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ガンジャ先生。7-12

匠、知る。

 辺りに闇が降りてきた。
しかし空には無数の星空が見える。
必要最小限の明かりのこの場は。ずーっといたいと感じた。
LSD - Thunderclouds Ft Sia Diplo Labrinth

「なんか食うか?」

 そこまでお腹は減ってないけど、先生の言葉で現実に戻した。みんな口が開き出す。
「すっごいよね。。夕日!すごすぎ!」
「太陽ってあんな大きかったんだ」
「まだ月が見れるぜ?ちょとかけてるけど、まんまる♪」
「星ってあんなにたくさんあるんだ。。」
「いい場所だろ?ここはオススメだ」
「先生!ナイス!最高!」

メニューをみて軽く食べれるものを頼む。
少しワイワイするのは他も同じで感動を共有している。
ふと見ると。プイさんは遠くを見ていた。
その視線は今まで見たことないようで綺麗だった。

食事も終えるとまたゆっくり。
先程違うのは温度が少し落ちたのと。星がキレイに輝く。

「匠。ちょい付き合え」
「あ、はい」

ビールが切れたのか、ドリンクを買いに呼ばれ。
後ろバーの所には2人タイの従業員がいてニコニコしていた。
『3本と。シンハーと水も2本づつね』
『はい。楽しんデ♪』
戻るかと思ったけど、近くの空いてる小さなテーブルに座り、先生はゆっくりと葉巻に火をつける。

「匠も吸うか?」
「は、はい。葉巻ってタール多いんですかね?強そう」
「ん?マリファナだ」
「!?」
おいおい。。マジか。
少し悩んで。。はい。と答える。
よく分かんないけど、先生の目は。
「どうする?自分で考えろ。」と言ってたからだ。

火をつけていつもと同じように。。
「ゴホッゴホッ!」
「あーちょっと違うんだ。ゆっくり口入れて。ゆっくり肺に。そして息を止めてみろ?」
「コホ!ん。あ、はい。。」
す~っと。香りが爆発する。
目が廻りだし。。


「・・ちょっと座ってろ。無理すんな」
頭が。。重い。なんだこれ。。汗が。首に汗が。

「水のめ。ほら。。」
喉の中って。こうなんだ。。水が食道を通り胃まで流れて内側から冷えていくのがわかる。
でも立ち上がれなかった。僕はその場にうずくまり。。テーブルに伏せた。頭が。重い。唯一足にあたる座布団の感触が温かかった。

ふと記憶が甦る。
みんなとあったとき。雪菜の顔だ。心配そうに見てる。
バンコクの初めての朝。みんな緊張してるな。
未亜が泣いている。ああ迷子だったけ。
歩が嬉しそう。買い物だ。
雪菜が嬉しそうに驚いて。。スクエアか。
タツヤがおかしい。カオサンからの帰り。
茜が幸せそうに寝てる。映画かな。


グワン!
あ、、露店のおばちゃん。ニコニコしてるけど、目は困ってる。。全然気づかなかった。そうだったんだ。
雑踏の声が響く。タイ語ってこんな発音だったのか。

グワン!
コンビニ。。?ああそうだ。家の近くのコンビニだ。
「あの子この時間で学校は。。?そうなの」
「まぁ。大変ね。。」
どこかの主婦。そんなこと言ってたのか。

グワン!
昨日のライブだ。酔った俺は何か嬉しそうに叫んでる。
周りも笑いながら見られていた。
何人かの白人が声をかけてくる。
テキトーに受け答え‥‥文法も分からないけど必死に単語で話していた。。全部僕だ。

グワン!
あれ。父さんの声。。?
目は見えないが。父さん声だ。
「匠。頑張れ!生きるんだ。起きろ」
「あなた。。聞こえてないわよ」
「生きるんだぞ!匠」


・・・
「おい、大丈夫か?匠」
「うぅ。。父さん」
「そうか。父さん何て言ってた?」
「生きろ。って。うウゥゥ。。」
「当たり前だ。誰も死んでほしい息子なんていない」
「先生。。何?これ。。」
「マリファナだ。キツイか?」
「凄くキツイ。。です。。」
「ゆっくり。ゆっくりでいい。顔上げれるか?空を。遠くをみろ」
僕は言われるまま。ゆっくりと。顔をあげる。

眼の前にはさっきと同じ光景が。よりわかり。
キレイな部分と。そうでないとこまでバッチリみえた。

床の砂。
汚れた座布団。
虫の鳴き声。
少し匂いの強いタイ料理。
乱雑なサンダル。
満点の星空。
流れてくる曲。

全てが違った。
あ、星が落ちてくる。。


次の瞬間テーブルに再び落ちた。

グワン!
鏡の前で。僕は自分の顔を見ていた。
あれ?俺ってこんな顔だった?
いつも通り過ぎるだけの記憶が。
こんな。感情のない顔だったのか。僕。目が死んでる。

ふと。視界が消えた。意識も消えた。


▽▽▽
「起きてー匠ーおりゃ!」
「イタイ!」
うう。。背中踏まれたなこりゃ。
あれ?どうしてここに。

「起きたか?匠、大丈夫か?」
「匠くん。。寝てたよ?」
あれからそこで寝てたみたいだ。
先生は無理させてすまなかったなと。

どこからか夢だったのだろうか?それとも全部本当なのか?
もう時計は8時を過ぎて。
周りのもお客もみんな変わっていた。

そして再びソンテウに乗る。雪菜が心配そうに見る。
「顔色悪いよ?本当大丈夫?」
「うん。。ちょっと。。お腹空いた」
「・・・」
「カフェ寄ってくか。タイ飯はもういいだろ」

しかし何故かピザ屋に入る。
みんなもさっき店で食べてたのだが。
マルゲリータが僕の前にくるとみんな1枚ずつ取っていく。
皿はからっぽ・・

「あのー・・俺のピザないじゃん!」

「匠心配かけたバツ〜♪ん〜美味い♪」
「味本格的ね♪チーズ伸びーる☆」
「「モキュモキュ‥」」
そこのちびっ子!なんか言えよw

「フハハハ!ピザはみんな食べれるぽいな?もう2,3枚頼むか♪」

ちなみにこのあとピザを食いまくった。
トマトが凄く酸味が効いていて。
何故か食べて食べても空腹感が止まらない。

「歩チャンと匠。アレ・・マンチーだよネ?」
「まあ俺も食えるが。。もう頼むなよw」
そんなヒソヒソ会話をしてる大人。。

歩もかなり食ってたのは言うまでもない。
「歩ちゃ(モキュ)太るよ〜?」
「・・食べながら言わないの茜。う。確かに食いすぎ‥なんだろう?いくらでも入るわ」

帰ってからはバタンキューだ。
寝てたので寝付けないと思ったが。即爆睡。ぐー。。


☆☆☆

「それでガンちゃん。匠クンどうだったのカナ?」
「そうだなぁ。。正直わからん。でも少し。少しずつ変わっていけばいいさ」
「ハードね。もうマリファナは禁止。イイネ?」
「そうだな。内緒で頼む!プイ!山本に言わないで。。」
「ダメなお父さんだコト(笑)」

経験はチカラです。 若い頃行っとけば良かったな〜と思う事も多かった。 世界は広いです♪ ٩(ˊᗜˋ*)و