トヨトミの野望

(作業しなきゃいけない資料を待っている間の走り書き)

トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業  梶山三郎 (著)

「7割は本当のこと」といわれた本書を読んでみた。こういう会社ものの小説仕立て本はスラスラと読むことができる。会社はトヨタ、対立しているのは奥田碩氏とトヨタ創業家だというところまでは誰の目にも明らかな本書。しかし「7割真実」だといわれても、その7割がどこなのかが分からないので、内容についてコメントはできない。

ただ、本書を読んでいて改めて思ったけど、創業家というのは多くの会社で本当に不思議な存在だ。トヨタにかぎらず、多くの戦後にできた大企業には創業家がいて、上場して持ち分が相当に希薄化してもなお厳然たる権力を会社に対して有していることがある。株の保有割合でなく、権威による支配というのが実現しているわけだ。しかも、全ての会社がそうだというわけでもない。

これって何なのだろうなというのは時々気になる。 人が誰かに権威を与える源泉が何なのかというのは、企業統治のソフト面を考える上で外せないテーマであったりする。人はやっぱり王様と王女様を欲しがるのだろうか。かくいう僕も、仕事において大株主だから言うことを聞いてもらえるとは全く思っておらず、自分の人格を認めてもらうこと以外にガバナンスを真に利かせることは出来ないのではないかと思っている。とはいえ、僕が仕事で得ようとしている権威と、創業家が創業家だからこそ有している権威はその存立基盤を異にしているわけだけれども。


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