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日本人はヨーロッパでサッカーを観ちゃダメなの?

「ヨーロッパでサッカーを観る」

お金で買える夢みたいもので、たぶんぼくはこれ以上の欲がない。

サッカーの本場はヨーロッパだ。
世界のトップ選手は99%ヨーロッパでプレイする。
もちろんメッシもクリスティアーノ・ロナウドも。

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むかしはジダン、ロナウジーニョ、ベッカムもみんなヨーロッパでプレイした。

さらにヨーロッパの中でも

◯スペイン(ラ・リーガ)
◯イングランド(プレミアリーグ)
◯ドイツ(ブンデスリーガ)
◯イタリア(セリアA)

は4大リーグと言われ、トップ中のトップがあつまる。
(ネイマールのいるフランスリーグを入れて5大という意見もある)

そして、ふだんはこの各国リーグ戦をメインにそれぞれの選手は試合を行う。

スペインはスペインの、ドイツはドイツのクラブの1番を争う。
Jリーグが日本で1番のクラブを争ってるのとおなじように。

ただ、それと並行して、ヨーロッパでは

「各国の1番はリーグ戦で決めたら分かるけど、結局ヨーロッパのクラブで1番強いのはどこやねん!スペインか?ドイツか?イングランドか?
つべこべ言わんと直接戦ったらええねん!
クラブの中のクラブたち、出てこいやぁぁあぁぁああぁあ」

って天下一武道会みたいなノリで開かれる


「UEFAチャンピオンズリーグ」

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という事実上、世界一を決める大会が開催される。


悟空、ルフィ、ナルト、炭治郎…各漫画のキャラクターでだれが強いか分かんないから直接戦わせようぜ!みたいな大会。


ドキドキするでしょ?

魔法のコンパスもヨーロッパを指してる。


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ここではじめましての人に2秒で自己紹介します。

仙豆です。無職です。



そう、わたしには圧倒的な「時間」と少しばかりのお金がある。
この夢を叶えるのにベストなタイミング。

チケットの取り方からホテル、移動手段を調べに調べた。

そしてね、取ったのよ。
チャンピオンズリーグのチケット。2試合。奥さんのも。
トータル約6万円(定価)。

1:マンチェスターCITY vs レアル・マドリード(イギリス開催)

2:バルセロナ vs ナポリ(スペイン開催)


サッカー好きな人ならこれがどれくらい価値のある試合か分かると思う。
ゾロ VS ベジータ、ルフィ VS ピッコロみたいな試合。猪木VSアリでもいい。


ボブ・サップvs曙はちょっとちがう。


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4月1日から社会人に戻ることも決まった。
ほんとになんの遠慮もなく、ヨーロッパでサッカーを観られるのは大袈裟ではなく「今」しかない。たぶんラストチャンス。

もうお分かりですよね。


新型のアイツだよおおぉおおぉぉぉぉおおぉぉ
うわああぁぁあぁあああぁあぁぁああぁあぁぁ


もうね。
日に日に世界規模で広がっていくアイツの情報に、ぼくの気持ちも日に日に盛り下がってる。

とくにヨーロッパで感染の拡大が深刻なイタリアでは次々と延期や無観客試合が決定されている。


海外サイトに並ぶ英語に悪戦苦闘しながら必死にチケットを手に入れたときのあの興奮。
DAZNで海外の試合を観るたびに「あと数日でぼくもこのスタジアムでチャンピオンズリーグが観れるんだ」とドキドキしたあの時間。

たのしかった瞬間がどんどん崩れてく。


「日本から出国できる?」
「行ってもイギリスに入国できる?」
「行くことはできてもスタジアムに入れる?」
「スタジアムに入れても退場させられない?」
「退場させられなくてもサポーターに殴られない?」

不安や心配が毎日ちょっとずつ確実に押し寄せてくる。
毎日のニュースがそれを「現実」として加速させる。

そして先日、そんな心配事に追い討ちをかける悲惨な事件が起きてしまった。こっちが「現実」なんだよって無機質な文字が伝えてくる。

3月1日。
ドイツ、ブンデスリーガで試合を観戦していた日本人の団体がスタジアム警備スタッフに追い出されてしまった

レヴァークーゼン戦開始早々に、ライプツィヒの警備スタッフが新型コロナウィルスの感染予防の一環として複数の日本人観客にスタジアムからの退席を命じた。
(下記サイトより引用)

クラブは謝罪し、一応この騒動は鎮静化した。
でもスタジアムにラブ&ピースのグラフィティーを掲げたあとに起きた事件としては悲しすぎる。
(この事件にはもう少し別角度の人種差別的な色合いが入ってるけど、それは本題ではないので割愛)

退場させられた日本人の団体は、現時点ですべてにおいて

「ルール上まったく問題のない行為」

しか行っていない。
これがとても問題をナーバスにする。そして悲しい。

日本から出国していいし、飛行機に乗っていいし、ドイツに入っていいし、スタジアムに入っていいし、試合を観戦していい。

どの国の、どのお偉いさんからも「ダメ」なんて言われてない。

すべて本当は正々堂々と行える行動。

なのに、なのに。

ぼくの現状に対する客観的な判断は「絶対に行かないほうがいい」で満場一致するだろう。自分だってそう思う。

ただ、いまキーボードをたたいてるぼくの身体は鬱々とする日本の空気と反比例してとんでもなく健康だ。最近受診した健康診断で医者からも「非の打ち所がないほど健康です」と言われたんだよ。

どれだけ検査を受けて、どれだけぼくが健康だと証明しても「日本人(もしくはアジア人)」という容姿は、ヨーロッパの人に不安を与えるだろう。

「なんで日本人がくるんだよ!」

そう思われるのがつらく悲しい。
でも単に「人種差別」と一言で片付けることがむずかしい状況なのも十分理解できる。

スタジアムでぼくが横に座ったら「出て行け」と胸ぐらをつかまれるかもしれない。殴られるかもしれない。
そうじゃなくても、きっとすごく気分を害するんだろうな。
もしいい人の横に座れたって、いろんなことが不安で不安で集中して試合が観られないかもしれない。

せめて英語がペラペラで状況を説明できるならいいけど、Google翻訳を介してしか言いたいことが伝えられないぼくはもうほとんどサンドバッグ。

「せっかくのヨーロッパ旅行なら、心からたのしめるときにまた改めて行きたい」

頭では切り替えの準備がはじまっている。

でも、手元にあるチケットがその思考にストップをかける。
とってもいい席なんだよ。

幸いにというべきか、いちばんキャンセルの効かなそうな航空券はまだ手に入れていない。
ホテルのキャンセル代を支払い、チケットをリセールに出せば金銭的な被害は最小限に食い止められる。

どうせならイギリスもスペインも、イタリアみたいに無観客試合や中止にしてほしい。
ずっと先に延期でもいい。
ほかのサポーターのことをすべて無視して、そんなイジワルなことも考えてしまう。他人と不幸を共有したって仕方ないのに。

試合は予定通り開催されて、ぼくだってルール上は行けるのに行けない。

この現実と折り合いをつけることができない。受け入れることができない。

だったら出国できないほうがマシだ。
だったら入国できないほうがマシだ。
だったら試合が中止のほうがマシだ。
だったら試合が延期のほうがマシだ。
だったら無観客試合のほうがマシだ。

ほんとはどれも起こってほしくない現実を「だったら仕方ない」と諦めるために願う自分がいる。

きっとぼくはヨーロッパには行けない。行かない。行きたい。

いまぼくが欲しいのは「安心してヨーロッパにいって、サッカー観戦していいんだよ」という「現実」だけ。

出発まであと約一週間。もう少しだけ様子を見る。



どんどん暗い話になってすみません。
ここまで読んでくださったみなさんありがとうございました。

気持ちと現実を少しでも整理したくてnoteに書き綴りました。

みなさんも同じように「今しかない」がなくなり、いろんなことがしんどいときだと思います。
来年の今頃、たくさん笑ってたいね。

あぁ。
サッカー、観たいなぁ。


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