大江健三郎の文章には、どこか呑気なところがある。かれの呑気は、その乗り物が自動車でなく自転車であることからくるのではないだろうか。ゆっくり確実にペダルを踏み車輪を転がし、坂道に苦労しながら、それでも前へ進んでいくかんじなど、イメージぴったりである。

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