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ガンジャ先生。6-3

夕凪の混沌

雪菜は淡々と話していたが、そこで少し躊躇った。
手を胸にギュット抱え込む。
明らかに言いたくないのだろう。

「ん。わかった誰にも言わない」

僕はつい口を挟む。
Zedd - Beautiful Now

また少し移動して。

手をつなぎ。

前の岩を目指す。

雪菜はしゃがみ込み。

ゆっくりとまた。話し出した。



ーー松木先生から電話は呼び出しだった。

生徒会の誰かから電話番号を聞いたのだろう。

単純に騙された私が行かなければよかった。

「あの時は申し訳なかった。すまん。俺にも立場がある。眼の前で動画を消すから会えないか?」と。

時間は夕方だったし、ちょうど外出していた。

私はどこか先生という立場で甘えていたんだと思う。

また、正義感から謝らせたいと思ったのが。

全ての間違えだったんだ・・・



マンション入るといきなり引っ張られ

数人にレイプされ撮影された

外が暗くなっても輪姦され 欲望のまま・・好きにされた

その行為は5時間以上繰り返され・・

私は繁華街に強制的に全裸で下ろされた 

理由はわからない 

ただ流行っていたみたいだ 

そんな事の為に

 悔しくて 

 悲しくて

 情けなくって


後で知る 私はAVを強制的に撮らされていた

その後警察での話は覚えてない 

何人いたか どれだけ泣き叫んだのかを

どうやって帰ったのかも覚えていない




何をしたのかも。。全て忘れたかった。


ただ絶対に学校にいかない

先生は信用しない


話をしながら。

雪菜はいろいろな表情を見せる。

「やっぱり泣いちゃったなぁ。。ゴメンね。いきなり話して。うんうん、大丈夫。言うとすきっとしたー!・・だから私はキレイなんかじゃないよ。。。汚れてる。。」

また一筋大きな涙がでた。

出だしたら止まらない。

涙を吹きながら。しばらく時間が過ぎていく。



僕は何か声かけてあげないと。

あげないと。

あげな



何も言葉がでない

「匠くんは彼女大事にしなきゃーだめだよ?歩ちゃん」

「・・」

歩は違う!

「バスでキスしてたでしょ。見てた」

そんなんじゃない!あれは違う。。

あれ?声がでない。出てない?

「かわいいから大事にしてよ?大丈夫。先生にも言わないから」
だから違うって!

声?

声が。でない。

なんで。なんで何だよ!

「そろそろ戻ろうか?」
外はすでに赤から暗くなろうとしていた。

違う!なん。。で。なんで声がでないんだ?

なんで。。なん。で。なんで今なんだ

僕は気がついたら涙が出て 悔しくて 痛くて

「?ゴメンね匠くん変な事言って」
雪菜は気がついてない

ゆっくりと大きく息を吸う

雪菜は帰ろうと立ち上がる




砂を払う仕草をして、足を踏み出した一歩と同時に僕の口はやっと。動きだした。喉の痛みが収まる。

手を無理やり引っ張り そのまま雪菜を抱きしめ

「。。。すきだ、ゆきな!・・悲しまないで」


「!!」

何があったかわからない雪菜はしばらく動けなかった



雪菜の体は震え出した。

押し跳ねるように僕を突き飛ばし。

僕の顔をキリッと睨み雪菜は走り出す。

「フザケないで!」

そこに一人残された僕は。
止まらない涙の感触を。
押し出す感情を出すでもなく。
ただ泣いていた。。 


ただ。泣いていたんだ。



△△△



「匠〜どこ行っていたんだよ?プイさん呼びにきたぞ〜」

ベッドに死んだように飛び込む。
返事も返したくない。

「ん?どったの?なんかあった?」
「集合して飯だぞー」

「悪いタツヤ。。一人にしてくれ」

「はぁ〜?よく分からんけど飯食わんの?」
それ以上会話は続かず。

んじゃ行ってくる。
本当に要らんのだな?あ、タバコ好きに吸っていいから。と言ってタツヤは出ていく。

周りはすでに暗く。ベッドライトだけを付けたロッジは落ち着く。
セミの鳴き声とか虫の音しかしない。

僕はこのまま動けなくなればいいと思う

出た声で。。なんであんな事を言った?

僕は鎖骨の下に大きな傷がある 管が入っていた

感情が高まった時痛みがする 

感情を 消す 

もうどこにも行きたくない

暗い部屋でこのまま動かない

ああそうだ 繰り返されるだけ

だんだん意識が遠のいて行く・・・


◇◇◇


雪ちゃんは戻ってきてから様子が違っていた。

プイ先生は、「ごはん〜初日だから、出ますネー?」
とトラックを手配していに行った。

みんなはワイワイシャワーを浴びたり準備をしてる。

「雪ちゃん。大丈夫?」
「うん。ゴメンねちょっと。。」
「誰かとケンカした?」
「大丈夫。そんなんじゃないよ」
そんなんじゃない。

「チーす!ごはんにきました!」
大きな声でタツヤが呼ぶ。

「アレ?一人?匠クンは?」

「なんか腹痛いから寝とくって」

「大丈夫カナ。。?」

「ほっときましょ。ロッジにはいるしーごはんごはん♪」
まぁ何か持って帰るという事で落ち着き、食事に移動した。

トラックで10分くらいの所に少し大きなタイ食堂があった。

もちろんタイ料理だ。
「おまたせー待ちました?」
そこにはケイさんがいた。プイ先生とは顔見知りのようだ。

みんなは知らないので、自己紹介したあとにいっしょに食事をする。
「ケイさんって若いですね。まだ来たばかりですか?」

「4月くらいからかな〜やっと慣れてきた(笑)でも何もないよ〜ここ」

「やっぱりダイビングが好きで?」

「うん。ここの島周辺はどこ行ってもお魚多いし。珍しいものもでるの!好きなスポットだった」

「ダイビングってやっぱ面白いですか?」

「もちろん♪なんかあーこんな世界があったんだ。と思えるよ♪」
女性陣を中心に会話が進む。

料理も慣れてきたし、タオ島のはさらにスパイスと、野菜本来で、クセは強いがうまい。そして辛い。

「あれ?男の子もう一人いなかった?」

「調子悪いミタイです。あとで様子見まス」

「あらあら〜でもバス移動はキツイからなぁ。。この年なら倒れるかも。w」

「匠くん知っているんですか?」

「うん。顔はしっかりしてたと思うんだけど。。泳げない事心配してた。バディは〜確か雪ちゃん、よろしくフォローしてね♪」

「・・はい」

「どったの?ユッキーも元気なくなくない?あ、怖いのかな?」

「もーデリケートないなー!タツヤはあっちで犬と遊んどけ!」
他の席はお酒も出て盛り上がってるみたいだ。
店員の人は少しそっぽないけど、料理は美味しい。

山の中腹、壁も何もない食堂での食事おかしな気がするけど、なんか良かった。

その後、ケイさんの旅話などで盛り上がり、一同は宿に戻っていく。

◇◇

「匠クーン大丈夫デスカ?」

すでに寝息しか聞こえない。。
匠君はもう寝たみたい。ベッドの横にチャーハンとオムレツ、そしてマンゴーを1個置いて。
「明日ガンバってネ♪」
と言ってプイ先生はほっぺに優しくキスをして出ていく。

寝顔は子供みたいに穏やかだったので
プイはどこか安心できた。


◇◇


ロッジの前に座ってオレンジジュースを飲む。

夕方にあった事を思い出す。
言っちゃったな。。どうしようもないのに。

なんで匠くんは。

あの時、抱きついたんだろう?

なんで私の事好きだって。言ったんだろう。

なんで。泣いていたんだろ。。。

私。ひどい事言ったのかな?

・・なんで話たのかな。。?私。

絶対言わないと誓ったよね。。。

。。あれ?不思議と匠くんは怖くない。

なんでだろう?男の人と手を握って。
拒否しないのは初めてかも。。?



「雪ちゃん、話いいかな?」

そこには歩が立っていた

胸が ズキンとした




ーーそこに答えはあるの?

 少しずつ絡み合う感情は

 いい事なのかな?ガンジャ先生。ーー

経験はチカラです。 若い頃行っとけば良かったな〜と思う事も多かった。 世界は広いです♪ ٩(ˊᗜˋ*)و