今更ながら半沢直樹を見て思ったこと

飛行機の中でドラマ半沢直樹がやっていたので一気に観た。こういう大企業に勤めたことがなく、僕は上司に恵まれすぎていたので、サラリーマン物語としてはあまりよく分からなかったし、倍返しとか土下座に至ってはちょっと滑稽な感じすら受けた。だけど、一方で思うところは結構あった。

一つは、金貸しという仕事について。途上国でまさにそれをやっていて、お金を返せなくなる状態に陥った人の苦境を間近に見ているだけに、融資の審査をきちんとやるのは、金融機関にとって一番大切な社会的責任なのだと思う。借りてはいけない人が借りてしまうことほど、その人を不幸にすることはない。そのうえで、自分のしている仕事の意義について改めて考えさせられた。どこの国でも、いつかどこかでバブルとその崩壊を経験する。そのときにきちんと社会的な責任を果たす組織を自分が作れるんだろうかといったことをぼんやりと考えていた。

もうひとつは、ちょうど先日川本先生の本を紹介したけど、人事(というかキャリア)を従業員が選び取るものでなく、人事部が決めるような組織が大組織化したときの弊害。銀行に限らず、大組織はたいていの場合、これまで学歴社会を勝ち残ってきた人たちで、競争意識が高いことが多い。そういう人たちが自分でキャリアを選ぶことなく、一つの組織にとどまり出世を目指すようになると、起きるのは猿山の猿と同様の権力争いとなるのではないか。このドラマが見せてくれたのは、優秀な人達が、人事というものを巡って、エネルギーをお客さんの側でなく、社内政治に費やしてしまっている悲しい現状だ。そこにいる個々人のモラルの問題を問うても詮無い話で、組織構造そのものを問題にするものだろう。

これは決して日本の銀行の問題ではなくて、雇用の流動性が低く、かつ大きな組織にとっては宿痾のようなものなのだと思う。たぶん、ガバナンスをきかせたとしても解決するかどうかは不明。どうやったらこの組織のエネルギーの無駄遣いを防げるのかということも考えるきっかけになった。


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