見出し画像

ガンジャ先生。5-1

5章 都会の休息と島へ
かき氷のイチゴ味


3日目を迎える。
今朝もバンコクは晴天に恵まれていた。
Pray for Avicii | Diviners - Don't Blame

いつもの様に集まる食堂で、朝食を取りながらみんな集まっている。朝のHRだ。ここで予定を聞く。

「スケジュールが決まったので説明する。まずは今晩21時に移動開始。場所は昨日行ったカオサンからバスが出るのでそこまで送る。夜はバスでも寝れるが、まあ結構大変だ。バスを乗り継ぎ、フェリーに乗って明日の昼にはタオ島につく」

「タオ島では事前予約している。ついてから講習は4日。西田さんって女の人が一通り面倒見てくれるだろう。ダイビングスタッフだ。」

「先生。。は着いて来れないのですか?」

「俺自身用事があり、どうしてもいけない。ちなみに明日ビエンチャンで仕事してるはずだ。これは昨晩言った通り」
少しザワつく。う。来れないのかぁ‥やっぱり。

「安心して欲しいが、ブッタリゾートは昔からある立派なダイビングスクールというのと、日本人受講者も多いはずだ。困ったらスタッフにも日本人が数人いるので大丈夫と思う。また島自体は小さく何もないが、最低限のものは手に入る」

イマイチ想像がつかない。が、せっかく慣れてきバンコク離れるのは寂しい気がする。
島か。一度瀬戸内海に行った事があるけど。。あんな感じかな?
 それからも説明は続き、バスチケット管理は委員長、また必要経費として5000バーツずつ個々に預かった。それ以外に払込み証書のコピーやダイビングの予約用紙のコピーも預かっていた。

「基本あちらでの支出はない。もう振りこんでるし宿もチケットも手配もしている」
「ただ、最低限の費用だが大事に使うんだぞ。茜大丈夫か?あと水着は2着は買え。」
「はい。気をつけます‥」
うー最近消費ぐせの悪い子に扱われる。。

「先生は?ダイビング終わると迎えに来るの?」
「その辺りは連絡する。委員長。充電だけは入れといてくれ。特に最終日な」
「はい。わかりました。他に何か解らないことがあれば連絡します」
「トラブルはないに限るが。。すぐ飛んで行くので連絡してくれ。個人行動はしないように。な?タツヤ」

タツヤ君は何か思うことあったのか「は、はい」ともごっていた。

「ちょっと聞きたいですが、、バンコクに残るという選択は」「ないな」
はぁ〜と匠君が言う。泳げないの怖いのかな。

それから必要道具整理と、貴重品の確認、また今日はゆっくり近場を観光すると先生は言ってた。
 今回は少し長い移動だ。着替えも5日分何が合ってもいいように準備する。頼れるガンジャ先生もいない。。
大丈夫かな?
歩のほうを向くとニコッと笑ってくれた。


■■■

 午前中は話が少し長くなったのものあるが、食堂内でゆっくりしていた。
男子達は下着とか着替えを追加で買いに行くらしい。
出かける準備をしている。
「茜、一緒に買いに行こうか?」
「私達も予備を準備しておくべきかな?」
「ん〜茜いいや。お金使い過ぎそうだし。。」
「そうか。まあ先生いるしゆっくりしといて♪匠ー待って私達も行く!」

なんだかんだ行って歩(あゆむ)はすぐ仲良くなる。
委員長も一緒に行くみたい。
何かいいものあったら買ってくる〜と手を降って出かけていった。

その場には先生と未亜(みあ)ちゃん。じゃれ合っている様に見えるけどいつもの事。うー心配だなぁ。。講習かぁ。

すると先生が何か気づいたのか、
「未亜、甘いアイスコーヒが飲みたい。練乳タップリのビニール入りな。市場で買ってきてくれ。茜もなんかいるか?あ、かき氷買ってきてやれ」
未亜ちゃんはブーブー言いながら、小銭をもらいパシられてった。
‥‥すでに子分化してない?
ある意味心配な未亜ちゃん。。

□□□


「んで茜。なんか話ありそうだな。未亜なら15分は帰って来ないぞ。かき氷のおばちゃんは難易度高い」

「先生。。気を使ってくれたんですね。。でも用事って訳ではないのですが、ダイビング心配で。。私運動神経悪いし、トロいし‥試験とか弱いし先生いないのが不安です」

先生はプッと笑いながら話す。
「ハハハ。読みどおりなら茜が一番ダイビング合ってると思うのにな♪」

「は、え?私が?」

「知っているか?ダイビングで一番重要な事は落ち着いて行動すること。焦れば焦るだけ空気なくなるし」

「‥‥‥私もっと不安です」

「大丈夫。いつも通りにしておけば大丈夫さ。別に速く泳げたりする事なんて意味がない」

「先生もダイビングしたことあるんですか?」

「当たり前だろ。それで楽しかったからみんなにも体験してもらいたいんだ。海の中っていいもんだぞ」

「うー想像つかない‥」

「言われた通りにすればいい。だんだんわかってくるさ」

そんな感じで少し安心できた。

試験らしい事もなく、島も綺麗だと教えてくれた。

 楽しそうに話すガンジャ先生に何でも話せる気がして。。。つい本当の事を話してしまった。

「ガンジャ先生?私。。いじめられてたんです。それで学校に行かなくなって。。」


――茜一息ついて。ゆっくり話しだした。

中学から静かな私は、大人しい性格からいじめられる対象だった。
そこまで大きくならなかったのは、歩と同じクラスだったから。なんだかんだ言って歩は人気者だ。しっかりしてる。

高校に入り、クラスが別れていじめの質が悪くなった。
女子が集まるグループができる。この時期、家庭に問題が増えて来たのは周りも同じ。当時サブプライムローン問題の影響が出始めてた。
景気の後退、また多くの失業者も出ている。

 家庭の不満は子供にすぐ影響をもたらす。弱いモノに当たりだし、歩もいない中、茜一人で過ごす事が増える。
無視される事から始まり。水をかけられ。私物は廊下に投げられ。机は汚され。
不特性多数からいじめは繰り返される。犯人が解らないのがタチ悪い。

そしてある時「学校行きたくない!」と玄関で茜は大泣きした事あった。
歩も「茜がいかないなら行かない!」とそれから学校に行くことはなくなった。

 茜は家に閉じこもり、ネットを使ったりして時間潰すが、歩については詳しくは知らないみたいだ。

ただ、歩がブランド品のバックを「貰った♪」と言っていたり、夜中帰らないことも度々あった。一度、風呂場で自殺未遂を歩はした。その時はちょうどお母さんがいたので大事にならなかったけど。。

父親はもう離婚後合うこともなかった。
大喧嘩をしての離婚らしい。
母親は離婚後、夜の仕事になったらしく歩を止めるものはいなく心配だと言う。

この所一人でご飯を食べていた。
だから今は楽しいです。と最後付け加えるように。


□□□


「だからね。先生。歩は悪くないの。茜が学校行かないから‥茜がわるいんだ」
「そうか。辛かったな」
「うん。でも歩がいてくれたから。大丈夫。。グスッ」
「そうか」

気がついたら茜は少し震えていた。
分かってはいたと言えど涙は溢れていた。

「なぁ。こっちきて楽しいか?」
「だのしいよぉ!ウゥッ〜エ”ーン!!」

「‥‥まぁ泣いとけ。ならもっと楽しくしないとな」
先生は食堂のおじさんから綺麗なタオルをもらい。
私はぐしゃぐしゃに噛みながら、机に顔を埋ずめた。

先生は優しく頭をなでてくれる。
「先生。。ッグスッ。」

「ん?なんだ?」

「‥‥茜ね。ゾウみてみたい。グスッ」

「なんだそりゃ(笑)」

「エヘヘ。エヘヘへ♪グスッ」


■■■


それから落ち着いた頃、未亜ちゃんが帰ってきた。

‥汗だくでまた迷ったんだろうな。

私は少し溶けかけのかき氷と。。
先生はビニール袋入ったコーヒーをもらい飲んでいた。
未亜ちゃんはコーヒーが気になったらしく、必要に分けて分けて!と言ってる。
一口分けてもらい『!!!』な顔をした。
うーあたしも気になる。。

「未亜。これがタイのコーヒーだ。甘いだろう」

「激甘っ!‥でも先生と関節キッス。。ふふふ」

「‥‥いいからシャワー浴びてこい。それそのままやるから」

△△△

 私は少し溶けた丸いかき氷をくしゃくしゃ壊しながら。
口いっぱいに頬張る。

  日本と同じイチゴ味だと少し嬉しくなった。

   小学校の時だったかな?

  海の家で。 歩と一緒に食べたかき氷の味だ!

ーーーーーーー

新章入りました♪よろしくお願いします。

 

経験はチカラです。 若い頃行っとけば良かったな〜と思う事も多かった。 世界は広いです♪ ٩(ˊᗜˋ*)و