月1,000円からの寄付で、子どもの状況を変えることができる仕組み

先の記事では、社会的養護、特に児童養護施設の現状について書いた。じゃあ、僕のいるLiving in Peaceが何をしているのか、という話になるので、少しその話をしたい。

児童養護施設を取り巻く問題は第一に、(1)ケア職員数の圧倒的不足、(2)家庭に近い養育環境が揃っていないこと、(3)そもそも国の公的支出が少なすぎることだと思う。

ここで挙げた(1)と(2)を解消する方法としては、施設を小舎に建て替えるのが一番だ。施設の形態を小規模養育用にすると、その分職員加算(職員増員分の措置費が追加で支払われる)が行われることが多い。例えば、東京都であれば、定員50人の施設で加算をとった場合には職員が4人増えたりする場合もある。

ここでの問題は、ではどうやってその施設の建て替えを行うかだ。例えば、4億円かけて施設を新しく建て替えるとしたら、そのうちの1.2億円は施設側で準備をしなければいけない。ある程度までは積立で集めた自己資金から負担するとしても、足りない分は借入をすることになる。後での計算をしやすくするために、1.2億円のうち半分を手持ち資金、半分を借入で賄うとしよう。なお、借入についての利子は補助金で相殺されるので、施設は実質無利子で資金調達をすることができる。

問題はこの借入だ。施設に毎年支払われる運営資金である措置費を返済に充てることは許されないので、この返済原資は施設が寄付などの形で調達しないといけない。そして、借入のタイミングでこの返済原資が見えていないと、借入は却下され、それはすなわち、建て替えそのものが出来ないことを意味する。多くの児童養護施設が直面しているのはこの問題だ。

そこで、僕たちはChance Makerというファンドレイジングのプラットフォームを作った。月1000円から誰でも参加できる寄付で、決済はネット上でのクレジットカードによる毎月課金で行われる。例えばこの数字の例であれば、月に1000円ずつ寄付をしてくれる人が300人くらいになれば、カード決済手数料その他を控除した後でも、十分に一つの施設の新設の建て替えを支援することができるようになる。

この集まった資金を元にして、僕たちは児童養護施設に今後◯円ずつの寄付を◯年間にわたって行うというレターを差し出す。それを児童養護施設側は貸付人(福祉医療機構)に提示することで、借入の認可を得る。実際に、一件目の支援先である筑波愛児園では、僕たちの提示したレターは本当に効いた。

Living in Peaceは認定NPOなので、それに対する資金は税制優遇の対象となるし、補助金の仕組みなどを用いると、とてもインパクトの高い支援を行うことができる。しかも、LIPはパートタイムのメンバーだけで運営されているので、クレジットカード手数料や必要経費を除いた全てが施設側に渡ることになる。

また、この寄付のプラットフォームは大勢の個人から少しずつお金を集めることにしている。それは、「大勢の人が少しずつアクションを変えることによって、社会はゆっくりとしかし確実に変わっていく」というLIPの信条とも関連しているが、このように個人から資金調達をしようとすることによって、資金調達活動がPRにもなるからだ。僕たちが資金調達をして数カ所の施設を支援したところで砂漠に水を撒いているようなもので、根本的な問題解決のために必要とされるのは政府が変わることだ。そのためには、社会全体にこの問題を知ってもらう必要がある。

ずっとコツコツとやってきて、今は毎月の寄付金額がようやく100万円くらいになった。まだまだ足りていないので、皆さんの寄付をどうぞ宜しくお願いします。子どもや姪っ子が大きくなってもうお年玉をあげる必要がなくなった、というような方、是非にそのお金を他の子どものために充ててくださいませ。

リンク:Chance Maker



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?