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ゲーミフィケーションが蔓延した異世界ものアニメで

異世界もの、個人的には大好きで、いろんな作品が出てきて嬉しいなあと思うんだけど、若干嫌な要素もあるわけで……。

今回はその話です。

※なお、ここでは「ゲーム由来の設定と思われるもの」を「ゲーミフィケーション」と呼んでおりますので、本来の意味とは異なることを、あらかじめご了承ください。

わかりやすくはなるけれど

何が嫌かって、主人公の視野に投影されるゲームっぽい画面やパラメータ、そして安易に上がりまくるスキルあたりの、明らかにコンピューターRPGをモチーフにしたものだ。

まあ、確かにわかりやすいんだけどさ、わかりやすすぎて特別感が全く無いし、最近では安易で陳腐な「なろう」の象徴みたいになってしまっているように思える。

あと、なんでも解説してくれるサポートみたいな存在も、「またかよ」みたいになってくるし、何か一捻りして欲しいなぁ、なんて思ってしまう。

作品が豊富になって、単にワガママになっているのかもしれないけれど、このまま同じようなギミックを使われ続けると、本当に陳腐化して目新しさが無くなってしまうんじゃないかなと、余計な心配をしてしまったりする。

RPGにおける成長とは

以前、このような記事を書いたんですよ。

その中でも少し触れたんですが、レベルの概念の用いられ方が、人間の成長と乖離してしまって、極端な能力値の向上によって人間離れしすぎてしまうことに対する危惧みたいなものが僕にはあったりします。

確かに肉体を酷使することで、上昇する能力はあるかもしれませんが、人間の分際で自分よりも巨大なモンスターを一刀両断するというような、人間離れし過ぎた能力まで披露できてしまうと、思わず「ゲームかよ」って思ってしまったりして、感情移入が薄れたりするんですよね。

そもそも、経験というのは、そういうものではないと思うのです。

経験値というのは、人間の経験による成長をゲームの中に組み込むために、ルールとして設定されたパラメーターであって、当たり前のことですが、本来測定できるものではありません。

また、テーブルトークRPGなどでは、経験値の精算はシナリオ自体が終了して、セッションの終わり側にされるものですから、戦闘中にレベルが上昇して、ギリギリ死なずに済むみたいなシチュエーションって、ありえない気がします。

これは、コンピューターRPGによる経験値システムの曲解がもたらした宿痾のようなもので、現実にはそんなに都合の良いことなど起こるはずもなく、なんなら大ダメージを食らった場合は失血による追加ダメージで死にかねないのが現実。

わかりやすさを全面に押し出したばかりに、どんなに感動する物語も、なんだか薄っぺらいものになってしまう。

それは、残念に思うんです。

チートチートと威張るなチート

肌感覚で恐縮ですが、チートという言葉が使われるようになったのも、ゲームが元だったように思います。

この言葉も、類似したジャンルや要素の多いファンタジー系の物語ならわかりやすいのでしょうが、チート能力がデフォルトになってしまうと、なんら目新しさがない、凡庸な物語になってしまう気がするんです。

「あ、またチート能力か」って、タイトルだけ読んで、本文読まれずに飽きられてしまうのも、なんだか残念な話です。

「無職転生」では特殊な技術であった「無詠唱魔術」が「葬送のフリーレン」では当たり前の技術というか、魔法そのものが詠唱しないものとして扱われ、なおかつマルチタスクで処理できるものとなってにしまうと、何が特別だったのかがわからなくなってしまいます。

「特別なこと」を表現するために、特別な能力や特別なスキルを付与されるというのは、設定としてはアリなのかもしれませんが、それが当たり前となると、それはもう「特別」とは言えないような気がしなくもありません。

いっそ、凡人らしく

特殊な技能、特殊な能力、チートのような性能、幅の広すぎる人間関係に豊富な人材、盛れば盛るほど見かけは派手になりますし、最初は賑やかな話にはなりそうです。

でも、無個性な主人公のハーレム標準装備、チート盛り盛りで商人のフリして諸国漫遊したりするのって、そろそろ食傷気味になってきます。

まあ、やってりゃ観るんでしょうけどね。

それでも、記憶に残るかっていうと、次のクールで覚えてない可能性の方が高い気がするんです。

もう、それはアニメの中やラノベの中では凡人みたいなものにも見えてきます。
なら逆に、完全な凡人が成り上がっていく姿の方が、感動を生むかもしれません。

もっとも、物語の進行上、チート級の運が必要になるのでしょうけど、そもそもそうした物語の主人公なら、強運は標準装備でしょうから、まあノーカンということで……。

ミニ◯ンビ! おこづかいほしいのねん!! (「よろしければご支援願います」の意)