ブッダが説いたこと

ブッダが説いたこと (岩波文庫) 文庫 – 2016/2/17
ワールポラ・ラーフラ (著), 今枝 由郎 (翻訳)

仏教に関する本としてはこの上ない一冊。どうも日本の仏教本は独自の進化をしている日本の仏教について説いていることが多くて、ブッダが説いたことそのものが伝えられていなかったりすることが多いように感じるのだけど、本書は20世紀最大の学僧が仏教の基本的な教えを説いている。

もう10年くらいずっとテーマであり、時々出来たような気分になるけどやっぱり出来なくなる様々な執着心から自己を解放することについて書いている本にはあまり出会えなかったのだけど、この本はその執着心からの解放がいかに心の平静と結びつき、それを得るにはどう行動するべきかまで書かれている。この気持の状態、例えば苦痛や困難に直面しているときでも自分をとても静かな気持ちで見つめられる精神状態は僕がウルトラマラソンから得た最高の経験なのだけど、この本のお陰で走らないでいてもその状態を達成する訓練ができるようになったと思う。

本書がとても良かったので、英語で書かれた原著を読んでいたのだけど、マインドフルネスって仏教のサティパッターナ(正しい注意)のことだったと初めて知った。仏教を深く考え実践していない人が説くマインドフルネス俗説について読むよりは、本書を熟読するのがはるかに意味があるように思った。


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