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珈琲のある生活。

休日。
朝早くに目覚めて行きつけのコーヒースタンドに立ち寄り、マスターが勧める今日の珈琲を一杯注文。
カウンター席に座り、カバンからおもむろにニューヨークタイムズを取り出し一面からざっと見る。
入り口から差し込む太陽の光が、新聞を照らしすこし読みにくいが、眠気を覚ましてくれるのでこれで良しだ。
注文したコーヒーが抽出される。
ふと、カウンターの上を見ると焼きたてのパン菓子が。マスターに目線で合図し小銭をカウンターに置き、優しい手つきでパンを手に取る。
これで準備万端だ。

入れたての少し熱いコーヒーを一口飲めば、食道を珈琲の苦みや酸味が走り抜けるのを感じる。
一口パンを頬張りまた珈琲を飲むと、口の中で菓子がほろほろとほどけていき至上のひと時となる。
そして、私はまたニューヨークタイムズの紙面に目をやり、世界情勢の坩堝に身を委ねるのだ。

土曜日の朝。
仕事先で見かけたコーヒースタンドが素敵すぎたのでそんな生活送れたら憧れるなぁとぼんやり妄想しながらカウンターにたっていたら、

「あの、、ご注文は。。」

と言われてしまった。

実際は熱いコーヒーではなくアイスコーヒーを頼んだし、
パン菓子と書いたけど頼んで名前を忘れた"なにか"だ。
これでも十分"オトナ"な気がしている。

明日東京に戻れば、
ノートで知り合ったカレーたまごさんに勧めてもらった本、
「歴史を変えた6つの飲物」
が家に届いているはず。
6つのうちの一つ、コーヒーについてもっと知ってやろう。
ついでにもう少し英語の勉強もしてニューヨークタイムズを5分で読みきれるくらいになりつつ、
スーツがとてつもなく似合うほどに痩せて、サプールみたいな服を着る。
寅さんみたいに鼻唄混じりで陽気に歩いてコーヒースタンドに向かう。
そして、優雅な休日のコーヒーライフを謳歌するのだ。

しかし、悩みなのは私が紅茶党であるということ。
そして、何より問題なのは、紅茶党でありながら、
「好きな紅茶の種類は何?」
と聞かれるたびに、
「リトルグレイですね」
とアールグレイにかけたジョークを言ってごまかす、
その実アールグレイくらいしか紅茶の種類を知らないほどに無知であることだ。

紅茶についても「歴史を変えた6つの飲物」に書いてあったはず。
勉強しなくちゃ。


#コラム
#エッセイ


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