夜を彷徨う

翁長知事が勝利した知事選あたりから、沖縄とのつながりが少しずつできるようになってきた(当時、相当に悩み抜きながらポリタスへの寄稿も一つした)。

そして、また一つ本を頂いたので、それを読んだ。先日紹介した、「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」のような構造的な問題叙述の本ではなく、ルポタージュ形式の本。身体を売る、麻薬を売る、暴力にはしる子どもたちの様子が描かれている。

最近は多くの地方新聞社が自分の土地の子どもの貧困(経済的なものだけでなく、色んな意味でのアクセスが足りないこと)を取り上げることが増えた。これらの多くは地元新聞で特集として組まれるため、地元での反響はとても大きい。「何かできないか」という思いで立ち上がる人たちも少なくない。

そういった草の根の動きは素晴らしいことなのだけれども、一番根底のところで起きているのは、長期的な稼得力にリソースを割かなかったこと(教育・訓練などへの予算配分)や技術革新等に由来する格差の拡大、苦境に陥った家庭への支援リソースの不足(例えば児相や社会的養護への予算配分)に由来するものだ。ミクロレベルでの悲劇はそれぞれに多様だし、そこから目を背けるわけにはいかないけど、長期的に一番大切なのは予算配分の話である。

このそういった予算配分を変えるために、子どもたちの生の声を届ける必要がある。本書の記者が子どもに「お前に俺のこと話して、何か変わるば?」に対する答えは、まさにそこにある。当事者の声を聞いた政治家が意を決して様々な改革を行ってきたことを、僕は幾度となく見てきた。

もちろん、彼ら彼女らの心の傷をえぐらずとも変革が進むのが最高なのだけれども。


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