演繹と帰納と仮説設定とフレームワークの関係(そしてそれとチキンカレーとスーパーマーケット)

ロジカルシンキングというタイトルで各国の社員にトレーニングを提供しようとして、資料を作ったりするうちに個別のコンセプトがひとつながりで考えられるようになったので書いておきたい。

1.論理的な推論を行う際に、我々が使ってよいのは基本的に演繹と帰納のみ。演繹は3段論法に代表される一般原理からの個別の結論の論理的な導出、帰納は全ての事例を見てから結論を出すもの。しかし、数学の証明や法律の当てはめなど以外では、現実問題において演繹は使えないことが多く、帰納によって論理的思考をすることになる。

2.また、ステップの取り方によっても論理的思考は分類される。(1)とりあえずデータを集めて結論を出す方法と、(2)なんらかの仮説をもって当たる方法の二つ。(1)だけをやっているといつまで経っても結論が出なくなってしまうので、(2)のようにとりあえず仮説を立ててみて、検証するというステップを踏むのがベスト。

3.よって、世の中の大抵の論理的思考は、仮説設定をして、それを帰納的な方法で検証するということを行っている。仮説が棄却されなければそれでよし、棄却されたら新しい仮説を考えるわけだ。ちなみにこの仮説設定をすることをアブダクションという。仮説設定は発想にものすごく近いところにある。

4.帰納的に推論をする場合には、全てのデータを虱潰しに集めないといけない。実際上そういうのが不可能なので出てきたのが統計学の仮説検定のやり方で、個別の事象がどういう分布に従うのか仮定したうえで「99%の信頼区間で仮説は棄却できない」といった方法を採用することになった。科学の論文の殆どはこの方法を採用している。

5.しかし、実際のビジネスではこの統計的な仮説検定すらも難しい。きちんとデータを集められない場合においても、効率的(費やす時間が少ない割に、上記4で言うところの信頼区間をある程度高められるもの)に帰納っぽいことができないか、というニーズに応えるのがフレームワークだ。フレームワークを抑えることで、事業上の仮説を検証するためにとりあえず集めないといけないファクトを効率的に集めることができるようになる。

・・・という、アカデミアの世界にいた人にも多少は納得できるようなプレゼンを作っていたのだけど、最初の2スライド目くらいでスリランカの社員たちが明らかにポカンとしていたので、こんな感じの説明になった。

 とりあえず帰納とか演繹は忘れていい。演繹は我々の実生活でほとんど使えないし。
 スーパーにいって商品全部チェックしてから何作るか考えたら混乱するよね?だから、予め何を作るか考えてから行くわけだ。例えばチキンカレーにしよう。「たぶんスーパーに行けばチキンカレーがつくれる」が仮説だ。スーパーに必要な材料があれば作れるし、無かったら作れない。これが仮説の検証だ。
 最初に仮説があるからこそ、情報の海に飲み込まれないですむ。みんな料理をするときには当然にこういう頭の使い方をしているのに、これが例えば会社の分析やマクロ環境分析になると商品全部チェックしようとする人が出てくる。そんなんじゃ混乱するだけだ。
 もちろんある程度は手当たりしだいに調べるのも大切だけど、数時間それをやったら、まずは当てずっぽうでよいので仮説を作って、それを検証するのに必要な材料を探そう。その必要な材料探しをするときに、料理ならレシピがあるけど、ビジネスならフレームワークがある。フレームワークはある程度あったほうが便利だよ。
 仮説が途中で棄却されても何の問題もない。新しい仮説を作ればいいだけだ。人間の脳は仮説を結構うまくつくれるように出来ている。それじゃやってみよう。


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