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中間管理職は辛いよ

研究指導をしていて色々大変なことはあるんですが、その一つに「全くの初学者の指導」があります。論文を5本程度書いてくると、新しく参加した人やあるいは後輩の指導としてメンターを行うことになります。その頃には研究のPIはかなり偉い人なので、その人に見せる前に自分がその初学者を指導するわけです。

自分も通ってきた道なはずなのに、これがかなりしんどい。何度やっても、ほんと、当時の指導医の先生ごめんなさい、って思います。初期研修医を教えるのも同等ですが、外から講演に行くのはめちゃくちゃ楽なんですよね。これはお金も貰えるし美味しい。

けど、実際の現場で当人に寄り添って粘り強く指導するのは相当な時間とコミットが必要で、さらにはその人がもう論文書かないとなると疲れも溜まるというものです。研修医への教育で有名な某教授と話をしてたら「もう研修医への教育は疲れたよ」と冗談で言っていたのが印象的ですが、冗談じゃないかもなと思って聞いていました。

上記記事や論文マニュアルでも少し触れましたが、
「この前言ったばかりなのになんで同じミスするの」
「明らかに文章に主語ないよね?ChatGPTに入れたらすぐわかるよね??」
「これどう見てもコピペ残ってるから」
「いやマニュアルに書いてあるじゃん」
が多発します。

だって基本的にみんなマニュアル読まないから(僕も読まない)


結構頑張って書いた論文マニュアルですが、まあメンティーの半分は読んでないです。読んではいても量が多いし流れているのもあるでしょう。そんな苦労を耐え忍んで、なんとか形になったもの(無理矢理形にしたもの)をPIに見せると『なんだこの論文は。後藤先生ちゃんと見たの?』と詰められるわけです。時には中間管理職である自分ではなく、メンティーがPIからダイレクトに厳しく言われますが、内心「あー、俺に向かって言ってるんだろうなあ」と。。。

ちなみにもっとひどいのになると、連絡すらない。返事もない。

でもこれは本人の心が完全に離れているので、冷めた心に火を入れるのは非常に難しいです。それを防ぐために定期的なミーティングをしたりside by sideでの教育が必要だろうとは思うのですが。

そうなってくるともう諦めて全部書き直した方が早いです。所謂「期待するのを諦めた」ってやつですね。そう思うと「ちゃんと書き直してから見せて」と言われている間が花なのかもしれません。

夫が育児をしないから諦めた奥さんが熟年離婚を考えるのと同じ(?)ですね。夫本人は「育児やってくれてるラッキー」と思ってるうちに相手の心が離れていくわけです。

話が逸れましたが、最近僕は初学者をいきなり指導することは減ったので正直すごく楽になりました。その代わりに個々に目が届かなくなったなというのも実感します。

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