荘保共子さん

僕が尊敬する社会課題解決の実務家は世界に何人かいる。皆ことごとく70歳以上だ。あんまり言葉にしてその人達を褒め称えることはないのだけど、心からその人たちを尊敬している。こどもの里の荘保共子さんはその一人だ。

日本最大の日雇労働者の町である釜ヶ崎に行ったことがある人はどれくらいいるのだろう。関心がある人は、まずは「釜ヶ崎と福音」を読んでみてほしい。僕が強く心を揺さぶられた数少ない一冊だ。

なんとなく社会のいろんなことを知ろうとしていた僕は、なんどか野宿をしたことがある。一度は大阪だった。単にお金がなかったので、もう閉じている商店街でゴミをかき集めて眠っていた。寒い夜だった。スキーウェアを着ていたのだけど、寒いし怖いしで全然よく眠りにつけなかった。

日雇労働に何日かありつけないと、釜ヶ崎の労働者たちは簡易宿泊所にも泊まることができなくなり、野宿をするようになる。年配の方(日雇労働の仕事に日に日にありつきにくくなる)の場合は特に、寒い夜はこたえる。凍死しかねない。

そんな釜ヶ崎にも子どもたちがいる。荘保さんは釜ヶ崎で半世紀の間、子どものための児童館・食堂・居場所がないときの宿泊場所を提供してきた。半世紀。淡々と、目の前にいる子どもたちのためにベストなことが何かだけを考えて、こどもの里を運営してきた。

荘保さんからは、いま社会的養護の業界で喧しく議論されている施設か里親かみたいな議論を全く聞かない。もちろん極論を排するという理由からかもしれないけど、多分一番の理由は、そんなことについて考えるよりは目の前にいる子どもたちに対して何ができるかしか考えていないからだと思う。課題に対してとことん真摯に向き合っている。

ある日、荘保さんがステップハウスを作った。男の子であれば大人になってから釜ヶ崎の簡易宿泊所に泊まれるが、若い女の子の場合はそうもいかない場合が多いので、ここから自立していく子どもに住む場所を提供しようという思いからだった。借金が嫌いなので、自分が老後に生活をするために必要な資金を全部つぎ込んだ。「これで文無しになったけど、まあいざとなったらここに住むから大丈夫や」と平然としていた。

そんな彼女のプロジェクトは当然ながら全力応援したいと思っている。ようやくクラウドファンディングのサイトがローンチされた。

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