時(坂村真民作)

日の昇るにも 手を合わさず
月の沈むにも 心ひかれず
あくせくとして 人世を終えし人の
いかに多きことぞ

道のべに花咲けど見ず
梢に鳥鳴けど聞かず
せかせかとして 過ぎ行く人の
いかに多きことぞ
二度とないこの人生を
いかに生き いかに死するか
耳かたむけることもなく
うかうかとして 老いたる人の
いかに多きことぞ

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