安達太良山に智恵子の本当の空を見にいく

画像1 高村光太郎の智恵子抄を読んでから、いつか見たいとずっと思っていた安達太良山の空。智恵子の見た本当の空。前にも一度登ったのだけど、その時はガスがひどくて、30m先も見えない有り様だった。久しぶりに二本松にある、行きつけだった旅館にやってきた。4時起床、払暁に旅館を出る。旅館の標高は500m。標高960mにある登山口に着く頃に、日が昇る。
画像2 遠くからみた山は中腹までずっと木の緑だったので油断していたのだけれど、登山道はほとんど雪に覆われていた。窪みを渡るための1mくらいの橋が見えなくなっているので、ときどきズボッと足が沈み込む。ひやひやする。
画像3 1300mくらいになってくると、雪はまだまだ固い。転げ落ちないように気をつけようとすると、なかなかスピードが出せない。これだと、東京で昼からある会議に間に合わないので、途中で引き返さないといけなくなるのではないかという考えが、一瞬頭をよぎる。諦めちゃだめだ、と自分に言い聞かせる。
画像4 積もった雪で道が分からなくなりそうになるのだが、先人たちの足あとと、登山道につけられているリボンに助けられる。北海道の冬を歩くエゾシカは随分と寂しいのだろうなあと、ふと思う。
画像5 頂上付近。このあたりからがちょうど森林限界。東北の山であれば、標高1600mを越えたところから、木が生えられなくなる高山帯に入る。積もっている雪の上に、風で飛んだ土が乗り、不思議な光景が拡がる。砂漠みたいだ。
画像6 牛の背という名前の、安達太良山頂上に続く尾根。先に見える山々が美しい。
画像7 頂上1700m。風のために、頂上付近はほとんど雪をかぶっていなかった。今度こそ、智恵子の本当の空を見ることができた。到着時間は6時35分。誰もいない、静寂の世界。

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