
一斉に観光客は屋根のあるとこに隠れる。タツヤも追って行った。
「うわぁ。。最悪。びちゃびちゃ‥‥」


店に入ろうとしたがどこも一杯。
雨は止みそうもなくさらに酷くなる。
違う路地へ避難するかとダッシュし、人混みの少ない場所に移動した。
濡れたタンクトップが気持ち悪い。

ふと隣のお姉さんが、こちらを覗き込む。

「アナタ、ニホンジンデスカ?」

「は?」

「ワタシ、ニホンゴ、レンシュウシテマス!ニホンジン、ヤサシイ!」

どっからどう見てもタイ人な彼女は。
オレンジ色のワンピースを絞って水を落としてした。
また肩口から見える下着に目がいかなかったらと。
それは思春期のタツヤにとってはとてもエロく思えた。

たぶん雨が振らないと合わなかったと。
姉ちゃんが電話してきて、腹が立ってなければ。
持ち金が足りなければ。
みんなで行動していれば、そうはならなかったのかも知れない。

少し年上に見えた彼女は笑顔で手をタツヤの顔に添えて。

「ワタシトエッチシタイ?2000バーツデイイョ?」

雨はゴーッ!と止む様子はなく。
タラレバという理由はあとずけて。

そこに手を持たれ連れて行く男女の姿があった。

物語は進みだし。雨はその姿を消す。


△△△


行為が終わると髪を整え笑顔でタツヤに近づく。

「2000バーツ。ヨカッタ?」

タツヤは財布からお金を取り出し、ボーッとする。
彼女に渡すと嬉しそうに微笑む。

少し雨の勢いが弱まる。
忘れてた様に、携帯の電源入れるとメッセージが届いてた。

”タツヤ? ドコ?スタバニミンナイルカラコイッテサ*”
ローマ字で来たメールはどこか彼女達の話し声を連想させる。返信仕方も解らず。出ることにした。

隣でほっぺにキスをしながら彼女は
携帯電話番号と、名前そしてメールアドレスを書いて渡す。

「イツマデ イマスカ? デンワシテネ♪マタ シヨウネ♪」
その状況を理解するのに時間がかかった。
彼女は手慣れた様に僕の携帯電話を操作する。

服を着て遠慮がちに階段を降りる。
手はつないだままだ。
外に出ると涼しくなったが、湿度が高く、小振りになった空から明かりが出始めていた。


タツヤは少し湿ったマルボロに火を着ける。
路上で聞こえる音楽が少し優しかった。

変に憧れを抱いていた。
ただ、セックスは溺れるものだ。
俺は大人になったの?

経験はチカラです。 若い頃行っとけば良かったな〜と思う事も多かった。 世界は広いです♪ ٩(ˊᗜˋ*)و