リーダーシップについて

最近、各国訪問時に一回はトレーニングを行うようにしている。うちの会社で働いている人たちはみな勉強熱心で、トレーニングとあれば眼の色を変えて参加するし、皆が何を考えているのかを知るのにとてもよい機会でもあるし、自分のビジョンなり考え方を伝えるのに有効な手段と思うから。飛行機に乗っている時間に資料を作って、3カ国でトレーニングを実施して、気づいたことがあればそれを作り直す、ということが続いている。そういえば、僕自身にとっては英語プレゼンの練習にもなっている。プレゼンは場数が重要。

カンボジアの子会社の支店長たちから「リーダーシップのトレーニングをやってほしい」といわれた。僕はそもそもそんなトレーニングを受けたことがないので、何を話せば良いのか分からないのだけれども、自分なりに考えをまとめたら、こういう構成になった。

・まず、皆に宿題を出して、「今までの人生で出会った良いリーダーはどういう人で、何が素晴らしいのか」について考えてもらい、発表してもらう。

・次に僕からの基本的な説明。リーダーは
皆が共感できる
ビジョンをつくりだし
その実現のためにチームを巻き込み
行動し続ける人
であるということに尽きる。マネージャーとリーダーを分けるのはビジョンの違いなのだということを説明しつつ、八方美人なだけでは決してよいリーダーにはなれないこと、自分のビジョンを信じるためにはそれ相応の努力と学習が必要であるということを説明した。

・リーダーシップの本なんて皆読んでいて、僕が話すようなことなんて皆聞いたことがあるので、若干退屈そうにしている人たちも多い。実は最初の1時間はこの後の30分のための伏線でしかない。

1時間のプレゼン後に質問するのは「何が素晴らしいリーダーなのかはみんな分かっています。じゃあなぜ皆さんは良いリーダーになれていないのでしょうか?」ということ。ここでダラダラと聞いていた皆が凍りつく。

ここからがある意味本番となる。そして、僕がリーダーシップのトレーニング各種について感じているのは次のようなことだ、と話す。

僕は、リーダーになる人には情熱と決意が必要なんだと思っている。ビジョンを掲げて他人に後ろから刺されるような思いをしなくたって、一生懸命勉強してニコニコしていたらまあまあいい感じに生活していくことができる。だから、自分がリーダーになるかどうかは、人生における決意のようなもので、個々人の意思に任せるほかない。その決意を助けることはできるけど、強制はできない。

リーダーになるような人は自分のビジョン実現に対する情熱を持っていて、自分がそれを達成できるような立派な人間になろうと決意をしている。この決意がリーダーとそうでない人を分けると僕は思っている。

しかし人間は忘れっぽいので、決意をしてもその通りに生きていけるわけではない。だからこそ必要なのは省察の時間を持つことだ。自分の行動振り返りリストを作って、毎日、毎週と自分がその通りに生きているかチェックする。それを毎日地道にやっていくことなくしては、人は立派になんてならない。

僕には日次・週次のチェックリストがあって、日次のものは30、週次のものは70くらい項目がある。それを見せたら、従業員皆がドン引きしていたけど、そういう地道なことをしないで自己変革をすることなんて出来ないんだと思う。残念ながらこんな地道なことをしても、自己変革はゆっくりとしか進まない。

「大切なことは、大志を抱き、それを成し遂げる技能と忍耐を持つことである。その他はいずれも重要ではない。」

相変わらずゲーテはすごい。

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