見出し画像

なくしものをしかけた

電車に乗って今まさに帰路についている途中だ。
まさか、荻窪まで行ってしまうことになるとは、1時間前の自分は想像もついていなかっただろう。
今後、こんなに(自分にとって)大変なことが起こらないように、多くの人にお手数をかけないためにも、自分への戒めを兼ねて書き残す。

2021/08/20 :AirPods Proを無くしかけた日。

何をなくしたかといえば、イヤホンのケース、厳密にはAirPods Proのケースだけ、である。
普段、滅多に落とし物や無くし物をしない自分にとって、
今年1番の焦りと不安に駆られた。

自分が来た道のりははっきりしていた。バイトが終わり電車に乗って銀座にやってきた。ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の「オリンピック・ランゲージ:デザインでみるオリンピック」を一人で見るために。

(入り口の写真だけ撮った。このときイヤホンをしていて、その直後、ギャラリーに入るために取ったイヤホンをしまえないことに気づいたのである。また今度、落ち着いてみにこようかなぁ…)

バイト終わりに見に行けるなんて、ウキウキが止まらない中突然訪れた絶望。
しかしこういう時に限って、すごいいろいろ思い出す。何気なく電車に乗って歩いていたらだけなのに、普段は絶対に思い出せない歩いてきた道や電車の時間がスラスラと頭から出てくる。
不思議だ。よく緊急事態とかここぞという時はなんかはいつも以上の力が出るという、いわば火事場の馬鹿力でも発揮したのだろう。今思い返してみれば、調べていた運行情報をもとに鉄道会社の習得物窓口に電話しながら歩いて道端を探していた。こんな時に通話料なんか気にしてられない。電話をかけまくり、待っては駅のインフォメーションや改札を回る。
電波で話しながら不安そうにキョロキョロ見渡し早足で歩いていたなんて、側から見たら普通に不審者だよなぁ。

そして、もしかしてこれではないかというものを見つけてくれたのが銀座駅の駅員さんだ。私が「どの電車で何時にどこからどこへ移動して…」というと、「電車が銀座に着いた時間を考えて、いまどの辺りを走っているから問い合わせてみます」と言ってくれた。そこでなんと、AirPods Proらしき拾得物があると分かったのである。見つからないと思って本体以外はどのように購入するのか気になり出していた頃であった。
なんと!!!舞い上がりそうになったが改札でそんなことをするわけにはいかないのだ。荻窪でそれらしきものが見つかったとなれば、一刻も早く確認をしにいかなければ。

そういえば、拾得物や無くし物を取りに行く時、許可証のようなものを書いてもらってそのまま改札を通過した。鉄道会社によって対応は違うのだろうか、それとも当日だからできたのだろうか。これは全く知らなかった。
自分で無くし物をしておきながら、無償で電車に乗らせていただくなんて、なんだか図々しい気がした。言い切れない感謝と申し訳なさでお腹いっぱいになりながら、見つけてくれた銀座駅の駅員さんに挨拶をして改札を通らせていただいた。

そんなとき、ホームで先に電話していた別の駅から「〇〇の電車にはなかったですねぇ」と連絡が入る。また希望が一つ失われる。しかしいちいち落胆している暇はない。私が向かうべきは荻窪駅。それらしきものが自分のAirPodsなのか、そうでないのか結果が気になり、1秒でもはやく電車に乗りたかった。

ケースがないので、一応戻るところがないAirPodsくんたちは、ひとまず私の耳にステイしたまま緊張ほぐしの曲を流し続けていた。そこで流れたのが、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」のサウンドトラック。言わずと知れた素晴らしき音楽家である鷺巣詩郎氏の曲である。
その中でも、なんとも絶妙なタイミングで流れてきたのが、「what if?」である。劇中でも印象的な曲であったが、まさかここで流れてくるか。私に複雑な感情を抱かせた歌い出しの歌詞を一部紹介しよう。

What if we just handn’t said goodbye?
-鷺巣詩郎「What if?:orchestra, choir, and piano」より

なんてことだ。なおさら悲しい気分にさせてくるではないか。まさか、エヴァのサントラで劇中以外に心揺さぶられるのか。音楽というものは、聴くタイミングによってここまで影響されるのかと感じた瞬間であった。

さてさて、エヴァ好きの余談は置いておいて。
荻窪駅でも駅員さんはじめ事務所の方が親切に応対をしてくれた。もし荻窪駅に行ったことがある方はわかるかもしれないが、事務所は無機質な通路の真ん中にある。地下鉄特有の冷たい雰囲気や閉鎖的な感覚が今回ばかりは私の歩く速さを遅くさせているのではないかと感じさせる。今まで荻窪駅に行ったことがなかったことも相まって、とても長い道を歩いている気がした。

そのあと事務所で要件を伝え、出てきた私のAirPods Proのケースと思われる拾得物が出てきて「これですか?」と聞かれた途端、私は安堵した。
それは、いつも使っている、NOMADというメーカーの革のケースがついたAirPods Proのケースであった。
話を聞く限りでは、もしかして怪しいのでは?とずっと思っていたが、そんなことはなかった。一時期、なんとなくケースを外していた時期もあった。しかしやはり世界に何億と出払っている製品ゆえ、何かアイデンティファイできるような、わかりやすいアイコンのような物は必要だとひしひしと感じさせられた。

(使い始めちょうど一年前くらい。これは最初に撮った写真。だいぶつやつやになったなぁ。しみじみ)


しっかし、当日に見つかったのは奇跡なのではなかろうか。途中で誰かが持っていってしまい、ジャンク品として売られていたかもと考えるとゾッとする。
ついてたんだなぁ。良くも悪くも。

荻窪からの帰り、銀座駅で所在を探ってくれた駅員さんはもういなかった。だから、今いる方に挨拶を頼み改札を後にした。1番にお礼を言いたかったのは、その駅員さんだ。しかし、やたらAirPodsに詳しかった。やはりこうい
った類の落とし物は多いのだろうか。駅員さんからしたら慣れたものかもしれないが、こんな小さいものを探すのは明らかに手間だよなぁと

そんなことはどうでも良いのだ。
とにかく、座ったところをいつも見る自分が、今回ばかりは何も見なかった。なんてことをしてるんだ、と自分に言い聞かせている。

とりあえず、
某鉄道会社のコールセンターの方
電話に出てくれたH駅の駅員の方
改札で対応してくれた銀座駅、荻窪駅の駅員の方
拾得物を集めてる事務所の方
そして、もし拾ってくれた方がいたら
本当にありがとうございました。
落としてから約2時間で手元に戻っていました。迅速で丁寧な見回り、そんな見事な業務に感謝いたします。

そんなことより、おい自分!
戒めを残しておくから後から見直してこんなことないようにするんだぞ!
人にも迷惑かかるし、自分にもいいことないぞ!
以下復唱!!!

戒め①
AirPodsはポケットに入れるな。鞄に入れること。あと、わかりやすいようにケースはいつも付けておくこと。
戒め②
電車に乗る時は、どこ行きの電車で何時にどのあたりに乗ったか、何時にどこで降りたか覚えておくこと。
あわよくば、どの階段で登ってきて、とか覚えておけば(駅員さんにもよるが)どのあたりの車両か判断してくれる。
戒め③
駅員さんに話す時は、簡潔に、物は具体的に、ハキハキとすること。
戒め④
すぐに電車を探してくれることもある。すぐ鉄道会社もしくは駅に連絡すること
戒め⑤
電車で座ったら、降りる時は自分の場所をちゃんと点検すること(なんでこういう時だけやらなかったんだ!!)

読んでいただいている方いれば
私の独り言にここまで長々とお付き合いいただきありがとうございました。皆さんのお手回り品にも、不幸がありませんように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?